2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

無法・横暴ただし職場にルールを
共産党が学習・交流講座


(写真)職場問題学習・交流講座で報告する志位和夫委員長=22日、党本部

 日本共産党の職場問題学習・交流講座が二十二日、二日間の日程で党本部で始まりました。政府・財界の攻撃のもとで深刻化する職場の状態悪化の特徴を分析し、職場支部の活動を前進させるため、経験を交流、探求しようというものです。全国の職場で活動する党員や、県・地区役員ら四百数十人が参加しました。

志位委員長が報告
 同講座を開催するにあたって党中央は、職場のリアルな現実から出発しようと、都道府県委員会と協力して二百七十を超える職場支部と直接面談し具体的な実態や悩みを聞き取り、会議を準備しました。
 講座では、冒頭、志位和夫委員長が一時間四十五分にわたって報告しました。このなかで志位氏は、聞き取り調査をつうじて痛感したこととして、職場の状態悪化が「このまま放置すれば日本社会の前途を危うくする深刻な事態」にあると指摘しました。人間らしい労働のあり方が破壊されているあまりに深刻な事態に「強い憤りをいだきながら報告を読んだ」とのべ、困難な条件のもとでがんばっている支部と党員の存在は労働者と日本社会にとってかけがえのない宝だと痛感したと強調しました。
 このあと志位氏は、財界・大企業の職場支配の特徴として、非正規労働者の急増、成果主義賃金を根源にした正規労働者の状態悪化をあげ、「財界・大企業の身勝手が、国民生活のあらゆる分野に深刻な問題を引き起こしていることを社会的に広く告発し、社会的な反撃で包囲し、無法・横暴な職場支配を打開するために全力を挙げて奮闘する」とのべました。
 志位氏はまた、職場支部の活動をどう強化するかについて、聞き取り調査で学んだすぐれた経験や解決が求められている問題にもふれながら報告しました。
 初日の討論では十二人が発言。成果主義のもとで一生懸命働いても一時金が出ない人が生まれ、多くの職員が二、三年で仕事を辞めたいといっているなど職場の状況がリアルに発言されました。そうしたもとで、党員が仕事に誇りをもって活動し、職場の党支部が、正規、非正規を問わず労働者の願いに寄り添い、その要求実現へ奮闘している経験が紹介され、参加者の胸を打ちました。神奈川の職場支部の男性は、非正規社員が労働条件やくらしで困難な状況に置かれている姿を伝え、「彼らの要求実現のために誠実に力をつくしたい」と発言を結びました。
 職場の党建設について、悩み、直面している困難をふまえ、週一回、支部会議を開くことや「政策と計画」にもとづく活動の大切さを示す発言が続きました。職場支部を若い世代に継承していくための熱い思い、経験が発言されました。

教育基本法改悪許さないたたかい急速に強めよう 志位氏
 日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、党本部で開かれた職場問題学習・交流講座への報告で、国会提出をめぐり緊迫している教育基本法の改悪問題に触れ、改悪を許さないたたかいを急速に強めようとよびかけました。
 与党の改定案は、現行教育基本法の第一〇条―「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」を改変し、現行基本法が厳しく禁じた国家権力による教育内容への介入を、公然と進めるものになっています。また、「教育の目標」に「国を愛する態度」を盛り込んでいます。
 これに関して、志位氏は、日本共産党が、民主的な市民道徳を身につけるための教育の重要性を一貫して主張し、第二十一回党大会では、その一つとして「他国を敵視したり、他民族をべっ視するのではなく、真の愛国心と諸民族友好の精神をつちかう」ことをあげ、これは「憲法と教育基本法の民主的原則からみちびきだされる当然の内容」と強調していたことを紹介しました。
 そのうえで、志位氏は、与党が教育基本法を変えて、あえて「国を愛する態度」を書きこむ狙いは、「憲法改悪が目指す『戦争をする国』にふさわしい人間を育て上げる教育への変質」にあり、「特定の政治的立場にたつ『愛国心』を教育現場に押しつけ、憲法に保障された内心の自由を侵害する重大な危険をもたらす」と強調。教育基本法改悪を許さないたたかいを急速に強めようと訴えました。


2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

職場問題学習・交流講座
志位委員長の報告


(写真)報告する志位和夫委員長=22日、党本部

 二十二日、党本部で開かれた「職場問題学習・交流講座」で報告した志位和夫委員長は、講座の目的についてのべたあと、情勢の特徴について、暮らし、平和、政党状況について解明し、「党の出番の情勢が展開している。ここに確信を持って政治を語り、党を語ろう」と強調しました。

職場の現状をどうとらえるか
 職場の現状をどうとらえるかについて話をすすめた志位氏は、「労働と雇用のかつてない悪化がすすみ、日本の社会と経済の前途を危うくする事態を引き起こしている」とのべ、財界・大企業の職場支配の戦略として二つの特徴をあげました。
 第一は、非正規雇用への大規模な置き換えがすすんでいることです。その多くが極端な低賃金と差別、無権利状態に置かれており、しかも派遣・請負労働に見られるように、多くが違法・無法を土台にしていることを告発しました。
 第二は、成果主義賃金を根源にした正規労働者の状態悪化が深刻になっていることです。
 「成果主義賃金」の害悪について、(1)賃下げ(2)際限のない長時間過密労働(3)命と健康の破壊、メンタルヘルスの障害(4)公務や教育現場に持ちこまれ住民や子どもに目が向かなくなる―と解明。そのうえで、「非正規雇用、成果主義が、国民生活のあらゆる分野に深刻な問題を引き起こしていることを社会的に広く告発し、社会的な反撃で包囲し、無法・横暴な職場支配を打開することは、日本社会の切実な要請になっている」とのべました。
 志位氏は、「職場の矛盾をどうつかむか」について、(1)財界・大企業は品質の劣化や事故・災害の多発など職場支配を自ら掘り崩す矛盾をつくりだしている(2)しかし、それを自らただそうとはせず労働法制のいっそうの改悪をねらっている(3)労働者への攻撃を後押しする自民党政治の役割がこんなに見えやすいことはない―という三つの観点でとらえることが大切だと強調。日本の労働者階級が置かれている深刻な現状を打開することは、「日本国民の現在と未来にとって重大な意義をもつたたかい。日本共産党と職場支部の果たす役割はかけがえのないものがある」と力説しました。

職場支部の活動どう強化するか
 志位氏は、職場支部の活動を強化する問題について、活動を発展させる基本は「政策と計画」をもった自主的・自覚的な活動に取り組むことにあるとのべました。
 職場に入ったら元気よくあいさつすることから始めて、「しんぶん赤旗」読者を伸ばしている経験を紹介しながら、労働者と日常的に結び付き、人間的信頼関係をつくることを党活動の根本に位置付けることを指摘。そのさい、「党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみ」という立場で接することが大切だとのべました。
 成果主義とのたたかいでは、「賃金が下がった」「評価が不公正」など不満や要求の解決を基本にすえてたたかうこと、自治体の職場では成果主義がいかに住民サービスを切り捨てるか、学校では教師の仕事をねじまげるかを告発してたたかうことを提起。国会でも、「しんぶん赤旗」でもリアルに告発していくとのべました。
 非正規労働者を結集するために、正規労働者が非正規労働者の悩みに心を寄せ、その労働条件の改善を重視し、職制も含めた一致した要求にしていく努力、職場・地域が連携した取り組みを強調しました。
 公務員攻撃とのたたかいでは、公務労働者だけでなく住民の暮らしと安全への攻撃だということを広く伝え、住民・国民との連帯で打ち破ろうと呼びかけました。
 後継者をつくる問題では、若い世代の要求から出発し、悩みに心を寄せた活動の大切さについてのべました。また、労働組合の違いをこえ、あらゆる労働者のなかに根をおろす見地が大切だと指摘。日本共産党員としての生き方や、“労働者党員魂”を語り、職場の奥深くに党をつくっていこうとのべました。
 党機関の指導と援助では、不屈に奮闘してきた党員に敬意を持って接し、苦労に心を寄せ実情を聞き学ぶ、長期の目でとらえる、職場の活動を励ます独自の取り組みをおこなう、ことの三つを提起しました。
 最後に志位氏は、「労働者階級の地位と権利の向上ぬきに日本国民の生活条件の改善はありえない」と指摘。「労働者階級は、社会主義・共産主義への前進を歴史的使命とする未来を担う階級だ。そこで多数者となって民主連合政府への道を開くという展望をもってたたかいを前進させよう」と呼びかけました。

志位委員長の報告(骨子)
一、講座の目的――全国からの聞き取り調査をうけて
二、情勢をどうとらえるか――大会決定の生命力に確信を
(1)「ルールなき資本主義」「新自由主義」の害悪が噴き出す
 (2)基地・憲法問題とアメリカいいなり政治、教育基本法改悪について
 (3)政党状況の新たな展開と、日本共産党の役割
三、職場の現状をどうとらえるか――現状打開は日本社会の切実な要請
 (1)低賃金・無権利の非正規雇用労働者の急増
 (2)成果主義賃金を根源にした深刻な状態悪化
  賃下げ
  長時間過密労働
  命と健康の破壊、メンタルヘルス
  公務労働と教職員での矛盾
 (3)職場の矛盾をどうつかむか――三つの観点でとらえる
四、職場支部の活動をどう強化するか――「政策と計画」をもって
 (1)労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくる
  出発点はあいさつから
  労働者の全生活にわたってつきあう
  党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみ
 (2)「政策」について――どの問題でも「切実な要求」を出発点にして
  成果主義の職場支配とどうたたかうか
  非正規労働者をどう結集するか
  公務員攻撃とどうたたかうか
  労働者・国民に苦難をおしつける誤った考え方を打ち破る
 (3)「計画」について――後継者づくり、あらゆる労働者に根をおろして
  どうやって後継者をつくるか
  労働組合の違いをこえ、あらゆる労働者のなかに根をおろす
  職場の奥深くに党をつくる
  「しんぶん赤旗」の活動をしっかり位置づける
 (4)学習と党生活の確立――職場支部でこそ日本共産党らしい党づくりを
  綱領学習と支部会議こそ困難打開のカギ
  「仕事も、労働組合も、党活動も」の立場で
  職場支部に在籍している退職者の同志について
五、党機関の指導と援助について
おわりに――労働者階級の歴史的使命と日本共産党


2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

IBMのリストラ告発
闘争支援「会」結成に1300人


 新手のリストラを次々とかけるIBMを告発し、JMIU(全日本金属情報機器労組)日本アイビーエム支部がたたかっている二つの争議の早期解決に向けた集会が二十一日夜、東京都内で開かれました。首都圏を中心に約千三百人が参加し、IBM闘争支援全国連絡会を結成しました。
 世界中に事業展開するIBMは一九九〇年代に各国でリストラを断行。日本IBMは同時期、五年間で六千人の従業員を削減しました。徹底した成果主義で、賃上げは百五倍もの格差をつけ、人事評価で下位10%に入ると「ボトム10」と呼ばれ、退職に追い込まれています。
 集会と会の結成は昨年十一月、労組代表や弁護士、学者ら十三人が呼びかけていました。
 全労連の熊谷金道議長はIBMの手法について、「労働者を人間としてでなく、消耗品のごとく追い出す勝手気ままなリストラだ」と批判、「世論を広げ、理不尽なリストラをする企業経営を許さない流れをつくっていきたい」とのべました。
 会の代表委員の一人で自由法曹団の坂本修団長は「憲法九条はもちろん、人間らしく働くことを全力で守ると保障した日本国憲法は、世界でこの憲法だけだ」と強調し、このルール破りが横行する現状に、団結してたたかおうと訴えました。


2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

“安全性向上せず”3割
JR西3労組の調査発表


 JR福知山線事故を受けてJR西日本が策定した「安全性向上計画」を検証する集会が二十二日、大阪府の豊中市民会館で開かれました。主催した国鉄労働組合西日本本部と西日本旅客鉄道労働組合の組合員ら約七百人が参加しました。全日本建設交運一般労働組合(建交労)西日本鉄道本部も含めた三労組による約二万三千人の組合員へのアンケート結果が報告されました。
 それによると、「計画策定後、職場はかわったか」との問いに「変わっていない」との回答は国労では62%、JR西労組では27%。全体では「変わらない」29・2%、「変わった」6・2%、「少し変わった」28・4%でした。
 「事故の芽」(事故に至らない軽微な事象)について、81%が「報告した」と回答、15%が「報告していない」と回答しました。報告するとマイナス評価を受けることから、報告できない状況があることをうかがわせます。
 管理職が組合員に服従をしいていると批判された「現場長・現場管理者とのコミュニケーション」について73・7%が「以前と変わらない」と答えました。
 集会では井上枝一郎関東学院大学教授が「更なる安全確立に向けて」と題して講演しました。
 国労西日本本部の上村隆志委員長が、「集計は厳しいものを多く含んでいますが、最大の教訓は安全に関して組織の違いを超えて協力できたことです。引き続き安全輸送を確保するJR西日本を目指す」と閉会あいさつしました。


2006年4月23日(日)「しんぶん赤旗」

タクシー将来像探る 規制緩和検証シンポ
自交総連


 タクシーの規制緩和を検証し、将来像を探るシンポジウム「もうひとつのタクシー 確かな再生へ」が二十二日、東京都内で開かれました。自交総連の主催(全労連「もうひとつの日本」闘争本部、交運共闘の協賛)で、約五百三十人が参加しました。
 行政と労資の代表、利用者らが討論し、公共交通機関としてのタクシーの安全・安心の確保の重要性などで意見が一致しました。
 日の丸交通の富田昌孝社長は、二〇〇二年の規制緩和後の業界の現状について「一番の問題は安全だ。規制緩和でタクシーの事故が増えている」と指摘。国土交通省自動車交通局の岡野まさ子氏は「安全・安心のサービスは最大の使命だ」とのべました。
 利用者の立場から、東京都地域婦人団体連盟の飛田恵理子氏が「くらしの安全性の向上を願っている」と要望し、自交総連の今村天次書記長はタクシー運転免許構想について説明しました。
 主催者あいさつで、領家光徳委員長は「規制緩和の四年間の評価は失敗だった。荒廃の道か、それとも再生か、大きな歴史的な分岐点にある」と語りました。
 現状報告では、増車率が全国一の仙台市や数十種に及ぶ運賃状況の大阪など、地方都市の実態が紹介されました。タクシー免許をめぐり自交総連がロンドンに派遣した調査団報告もありました。


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