2006年4月22日(土)「しんぶん赤旗」

臨時が正職員になった 経済連と労組和解 女性差別是正へ一歩
山形


 「雇用・賃金の男女差別は許されない」との女性たちの訴えが実りました。山形県酒田市の庄内経済連(現・全国農業協同組合連合会庄内本部)の女性臨時職員でつくる労働組合「すみれ会」の組合員十二人と庄内経済連との間で二十日までに和解が成立しました。

 和解内容は、一年更新だった雇用契約を廃止し、正職員と同様に期限の定めがない雇用契約を確認。賃金についても、日給制から月給制に移行し、六十歳を定年とし退職金制度を設けます。和解時(三月二十日)を基準として月額賃金に四万円加算し、和解金をすみれ会に支払う、名刺・パソコンを早急に付与・貸与する――などとしています。「本和解が、原告らの地位を固定するものではなく、原告らの雇用条件策定の出発点である」との確認もしました。
 組合員らは二〇〇〇年三月、山形地裁に提訴しました。当時、勤務年数は十二年から二十五年にわたっていました。組合員が臨時職員でしか採用されずにいたとき、男性は毎年数人正職員として採用。男女雇用機会均等法の施行後、女性正職員を採用しましたが、組合員は、臨時職員にすえおかれたままでした。このため正職員と同じ勤務時間で働きながら、賃金は四割から七割しか支払われず、「女性を理由にした雇用差別だ」として、雇用条件の改善や慰謝料を求めていました。
 提訴後、庄内経済連は、「正職員と変わらない」と主張する組合員にたいし、仕事をとりあげるなどの嫌がらせをしてきました。組合員たちは、これに屈することなく、「私たちは、働く環境の平等を求めます」「私たちの仕事の正当な評価をして」と訴えつづけてきました。
 原告らは二十二日に酒田市内で和解報告会を開きます。


2006年4月22日(土)「しんぶん赤旗」

トンネルじん肺根絶して
補償求め176人、第2陣提訴


 公共事業のトンネル掘削作業に従事し、じん肺になった患者など全国で百七十六人が二十一日、国とゼネコンを相手取り、じん肺の防止と補償制度の設立を求める「全国トンネルじん肺根絶第二陣訴訟」を東京地裁、仙台地裁、熊本地裁に起こしました。これは二〇〇二年に集団提訴した第一陣訴訟に次ぐものです。

 訴状は、現在も膨大なじん肺患者が生まれているのは、国と企業が根絶を先送りにし、労働者を危険にさらしつづけているためとしています。そのうえで、(1)国がじん肺防止のための具体的な措置をとる(2)ゼネコンが補償のための基金、患者が裁判を起こさなくても補償される制度をつくる―ことを求めています。
 記者会見で、原告弁護団長の小野寺利孝弁護士は、企業だけでなく国も訴えた理由について「このまま国の政策として、じん肺を容認し続ければ新たな犠牲者が生まれ続ける。国の法的責任を位置付けなければ、抜本的な政策転換は難しくなっている」と説明しました。
 原告の一人(62)は約四十年間、トンネル掘削労働者でした。胸に手をあてて語りました。「わたしの心臓の音を聞いてください。動悸(どうき)が激しいでしょう。呼吸が苦しく、困難です。国は粉じんの中にわたしたちを閉じ込めて働かせました。許せません」
 提訴前の集会には、全国から原告、弁護士、支援者ら約百七十人が集まりました。
 原告団を支援している全日本建設交運一般労働組合の佐藤陵一委員長は「原告たちは、国の公共事業で戦後日本の基盤整備を担ってきた。しかし、その中で、働く者の命と健康がないがしろにされていた。今回の訴訟は、安心・安全な社会をつくる運動の一環です。ぜひ支援してください」と述べました。
 第一陣訴訟原告団の船山友衛団長は「いま、命がけのたたかいが始まっています。国は責任を認めて謝ってほしい。悲惨な実態に救済の道を開いてください。じん肺患者に光をあててください」と訴えました。


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