2006年4月9日(日)「しんぶん赤旗」

約800人が労災申請
アスベスト救済新法で遺族ら


 アスベスト(石綿)健康被害救済新法にもとづく申請が三月二十日から始まり、労災救済の時効(五年)のすぎた遺族など、全国で申請数が約八百人に達したことが八日までの厚生労働省の集計でわかりました。
 環境省では、このほか約千二百人の救済申請をうけつけています。厚労、環境の両省分合わせて二千人近くがすでにアスベストの健康被害救済の申請をしており、二〇〇四年度(二百十件)の十倍近い勢いになっています。
 厚生労働省補償課によると、三月三十一日までの十日間余で、労働基準監督署が窓口となって、新法にもとづく労災の特別遺族給付金(年金として年額二百四十万円)、一時金千二百万円の申請をした人は七百八十二人にのぼっています。申請が一番多かったのは兵庫管内の百十三人。大阪管内百人、神奈川管内六十八人、広島管内五十二人とつづきます。
 各地の労働基準監督署がうけた相談数は二千百九十七で、申請の手続き方法や遺族らに支給される年金の給付額などについての問い合わせでした。救済申請や相談が多いのは、問題発覚のきっかけとなった大手機械メーカー「クボタ」工場所在地はじめ米軍基地、造船所などアスベストを取り扱う施設立地地域となっています。


2006年4月9日(日)「しんぶん赤旗」

企業のCM「ニュース」として放映 全米77局
米民間組織が実態告発


 【ワシントン=山崎伸治】ニュース報道だと思って見ていたテレビが、実は企業の宣伝だった―公正な報道の実現を主張する米国の民間組織「メディアと民主主義のセンター」は六日、大企業の依頼で宣伝会社が作製したビデオをテレビ局が「ニュース」として放映している実態を告発する報告書を発表しました。
 同センターが二〇〇五年六月から〇六年三月まで調査した結果、全米七十七のテレビ局が三十六種類の「ビデオ・ニュース・リリース」(VNR)や「サテライト・メディア・ツアー」(SMT)を使用していたことがわかりました。
 VNRは、企業などが配布するビデオ版の宣伝資料です。リポーターが現場におもむき、視聴者に語りかけるなど、ニュース仕立てになっています。SMTは、企業がおぜん立てをして、衛星通信を使ったインタビューを提供するというものです。
 報告書によると、判明した八十七件のVNR使用について、ほとんどのテレビ局がVNRに基づくものであることを隠し、あたかも独自に取材した「ニュース」のように放映していました。
 そのうち三十一件は、VNRをそのまま使用。その他は、独自に取材した情報を盛り込んで作り直したり、放送局のリポーターが登場したりしていましたが、元のVNRの言い回しをそっくり繰り返していました。
 三十六種類のVNRのスポンサーはいずれも、ゼネラル・モーターズ(自動車)、ファイザー(医薬品)、インテル(コンピューター機器)などの大企業です。このうちパナソニックやナムコなどコンピューターゲーム会社がスポンサーとなったVNRは昨年末、九局で放映されました。女性評論家がクリスマスプレゼントのために、子ども向けのコンピューターゲームを評価するというもので、スポンサーが発売しているゲームを推奨するという内容でした。
 VNRをめぐっては昨年、米国務省が作成した「ニュース」を放映していたことが問題になりました。
 この背景には地方のテレビ局が財政難から、十分な独自取材ができなくなっているという実態があります。


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