2006年4月2日(日)「しんぶん赤旗」

これで“家庭にやさしい企業”? 毎日残業なのに表彰
小池議員指摘


 「ファミリーフレンドリー(家庭にやさしい)企業」として表彰した企業について、子育て支援の実情は公表できない―厚生労働省のおかしな対応が三月三十日の参院厚生労働委員会で失笑を買いました。日本共産党の小池晃議員がとりあげたものです。
 厚生労働省は毎年、仕事と育児・介護が両立できるような制度を設けて効果を上げている企業を「ファミリーフレンドリー企業」として表彰しています。昨年はソニー、東芝、松下電器産業が厚生労働大臣優良賞をうけ、ヤマハが努力賞になりました。

 小池氏 表彰企業の男性の育児休業取得の実績はどれだけか。
 北井久美子厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 公表は表彰企業との関係で差し控えたい。
 表彰基準では数万人の従業員のなかで一人の取得でもいいとなっています。
 小池氏が「小さすぎて公表できないのではないか」と重ねてただしたのに対し北井局長はやはり公表を拒否。自民党議員からも「何で出さないんだ」「おかしいじゃないか」と声が飛び、北井局長は「男性の育児休業取得者は優良賞の企業には複数いる」と答えるのがやっとでした。
 小池議員は表彰された東芝の事業所では年間九百時間まで残業できる特別協定があるとして「毎日四時間残業、帰宅は深夜だ。これでファミリーフレンドリー企業なのか」と追及。千人以上が働く川崎の同社事業所が昨年十二月に労働基準監督署からサービス残業の摘発を受けたことも指摘しました。
 小池氏が「日本の正社員の長時間労働は悪化している。一方で膨大な非正規雇用がいる。異常な職場環境を変えない限り、少子化に歯止めをかけることはできないのではないか」と問うたのにたいし、川崎二郎厚労相は「非正規雇用、フリーターを正規雇用に変えていく努力が社会として求められている。労働時間は法に照らしてきちんと対応しなければならない」と答えました。


2006年4月2日(日)「しんぶん赤旗」

中小企業 50万社減  小泉政権下 4年間で
中小企業庁調査速報


 規制緩和や「不良債権」の早期処理などを推進した小泉政権下の四年間で中小企業の企業数が五十万社以上減少したことが分かりました。
 中小企業庁がまとめた「〇五年中小企業実態基本調査」(速報)によると、二〇〇五年の中小企業数は法人と個人合わせ三百八十四万社で、〇一年事業所・企業統計調査と比べ五十万九千社(11・7%)減少しました。法人企業で十三万六千社(8・7%)、個人企業で三十七万四千社(13・4%)の減少です。
 大型店の出店規制緩和や消費不況の影響を大きく受けた小売業で十九万社(18・3%)減少し、下請け構造の崩壊で中小の縮小が進む製造業が八万社(15%)、飲食店・宿泊業でも九万社(12・5%)の減少です。
 減少は個人企業でとくに顕著で、小売業で20%、製造業で19・5%減少しました。

 中小企業全従業者数は三千五十八万人で、〇四年調査に比べ、約百三万人(3・3%)減少しました。小規模企業の従業者の減少が目立ち、個人企業で約五十四万人(7・1%)減、従業者五人以下の法人企業で十五万人(3・9%)の減少です。
 調査は標本とする四万五千七百七十六社の回答をもとに中小企業の全体像を推計したもの。調査時点は〇五年九月。


2006年4月2日(日)「しんぶん赤旗」

中小企業向け政府系金融   縮小でなく充実こそ
民間の代わりに業者支える


 小泉内閣は「行政改革推進」法案を「構造改革」の総仕上げとしています。国民生活金融公庫など中小企業向け政府系金融機関の統合と貸出残高の縮小を求めています。中小企業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。(矢守一英)
 法案では、「政策金融改革」として、八つある政府系金融機関のうち、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などを二〇〇八年度に一つの機関に統合(国際協力銀行は一部を統合)、商工組合中央金庫などを民営化、貸出残高を〇八年度までに国内総生産(GDP)比で半減するとしています。新たな財政負担を行わないことも明確にしています。
 中小企業金融公庫の「一般貸付」(運転資金などの融資)の廃止も盛り込んでいます。ほかの施策についても、定期的に見直し、“必要性が低下した部分は廃止する”と事業縮小の姿勢を鮮明にしており、中小業者・企業向け融資の大幅な縮小につながることは明らかです。

民間は貸し渋り
 中小企業向け政府系金融機関は、民間の金融機関から資金を借りることが困難な中小企業のセーフティーネット(安全網)としての役割を果たしてきました。
 民間金融機関は、最近になって貸し出しを増やす傾向を示しているものの、対象は限られており、中小企業に対しては、依然貸し渋りを強めています。
 政府自身も、「業績が順調な業種は、無担保や低利な融資を受けることが可能だが、そうでないところは、借り入れがより困難になっている」(経済産業省と中小企業庁の調査)と分析。〇五年度版『中小企業白書』も、中小向け民間金融機関の減少が続く中、政府系金融機関の場合は減少幅が小さく、「中小企業向け貸し出しの下支えをしている」と指摘しています。
 貸出残高で見ると、中小企業金融公庫は七兆五千億円、国民生活金融公庫は九兆五千億円にのぼります。国民生活金融公庫の融資先は百三十九万社、中小企業数全体の約三割に相当します。そのうち約九割が従業員九人以下の小企業で、一企業当たりの平均融資残高は六百四万円と小口融資が中心になっています。
 「最近は新規開業や無担保・無保証人で利用できる融資の希望が増える傾向にある」(国民生活金融公庫広報室)と民間金融を「補完」する政策金融の重要性はむしろ増しています。

“駆け込み寺”役
 中小企業家同友会全国協議会は昨年十一月、この問題で政府に要請しました。
 「地方に工場を建てるとき、地元の地銀は対応できず、中小企業金融公庫が応じてくれて助かった」
 「日本の開業率が低くなっているが、国民生活金融公庫がなかったらもっと悲惨な状況になる」
 同協議会は、寄せられた中小企業者の声とともに「緊急政策提言」を示しました。
 「提言」は、原点である中小企業基本法が「中小企業に対する資金の供給の円滑化を図るため、政府関係金融機関の機能の強化、信用補完事業の充実…を講ずる」(第二三条)とうたっていることを指摘。それぞれの金融機関の特性、補完的役割を生かして育成する政策方向をとるよう求めました。
 「新しい事業を起こす際の新規開業資金は民間の金融機関ではなかなか貸してくれません。そのとき頼りになるのが、国民公庫や中小公庫です」と話すのは大阪府中小企業家同友会事務局次長の山浜光一さん。
 「政府系金融機関は困ったときの“駆け込み寺”のような存在。機能を縮小するのではなく、さらに充実させるべきです」

関係団体が要望・署名
 中小企業関係団体は、政府への要請や署名運動を広げています。
 日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会の中小企業四団体は昨年十一月、二階俊博経済産業相と懇談し、「政府系中小企業金融機関の機能と役割の維持・強化」を要望しました。
 大阪商工団体連合会は、「公的金融は縮小・撤退でなく拡充が必要」と百六十五の業界団体から署名を集め、府議会に対し、「意見書」の採択を陳情しています。


2006年4月2日(日)「しんぶん赤旗」

仏大統領  新雇用策署名の意向
修正も指示 学生は対決姿勢


 【パリ=浅田信幸】新雇用策「初採用契約(CPE)」についてシラク仏大統領は三十一日夜、テレビ演説を行い、憲法評議会の「合憲判断」に従い同法に署名するとともに、ただちに修正法案を提出する意向を示しました。学生や労組はこれに反発しています。
 シラク大統領は演説のなかで、「署名することを決意した」と述べ、試用期間として採用後二年間は雇用主が自由に青年を解雇できるとする雇用策を成立させる意向を表明しました。同時に、二年の試用期間を一年に短縮し、解雇の理由について「知る権利」を明記した「法律の修正を直ちに準備する」よう政府に指示したと述べました。
 この二点は、ドビルパン首相が二週間前から明らかにし、労組、学生団体を説得しようとしてきた内容であり、新味はありません。CPEの施行日はとくに明言しませんでしたが、一両日中にも官報に掲載される予定で、掲載と同時に法律は発効します。
 大統領はまた、新たな規定が成立するまでCPEに基づく雇用契約が結ばれないよう求める意向を表明。「建設的社会対話」の重要性を強調し、各団体の代表が新たな規定の作成に参加するよう呼びかけました。
 これに対し、CPEの撤回を求めてきた労組や学生団体、野党は「署名で法律を押しつける一方、修正のための交渉開始というのは大きな矛盾だ」「若者は軽蔑されたと感じる」(ジュリヤール全国学生連合委員長)、「大統領は対決を選択した」(共産党)などといっせいに反発。「圧力をかける新たな理由が付け加わった」(ティボー労働総同盟書記長)と、四月四日の全国スト・デモに向けて全面対決の構えです。


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