2006年3月28日(火)「しんぶん赤旗」

厚労省 事業主向けパンフ改訂 65歳までの雇用継続
選別採用事例を削除


 六十五歳までの雇用継続をすべての事業主に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が四月から施行されます。これを事業主に周知徹底するために厚生労働省が作製したパンフレットが、労働組合などの是正要求を受けて改訂されていたことがわかりました。
 問題のパンフレットは、法改正の趣旨が希望者全員を雇用することを原則としているのに、「社内技能検定レベルAレベル」、「営業経験が豊富な者」(全国の営業所を3カ所以上経験)、「過去3年間の勤務評定がC(平均)以上の者」(勤務評定が開示されている企業の場合)などを例示し、企業が選別雇用を自由にできるような印象を与える記述になっていました。新たに作製したパンフレットでは、この部分を削除しました。
 参院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃議員が「労組から、最初から労働者を選び出すことを前提にするような記述は誤解を招く、不適切だという声が上がって改善した部分があると聞いているが、どこをどう改善し、周知徹底されているのか」とただしたのに対し、厚労省が答えました。(二十二日)
 鈴木直和・職業安定局長は「継続雇用制度の導入は希望者全員を対象とすることが原則である旨を明示的に説明するよう、労働局やハローワークの担当者にメールマガジンで注意を喚起している。同時に、この点を特に強調し、労使納得による基準策定にいっそう資するよう見直したパンフレットを新たに作製し、全国に配布している」とのべ、四月以降も全事業主に対して周知に努めたいと約束しました。
 全労連やJMIU(全日本金属情報機器労組)などが、パンフレットの改善や法改正の趣旨の徹底を求めていました。


 全労連の坂内三夫事務局長の話 全労連と国民春闘共闘委員会は昨年秋、継続雇用に関する回答・協定状況の調査を実施した。JMIUなどの各単産も、不当な選別基準を職場ごとに撤回させる運動に取り組むとともに、厚労省に対して“希望者全員の雇用”という法改正の趣旨を行政指導の中心に据えるよう要請してきた。メールマガジンによる指導改善措置は不十分ながら、こうした運動の成果である。これも活用しながら、希望者の全員雇用や生活できる賃金保障を求めていきたい。


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