2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

正規求人増というが 1/4が請負労働(製造業)
小池氏追及 違法横行、是正求める


 求人の四人に一人が請負の仕事―。日本共産党の小池晃参院議員が追及した二十二日の厚生労働委員会で、そんな雇用実態が明らかになりました。小池氏の質問に厚生労働省が答えたものです。

(写真)質問する小池晃議員=22日、参院厚生労働委

 小池氏は、三日に発表された労働力統計をもとに、けた違いに正規雇用が減り、非正規雇用が増えている状況をただしました。この四年間に正規労働者数は計百十五万人減る一方、非正規労働者数は計百八十二万人増加し、過去最多になっています。
 小池氏は、厚労大臣が増えたといっている正規労働者の就職数には作業現場が別会社になって転々と移動する業務請負の求人が含まれているとして、同省が今年一月に調査した製造業における新規求人数に占める業務請負の割合を明らかにするよう求めました。
 同省が明らかにした数字によると、全国平均は24・7%と四人に一人が請負の求人になっていました。地域別では一番高いのが九州地域の33・9%です。次いで東北31・1%、東海29・5%と軒並み三割前後に達しています。
 小池氏は、確かに求人全体では求人倍率は一倍を超え、正社員も増える変化はあるとはいえ、依然として〇・六七倍にとどまり、厳しい状況に変わりないとのべました。
 しかも、正社員の枠で募集されている請負労働者は、労働基準法や派遣法違反が常態化し、とても正社員の雇用と呼べない職場環境で働かされていると指摘しました。
 小池氏は「請負求人の高い地域も含め全国調査を実施し、全容を明らかにし、法違反を是正することが必要ではないか」とただしました。
 鈴木直和・職業安定局長は「今後、大都市部以外も調査したい」と答えました。

 業務請負 メーカーなどの製造ラインや営業業務を一括して受託し、自社で業務遂行責任を負うアウトソーシング(外部委託)型のビジネス。しかし、業務請負とは名ばかりで実態は派遣法逃れの偽装請負(実態は派遣)が多く労働者は無権利状態に置かれています。


2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

非正規の現状調査したい 偽装請負問題で経産相
塩川議員質問


(写真)質問する塩川議員= 22日、衆院経済産業委

 二階俊博経済産業相は二十二日、衆院経済産業委員会で、トヨタ自動車系列の光洋シーリングテクノ社の偽装請負問題に関連して「長年働き、技能をもった人が、将来に希望の持てる道を開くためにどうすればよいか。経営者といろんな話し合いの場を通じて相談していきたい」と述べました。日本共産党の塩川鉄也氏の質問にこたえたもの。
 塩川氏は、同社の派遣・請負労働者を例に、ものづくりの中核部分で、請負企業による非正規雇用化が進んでいる問題を指摘。高度な技能を持つ工場労働者が、三カ月ごとの契約更新、正社員の半分程度の給与待遇を強いられているという実態を示し、「こういう現状をどう思うか」とただしました。二階経産相は「非正規雇用者の立場を経営者として十分に考えていかなければならないのは当然だ。現状がどうなっているか、特に注意を払って調査したい」と答えました。


2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

産別最賃の新設要求
日本医労連 7県で労働局に表明


 日本医労連は二十二日、病院で働く看護師と准看護師の最低賃金の底上げをはかる医療分野での産別最低賃金の新設を求め、岩手や秋田、長野など七県の地方組織が同日、各県の労働局に意向表明したと発表しました。今夏に予定の申請に向け、申請に必要となる対象労働者の三分の一の合意署名をめざします。
 厚生労働省の二〇〇三年の病院報告によると、病院従事者の総数約百六十四万五千人のうち、看護師と准看護師は約七十八万四千人と半数近くを占める基幹労働者です。地域や院所、パートなど雇用形態の違いによる賃金格差は大きく、医労連の調査でも、初任給の格差は看護師で十万円超、准看護師で八万円になっています。
 東京都内で会見した田中千恵子委員長は、深刻な人手不足による労働条件や賃金の格差が、医療事故など安全・安心であるべき医療に影響を及ぼしているとし、「最低賃金を定め、賃金の底上げをしていかなければ、医療の質そのものが保てない」と語りました。
 この日、岩手、秋田、山形、福島、長野、島根、山口の七県で各労働局に意向表明しました。
 申請が行われると、各都道府県が対象労働者の賃金実態を調査。地方最低賃金審議会で最賃の設定に賛成が得られれば、具体的な金額を審議する専門委員会が設置され、一致すると制度化されます。


2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

「必要に応じ見直す」 航空機整備規制緩和 国交相が答弁
小林議員質問


(写真)質問する小林議員=22日、参院国交委

 航空機の整備ミスが相次ぐ中、二十二日の参院国土交通委員会で、北側一雄国交相は、航空機の整備に関する規制を「必要に応じて見直す」と述べました。日本共産党の小林みえこ議員が政府の規制緩和を批判し、見直しを求めた質問に答えました。
 小林氏は、航空機の亀裂を修理せずに運航していたスカイマークエアラインズの問題を取り上げました。国交省は昨年六月、同社が整備士の人員を満たしていないとして「厳重注意」していました。小林氏は「整備士が配置されていなかったのは重大」とし、こうした事態を生み出す要因として、航空会社の整備費削減と政府の規制緩和をあげました。
 航空業界では、日本航空(JAL)と全日本空輸(全日空、ANA)が一九九二年から整備費を削減しています。両社は九〇年に定例整備の間隔を延長、九七年に整備作業後に別の検査員が検査を行う二重確認の項目を縮小しました。国交省はこれらを認可しています。
 政府は航空法を改悪して、九二年に、航空機の到着から出発までの間に行う点検(飛行間点検)の整備士を一便に二人から一人に減員しました。九四年に定例整備の海外整備工場への委託を認めるなど、規制緩和を進めてきました。
 「航空の安全を保障するためには、これまでの規制緩和を見直す必要がある」と小林氏。北側国交相は「必要な規制はしていく。整備規定を含めて、必要に応じて見直しをしっかりしていく」とのべました。


2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

フェロシルト撤去早く 産廃再利用の禁止求める
市田議員


(写真)質問する市田議員= 22日、参院環境委

 有害物質を含む産業廃棄物をリサイクル製品として認めたため、汚染被害が拡大している―。日本共産党の市田忠義議員は二十二日の参院環境委員会で、三重県がリサイクル製品に認定した発がん性の有害物質を含む「フェロシルト」の早急な撤去と有害物質を含む廃棄物の資源化を原則禁止するよう主張しました。
 フェロシルトは石原産業(本社・大阪)が酸化チタンを製造する際に発生する廃硫酸を再利用した「製品」として出荷され、埋め戻し用土木資材に使われています。ところが、フェロシルトが埋設されている土壌から環境基準を超える発がん性物質の六価クロムが検出され、愛知県瀬戸市北丘町ではフェロシルトによる国の特別天然記念物オオサンショウウオの死滅が心配されています。
 フェロシルトを産廃処理すれば一トンあたり八千円―一万円かかりますが、「製品」として出荷すれば一トンあたり百五十円で販売できます。
 市田氏は、石原産業がフェロシルトの数十億円の産廃処理費用を浮かせていたとして、リサイクル製品としてお墨付きを与えた三重県の認定制度に問題があるとただしました。また環境省として各県に認定制度の総点検を促すべきだと求めました。
 小池百合子環境相は国の対応に問題がないとしながら、フェロシルトの撤去について「関係自治体に指導と助言を進めていきたい」と答弁。「リサイクルの名を借りて自治体の審査を欺く事例は遺憾であり、リサイクル製品の性状などについて慎重な審査が行われるべきだ」とのべました。


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