2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」

全労連 全国縦断キャラバン開始
格差社会を是正し安全・安心な日本へ


 全労連の「もうひとつの日本」闘争本部は十七日、小泉「構造改革」による公務・公共サービスの縮小や民営化から国民生活の安全や安心を守ろうと、地域で対話と共同を広げる「全国縦断キャラバン行動」を開始しました。約一カ月間かけて全都道府県を回り、自治体要請、街頭宣伝、集会などに取り組みます。

(写真)開始した全国縦断キャラバンで宣伝する山口氏(左)ら=17日、東京・JR品川駅港南口

 闘争本部は、全労連が昨年十二月に設置しました。「官から民へ」「小さな政府」を背景にした耐震強度偽装事件や社会問題化している格差社会に反対する国民世論を盛り上げ、「もうひとつの日本」をめざす運動を広げます。
 キャラバン初日の東京都内の行動では、主要六カ所の駅頭で街頭宣伝。JR品川駅港南口の宣伝には約二十人が参加し、ビラを配りました。
 闘争本部の常駐役員で自治労連の山口毅書記次長は「小泉『構造改革』で、わずかの『勝ち組』と、多くの『負け組』がつくられ、私たちのくらしは苦しくなっている」と強調。「日本の格差社会を是正し、安全で安心な日本を一緒にめざしましょう」と呼びかけました。
 小泉「構造改革」をめぐり、郵産労の砂山洋一副委員長が「生活に不可欠な郵政サービスを切り捨てる安上がりの政府だ」と批判。東京春闘共闘会議の伊藤潤一事務局長も「『小さな政府』とは国が責任を持たず、国民に自己責任を迫る政府です」と訴えました。


2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」

仏・高校生ら50万人デモ
“使い捨て労働者にならない”


(写真)16日、新雇用策(CPE)の撤回を叫び行進するパリの学生たち(浅田信幸撮影)

 【パリ=浅田信幸】フランスで十六日、若者の解雇を容易にする新雇用策「初採用契約(CPE)」の撤回を求める大学生、高校生らの統一行動が行われました。仏全国学生連合(UNEF)の発表によると全国七十カ所以上でデモが行われ、パリの十二万人をはじめ計五十万人(警察発表二十五万人)の若者が参加し、戦後の仏学生運動史上、有数の規模に達しました。
 若者たちは「ドビルパン(首相)、おまえの試験採用期間は終わった」「われわれは使い捨て労働者にならない」などと叫びながらパリ市内を行進しました。
 高校生のドニ君は「機動隊の催涙弾が全部変えてしまった。みんな頭にきている」と語り、先週末、パリのソルボンヌ大学に機動隊が突入し、占拠中の学生を排除したことを非難しました。同大に機動隊が入ったのは、「五月革命」と呼ばれた一九六八年以来のこと。
 この日の行動は、学生、高校生、政党の青年同盟ら十数組織で結成された「CPE反対青年連絡会」が呼びかけたもの。仏全学連の集計によると、全国八十四大学のうち六十四大学で学生ストが実行されました。高校生の主要組織の一つ独立民主高校生連盟(FIDL)は「本日のデモは自分の未来を守る青年の決意を明確に示した」との声明を発表しました。

解雇自由策強行に反発
 【パリ=浅田信幸】若者の解雇を容易にする新雇用政策「初採用契約(CPE)」をめぐる仏政府と労働者・学生との対決が最大のヤマ場を迎えています。労組、学生・高校生組織は十八日、「CPE撤回」を要求して第三次共同行動に取り組みます。
 CPE撤回闘争が広がるとともに、ドビルパン首相は、極小部分の修正に応じる姿勢を見せるとともに、政府、経営者団体、労組の間の「社会的対話」のテーブルにつくよう労組に求めました。しかし労組側は「CPE撤回が前提条件」との態度を崩していません。
 CPEは、企業に二十六歳以下の若者の採用を促すためとして、企業の社会保障負担分を三年間免除する一方、通常一―三カ月の「試験採用(見習い)期間」を二年間とし、この間の解雇を自由にするものです。
 一月半ば、ドビルパン首相が新雇用策を発表すると、労組はこれを「不安定労働の制度化」だとし、直ちに反対を表明しました。

審議打ち切り強権的に通過
 内容とともに政府の手法も問題です。議会の法案審議は一月三十一日から始まり、法案は三月九日に採択され成立しました。この間、教育関係では二月五日から三月五日まで基本的に冬休みでした。
 審議を早めるため、首相は国民議会(下院)審議の打ち切りと採決なしの通過という政府権限を発動して、法案を上院に送りました。
 さらに労働者の権利、労働法にかかわる問題でフランスでは政労使三者の事前協議が慣例となっていますが、これを無視して一方的に発表され、法案が提出されました。
 このため、「街頭デモより交渉を」の“改良主義”的姿勢をとると言われる民主労働同盟(CFDT)も最初からデモの呼びかけに参加しました。

デモの規模はさらに拡大へ
 十八日におこなわれる第三次労学共同の行動は、これまでの規模をさらに大きく上回ることは確実です。
 ドビルパン首相は昨年五月に就任以来、失業問題の打開を最優先課題とし、昨年五月以降、失業者数は九カ月連続して漸減し、現在、失業率は9%台の半ばとなりました。
 しかし、来春の大統領選挙の候補者選びのレースでは同首相は常にサルコジ内相(与党国民運動連合の党首)に差をつけられており、失業減で首相としてのもう一段の成果を見せたいとのあせりがあったともみられます。
 十六日に公表された世論調査によると、国民の68%が「CPE撤回」を支持すると回答し、一週間前から13ポイントも一気に上昇。労働者や学生のデモを「支持」「共感」するとの回答も合わせて63%の高率に達しています。


2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」

社保庁 劣悪な労働条件 非常勤 184人不当雇い止め
小池議員追及


(写真)質問する小池議員=16日、参院厚労委

 日本共産党の小池晃議員は十六日の参院厚生労働委員会で、社会保険庁の謝金職員(年金などの専門的知識が必要な業務を行う非常勤職員)の劣悪な待遇を改善することを求めました。
 小池氏は、神奈川県内の社会保険事務所を視察・調査した経験をふまえて実情を紹介しました。
 年金などのこみいった相談を一人で一日に二十件以上対応するなど謝金職員の果たしている役割は大きいにもかかわらず、午前八時半から午後五時まで働いても日給七千七百円(二十日勤務で十五万四千円)で、定期昇給や夏季休暇もありません。また、月十八日以上の出勤が六カ月続けば退職金を出す決まりになっているために、五月と十一月は勤務日数を十七日に制限して退職金を出さないようにしています。
 小池氏は、こうした事実を挙げ、「このような劣悪な労働条件を放置していいのか」と迫りました。
 また、年金保険料未納者のデータを社保庁職員が「のぞき見」したとされる問題で、戒告以上の処分を受けたうえに、三月末に雇い止めになる謝金職員が百八十四人もいることを指摘。そのなかには「見ていない」と訴えている謝金職員まで含まれていることをあげ、「労働行政に責任を持つ厚生労働省がこんな無法をやっていいのか」と追及しました。
 川崎二郎厚労相はまともに説明できず、「基本的に問題ない」などと答弁。小池氏は「ひとつの問題で二度も罰するのは許されない」と主張しました。


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