2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」

賃上げ 全労働者に
全国各地春闘行動


 「これからが春闘本番。すべての労働者に賃上げを」と全労連などでつくる国民春闘共闘委員会は十六日、前日の企業側の一斉回答を受けて、要求に満たない賃上げの上積みや、サラリーマン増税反対などを掲げた全国統一行動を行いました。四十七都道府県で約二十六万人が朝からストライキや集会、デモ行進にと行動しました。
 全日本金属情報機器労組(JMIU)、通信労組、建交労、日本医労連、出版労連などが全国でスト。公務員も国民サービスを守れと宣伝や集会を開き、地域でも札幌で非正規労働者向けのミニパンフ配布、大阪市で女性による「菜の花総行動」など多彩なとりくみがおこなわれました。
 東京西部の三多摩国民春闘会議とJMIU東京西部地区協議会が国分寺市内で開いた決起集会には約七百人が参加。全労連の熊谷金道議長は「労働者、国民のふところが豊かになり、安心できる社会こそが大事だ。要求に確信を持ち、元気いっぱい春闘をたたかおう」とあいさつしました。
 ストを実施した補聴器のリオンの労働者は「仲間の団結」「おとうさんの働く手 リオンと家族を支える手」との言葉を添えて各人の手形を押した横断幕を掲げました。
 東芝子会社のアジアエレクトロニクスでは組合の要求でパート時給を十五円引き上げました。四年連続で定期昇給のみの回答に男性(44)は「続いて若い人のためにベースアップをぜひ勝ち取りたい」。JMIU三鷹精工支部の男性(25)は一次回答から三百円増えたものの、十六万円の月給に「将来の生活設計が立てられない。もっと賃上げを求めたい」と語りました。


2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」

サラ金CM自粛拡大
大手5社 午後10時まで 総量規制も


 サラ金大手五社(武富士、アコム、プロミス、アイフル、三洋信販)が、四月からテレビCMの自粛規制の時間帯を延長することが十六日までに分かりました。
 五社は午後五時―九時の時間帯でのCM放送を自粛してきましたが、これを午後十時まで延長。午前七―九時の放送も取りやめます。午後十時から深夜零時までは月間の本数の総量を規制します。
 サラ金の営業をめぐっては、自己破産の増加や青少年への影響など社会的批判が高まっていました。利息制限法を超えた高金利に対し、最高裁判決では無効との判決が出ていました。
 日本共産党の大門実紀史参院議員は十五日の参院予算委員会で、大銀行から低利で資金を調達し、脱法的な高利で貸し出すサラ金の仕組みを追及しました。それにたいし与謝野馨金融担当相がサラ金などのCMは「不愉快だ」と答弁しました。
 アコムは「社会的環境を総合的に判断して、自主的に判断し決めた」と説明。二〇〇三年にCM自粛などを求める「見解」を出した日本民間放送連盟(民放連)は「自粛の考え方には『見解』がベースにあると思うが、われわれは今回は何も関知していない」と話しています。


2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」

米国がサラ金と同要求 “出資法上限金利引き下げ反対”
大門議員が指摘


(写真)質問する大門議員=16日、参院財政金融委

 日本共産党の大門実紀史議員は十六日、参院財政金融委員会で、サラ金問題を取り上げ、米国がサラ金業界と同じ要望を日本政府に提出していることを指摘しました。
 一連の最高裁判例によりサラ金の高金利獲得の道が閉ざされたなかで、貸金業界は(1)金利規制撤廃もしくは出資法の上限金利(29・2%)の引き上げ(2)融資・返済時に義務づけられている書類のIT書面一括法の適用(電子メールなどによる交付の許可)―を要求しています。
 大門氏は「二〇〇二年七月に在日米国商工会議所は『出資法上限金利の引き下げをしないよう強く求める』とする意見書を出した。同じく〇四年十一月にはIT書面一括法の適用を柱とした意見書を出した」と述べ、事実関係の確認を求めました。金融庁の三国谷勝範総務企画局長は意見書の存在を認めました。
 IT書面一括法(二〇〇一年四月施行)は商取引で義務づけられている書類を電子メールなどにかえることを認めたものですが、貸金業は「契約をめぐるトラブルの多発」を理由に適用除外になっています。
 大門氏が「当時以上にサラ金のトラブルは増えており、IT書面一括法を適用する状況にない」とただしたのに対し、与謝野馨金融相は「米国も貴重な意見の一つだが、意見は他にも多々ある」と述べ、慎重な姿勢を示しました。

“高金利当たり前は駄目” 金融相が答弁
 与謝野馨金融担当相は十六日、参院財政金融委員会で高金利のサラ金について「二十数%の金利が社会的な常識として当たり前だと受けとめられるような社会をつくってはいけない」と述べました。十五日の「サラ金のテレビCMは不愉快」と明言した答弁につづくもので、大手サラ金会社や銀行がテレビCMなどで借り入れを勧めている体質を批判したものです。日本共産党の大門実紀史議員の質問への答弁。


2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」

主張
外資献金解禁
この身勝手な「規制緩和」要求


 自民党は、政治資金規正法が禁止している外資系企業の献金を解禁するため同法を改悪する案をまとめ、今国会に提出しようとしています。政治を腐らせる企業・団体献金をさらに拡大するための「規制緩和」であり、身勝手な法制度いじりは絶対に許せません。

外国勢力による支配
 政治資金規正法は、外国人等からの政治献金受け入れを禁止しています(二二条の五)。国の政治や選挙が外国人や外国の組織・政府などによって影響を受けることを防止するという趣旨です。違反には「三年以下の禁固又は五十万円以下の罰金」という罰則も設けています。
 規制の対象には、外国人や外国法人だけでなく「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体」が含まれ、総務省の見解では、株式会社の場合、発行済み株式の過半数を外国人・外国法人が保有する会社もこれにあたるとされています。
 自民党はこの規制をとりはらい、(1)日本に本社がある(2)日本の証券取引所に上場している―の二条件さえみたせば、外資系企業からも献金を受け入れられるようにしようとしています。
 自民党の言い分はこうです。
 近年の資本の自由化で、有力企業でも外資比率が五割を超える例が増えてきた。たとえば東証一部上場企業でも、キヤノン、オリックス、日産自動車まで「外資」だ。外資系企業による日本企業の買収が容易になる改正会社法が二〇〇七年から施行されれば、さらに資金源が先細りする。だから規制緩和だ――。

 背後には財界の要求があります。
 日本経団連は昨年十月、奥田会長の後任にキヤノンの御手洗冨士夫社長を充てる人事を内定しました。そのさい会長を出す企業が「外資」として献金規制の対象となっていることが問題になり、御手洗氏も制度の変更を求めました。
 企業・団体献金は数々の汚職・腐敗の温床となり、くりかえしその廃止が議論になってきました。政治資金の提供は、主権者である国民の政治参加の手段のひとつであり、主権者ではない企業に、その権利はありません。日本に国籍のない外国人や外国企業に献金が認められないのも当然の原則です。
 自民党がこうした根本問題をあいまいにし、献金を増やすためだけに外資系企業による献金の規制を緩和しようというのはまったくの身勝手というほかありません。
 日本経団連は〇三年に、財界が要求する「優先政策事項」をもとに、政党の「通信簿」をつけ、献金額を決めるという献金あっせんを再開しました。その日本経団連の会長企業が献金できるよう規制を緩和しようというのは、自民党と財界による二重三重の身勝手というべきで、断じて容認できるものではありません。

企業・団体献金は禁止を
 日本経団連による企業献金あっせん再開は、文字通り政治を金で買う企業・団体献金の醜悪な姿を国民の前に示しています。大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義をすすめる小泉内閣の経済路線は、経済財政諮問会議をはじめとして政権の中枢に財界が直接乗り込み、金による財界の政治支配がつくられたことですすみました。
 民主主義に反する企業・団体献金はただちに禁止すべきです。外資系企業に献金を拡大する企業献金の規制緩和は、小泉政権の規制緩和が自民党と財界の利益のためであることを証明するものでしかありません。


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