2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

誇りもち 働きたい 正規雇用求め 青年・パートが集会
全労連主催


 「誇りをもって働きたい! 輝きたい! 輝こう!」――。全労連は十日、今春闘の焦点となっている青年や女性、パートの賃上げや待遇改善を求め、中央行動を東京都内で行いました。全国各地から来た労働者らが宣伝や集会、政府や国会、日本経団連への要請など、終日行動しました。

 「ワーキングプアです」というのは、広島市の学童指導員で十九年になる女性(49)。月給は十五万一千円。「私たちは仕事に誇りと責任を持っています。みなさんと力をあわせて均等待遇を実現したい」と話しました。
 青年四百人が「まともな仕事をよこせ、よこせ」とロック調で訴えながら銀座をパレード。愛媛県伊予市の男性(36)は「トラックを運転していたときは月に二百時間も残業していました。日本と青年の将来のために、正規の雇用が必要です」と求めました。
 日本経団連前。時給六百四十一円の地域最低賃金を今月から体験中の札幌市の男性(30)は、トヨタ自動車の会長でもある奥田会長あての手紙をマイクで読み上げ、「六百四十一円では、トヨタの新車は買えません。中古車ですら無理です」と訴えました。
 東京・日比谷野外音楽堂で開かれた決起集会には二千五百人が参加。あいさつした全労連の熊谷金道議長は、青年にまともな雇用を確保し、女性やパートの均等待遇をはかることは日本社会にとって重要課題になっていると訴えました。来賓あいさつした日本共産党の小池晃政策委員長は「小泉内閣は格差をなくすという政治の役割を放棄している」と批判。来日した韓国非正規労働センターのキム・ジュファン企画局長らが連帯あいさつしました。


2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

教員むしばむ超過勤務
石井議員に文科省 実態調査を約束


(写真)質問する石井議員= 10日、衆院文部科学委

 日本共産党の石井郁子議員は十日の衆院文部科学委員会で、教職員の長期療養者のうち半数が精神疾患によるものだとして、長時間労働を是正するためにも教員の迅速な加配を要求しました。
 文科省の調べでは教員の長期休職者のうち精神疾患によるものが一九九五年度で34%でしたが、〇四年度には56・4%と増え、過去最高となっています。補習授業や持ち帰り仕事で長時間過密労働は常態化し、各県で教職員の勤務実態調査が行われています。
 石井氏は「八割がストレスや不安を感じる」(高知県)、「一日平均で一―三時間の超過勤務時間が75%超」(青森県)などの事例を示して認識を問い、文科省としても実態調査を行うべきだとただしました。
 小坂憲次文科相は「まじめにとりくむ先生ほど子どもとふれあう時間が取れず悩みも大きい。現状を把握しながら負担を軽減したい」と答弁。馳浩副大臣は「勤務実態の調査、公表は当然やるべきだ」と答えました。
 石井氏は、概算要求しながら実施されなかった教職員の第八次定数改善計画を、三十人学級実施などを展望して新たに策定し来年度は実現すべきだと求めました。


2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

証券労働者がシンポ
ライブドア事件 「土壌に規制緩和」


 ライブドア事件を証券の現場の労働者たちがどう見たか、何が証券市場をゆがめているのかを報告、議論するシンポジウムが十日、東京都内で開かれました。全国証券労働組合協議会(全証労協)と銀行労働研究会の共催。
 全証労協の松井陽一議長(東京証券取引所労組委員長)は、ライブドア事件の土壌に米国の制度にならった政治主導の規制緩和があると指摘。「以前の商法は債権者保護のため(発行株式に対して)一株あたりの純資産を決めていたが、アメリカ流の規制緩和でなくしてしまった。それに一番目をつけたのが堀江被告で、株式分割、株式交換での合併・買収を繰り返し、虚飾の時価総額をふくらませていた」と話しました。
 全証労協の多田純事務局長は、株をネットで取引する新規の顧客が急増する一方、新規顧客が株取引のルールが教えられず、不正をしても利益をあげようとする傾向があることを「懸念している」と話しました。また、証券会社から資金を借り入れて株取引する信用取引も「ネット取引では証券マンが(危険な取引を)倫理的にとめることもできない。証券会社はできるだけやらせる傾向にある」と話しました。
 田村八十一・日本大学助教授は、「いまの『金融改革』を見直し、健全な証券市場をつくろうとする運動がつくられないと、マネーゲームがどんどん広がり、国民のお金がなくなっていく。金融市場の監視、規制強化を忘れてはいけない」と指摘しました。


2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

主張
均等法
差別の抜け道許さない改正に


 女性労働者のうち、パート、アルバイト、派遣社員など非正規雇用の比率が52・5%にのぼります。妊娠を理由にした解雇・嫌がらせや、第一子出産で七割が職場をやめざるをえないなどの実態も深刻です。
 財界の要請をうけて自民党政治がすすめた度重なる労働法制の改悪によって、女性の地位向上と男女平等の流れに逆行する、あらたな差別と格差がひろがっています。

大企業ほど大きい格差
 大企業ほど男女格差が大きくなっています。労働者が百人未満の企業で女性の賃金は男性の70・1%(正社員・所定内給与)に対し、千人以上では64・4%です。産業別では金融・保険業で格差が最大で53・3%です。非正規雇用を加えれば格差はさらに広がります。平等と均等待遇に対する社会的責任を投げ捨てた大企業の姿勢は重大です。
 七日、男女雇用機会均等法の改正案が、国会に提出されました。二千二百万人を超える女性労働者の、均等待遇や平等な雇用をという願いにこたえた改正が求められます。
 政府の改正案は、妊娠・出産による不利益取り扱いの禁止などで一定の改善もあります。しかし、差別を禁止する範囲や対象を限定しているなど、是正のための実効性の点でたいへん不十分なものです。
 間接差別(性別による直接的な差別ではないが、実際には男女に格差をもたらすもの)の問題では、財界のつよい反対におされて、禁止する対象を次の三つに限定しています。
 「採用時の身長・体重・体力要件」「コース別雇用管理における総合職募集・採用の際の全国転勤要件」「昇進における転勤要件」です。禁止する範囲を非常に狭くしているのが特徴です。
 「差別の是正に役立たない」「限定に反対」の声があがっているのは当然です。
 日本共産党は八日、「修正提案」を発表し、均等法改正にあたって、最低限盛り込むべきものとして七項目の提案をしました。
 具体的には、目的に「職業生活と家庭生活との調和を図る」を明記すること、間接差別禁止では、条件をつけずに抜け道を許さない規定にすることを求めています。
 そして、権限のある救済機関をつくり、気軽に相談できる窓口をひろく整備して、現実の格差の実態から差別があるかどうかを認定し、迅速に救済できる仕組みにします。企業の側に差別ではないと証明する立証責任や資料提出義務をもたせ、悪質な企業には罰則を設けます。こうした実効性を確保する制度が、現実に差別の是正に役立つ法律にするうえでは不可欠です。
 産休後の原職復帰の原則、産休取得が昇給やボーナス、退職金などで不利にならないようにする、企業に格差是正のための計画策定と実施を義務付けることも提案しています。
 今後、国会で法案の審議が始まります。日本共産党は、国会審議に女性の願いと声を反映させて、均等法の実効ある改正をめざします。

平等への新たな前進を
 労働者の解雇の自由化やホワイトカラー労働者の残業代をただにする方向での労働時間規制の緩和など労働法制のさらなる改悪の動きもすすめられています。
 均等法の実効ある改正を求める運動と、労働法制の改悪を許さず、誰もが人間らしく働けるルールづくりを求める国民的な運動――これらが大きな流れとなって、男女平等へのあらたな前進をつくりだすことを期待します。


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