2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」

労災研究機関 非公務員化を批判
高橋議員 「企業からの独立必要」


 日本共産党の高橋千鶴子議員は八日、衆院厚生労働委員会で、職員から国家公務員の身分を奪う「厚生労働省・独立行政法人改革推進法案」の問題点をただしました。
 同法案は、厚労省が所管する産業安全研究所と産業医学総合研究所を統合して「労働安全衛生総合研究所」とし、同研究所と国立健康・栄養研究所を「非公務員型」の独立行政法人へ移行する内容です。
 産業医学総合研究所は、職業病や労災に関する基礎研究をおこない、その成果をじん肺問題などで行政指針や規則改正に反映させるなど、労働者の健康と安全を守る役割を担っています。
 高橋氏は「労災について研究する機関は企業からの独立が必須条件だ」とのべ、研究所職員を非公務員化して、中立・公平性が担保できるのかと批判しました。川崎二郎厚生労働相は「新制度で民間との関係も整理しながら成果をあげてもらい、それをどう生かすか、しっかり指導したい」とのべました。
 高橋氏は、国立健康・栄養研究所が、学校給食や栄養指導などで用いられる「栄養所要量」など、国民の健康と栄養について基礎データを提供しており、厚労省の研究企画官自身が「民営化は困難」と指摘しているとのべました。
 そのうえで、企業がさまざまな思惑で健康食品などを販売するなか、中立・公平の研究所がますます求められるとのべ、職員の非公務員化で中立・公平性がゆがむのではないかと懸念を表明しました。


2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」

派遣社員への暴行事件
ヨドバシ、二審も敗訴


 ヨドバシカメラ携帯売り場の派遣労働者にたいする暴行事件の控訴審で東京高裁は八日、ヨドバシに損害賠償を命じた一審判決を支持し、ヨドバシ側の控訴を棄却しました。賠償の総額は約五百六十万円になります。
 判決で南敏文裁判長は、ヨドバシ社員の暴行はなかったとする主張を退け、「不法行為が成立し同社の使用者責任が認められる」と述べました。
 事件は、同携帯売り場に派遣されていた男性が二〇〇二年十月から〇三年三月、「笑顔が足りない」などの理由で四回にわたる暴行を受け、「ペナルティーとして便器をなめろ」などと暴言をはかれたというもの。男性の母親で作家の下田治美さん宅での暴行で、男性はろっ骨骨折などの重傷を負い、下田さんはショックのため長期間執筆不能になりました。
 そのため下田さんと男性が関係各社と社員に損害賠償を請求。一審の東京地裁は〇五年十月、男性への暴行でヨドバシと同社員に十万円、派遣会社と同社員に百五十万円を、下田さんの精神的被害で派遣会社らに四百万円の賠償を命令。被告のうちヨドバシ側が控訴していました。
 判決後に会見した下田さんと長男は「事実が認められてほっとしている」と述べるとともに、派遣会社―DDIポケット(当時)―ヨドバシという違法な二重派遣のもとで起きた事件だと指摘。「派遣社員を奴隷化している状況の改善を」と訴えました。


2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」

労組・青年 一緒に行進
不安定雇用反対 フランス100万人行動


 【パリ=浅田信幸】青年の雇用不安定化につながる政府提案の「初採用契約(CPE)」に反対するフランスでの七日の百万人行動は、労働総同盟(CGT)ら八労組、仏全国学生連合(UNEF)、高校生連合(UNL)などが「CPE撤回」を統一スローガンに共同で呼びかけたもの。社会党や共産党など左翼諸党や学校父母会の全国連盟もこれに合流することを決め、約二十の大学で学生ストが実行されました。

(写真)7日、不安定雇用の拡大に反対するパリのデモに参加した若者たち(浅田信幸撮影)

 労組、青年学生組織、左翼諸党らの指導者がそろってデモに参加したパリでは、大学生、高校生を先頭に、ホイッスルや太鼓、トランペットでにぎやかに行進。デモ開始後に降りだした小雨のもと、「みんなで一緒に、CPE撤回を」などのシュプレヒコールを繰り返しました。
 ティボーCGT書記長は「この行動を見て、首相がCPEへの態度を見直してくれることを期待したい。労組も学生たちも“解雇の自由”には反対で一致している。われわれはこのたたかいを緩めない」と語りました。
 またジュリヤール仏全学連委員長は「きょうは運動を広げる出発点になった。明日からの運動でこの力比べに勝つのは誰かを示すことになる」と発言。全国の学生に直ちに無期限ストに立ち上がるよう呼びかけました。
 CPEは、二十六歳以下の青年を対象に、採用から二年間を見習い期間とし、この間、経営者側による理由を提示しない自由な解雇を認める雇用契約。労組はこれが労働者の権利をはく奪するもので、労働法改悪と不安定雇用拡大の突破口になると、いち早く反対を表明。学生たちは「青年を使い捨て労働者にするものだ」と反発しています。
 政府はCPEを盛り込んだ機会均等法案の国会審議を急ぎ、上院での早期採択・成立をはかっていますが、労組や学生・高校生組織はあくまで「撤回」を要求して長期戦の構え。先週末に学校の冬季バカンスが終了したばかりで、たたかいはこれからが本番だと位置づけています。


2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」

均等法改正案 共産党が修正提案
差別禁止・是正の実効性を


(写真)記者会見する(左から)広井、石井、高橋、吉川の各氏=8日、国会内

 日本共産党国会議員団と党女性委員会は八日、男女雇用機会均等法改正案に対する修正提案を発表しました。同日、国会内で、石井郁子党国会議員団男女平等推進委員会会長・衆院議員、広井暢子党女性委員会責任者らが記者会見しました。《修正提案の全文→》
 今回の均等法改正案には妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いの禁止などの改善が盛り込まれています。一方で、形式的には男女一律に適用される基準でも実際には女性に不利益を与える「間接差別」の禁止について、範囲が狭く限定されるなど実効性を危ぶむ声が上がっています。
 現在でも女性の賃金は正社員でも男性の68%で、労働法制の規制緩和のもとで女性の半数以上が非正社員となるなど賃金や労働条件で深刻な格差が生まれています。
 修正提案では条件をつけない間接差別禁止の明記、企業に差別の立証責任や権限ある救済機関設置など、差別の禁止、差別是正を実効あるものにすべきだとしています。
 会見で石井衆院議員は、党が残業時間規制やパート・派遣社員の均等待遇をめざす法制を提案してきたことにふれ、「女性の声を反映させるため、法案審議で修正が盛り込まれるよう努力したい」とのべ、修正の趣旨と内容を説明しました。
 会見には、党国会議員団の吉川春子男女平等推進委員会副会長・参院議員、高橋千鶴子厚労部会長・衆院議員が同席しました。

日本共産党の修正提案項目
(1)職業生活と家庭生活の調和を図ることを明記します
(2)「間接差別」の禁止は抜け道を許さない規定にします
(3)妊娠・出産による不利益取り扱いをなくし、産休などの権利を保障します
(4)セクシュアル・ハラスメント禁止を明記し、被害者への解雇・不利益取り扱いを禁止します
(5)一定規模以上の企業に積極的格差是正措置(ポジティブアクション)を義務づけます
(6)差別是正の制度的保障をつくります
(7)坑内労働禁止等の解禁には反対します


◆e-mail address: ご意見・コメントは下をクリックして下さい

『スパーク』へ意見・コメントを送る