2006年3月8日(水)「しんぶん赤旗」
非正規社員 2年勤めれば正社員並みに
韓国で労働条件めぐり法制定へ
韓国では、国会の環境労働委員会で二月二十七日、パートタイマーや派遣社員など非正規社員への差別をなくする措置の一つとして「勤続期間が二年を超える非正規社員を正社員並みの労働条件に近付ける」法案を賛成多数で可決しました。四月の本会議で採決される予定です。(ソウル=面川誠 写真も)
(写真)非正社員への差別待遇撤廃を求める横断幕を掲げる女性団体のデモ=5日、ソウル
同法案は、正社員に適用される解雇制限制度の抜け道として短期雇用を繰り返す事例が増えていると指摘し、短期雇用と人材会社からの派遣期間を最長二年に限定しています。そして勤続期間が二年を超えた場合、短期雇用労働者には「無期限勤労契約者」として正社員と同じ解雇制限制度を適用、また派遣労働者は雇用の継続を企業に義務付けています。
このほか「同種または類似する業務に従事する場合、非正規を理由として差別的な処遇をしてはならない」とし、賃金や労働時間などの面での差別を禁止しています。また労働者が差別待遇を受けた場合、労働委員会に是正命令を申請できます。
法案に対し、与党の開かれたウリ党と野党第一党のハンナラ党が賛成、野党・民主労働党は反対しました。
民主労働党と二大労組の全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、非正規社員の雇用を合理的な理由がある場合に限る「事由制限」としない限り非正規の社員は増え続ける、雇用の不安定は悪化すると主張しています。
一方、韓国経営者総協会(経総)など財界は、労働者の要求ばかり受け入れ経営者に不利な法案だとして反対を表明しています。
民間機関の「韓国非正規労働センター」によると、非正規社員数は、二〇〇五年十月現在で八百三十九万四千人、総労働者数の56・1%を占めています。賃金は正社員の50・8%にすぎません。政府の公式統計でも非正規社員数は、二〇〇一年の三百六十万人から〇五年八月には五百四十八万人(労働者全体の36・6%)に達しています。
ソウル高裁は二〇〇三年三月、「派遣労働者を二年以上継続して使用する場合、雇用主には直接雇用義務条項が適用される」との判決を出しています。
また、韓国の労働法は、正当な理由のない解雇を禁止しています。解雇が認められる条件として、(1)緊迫した経営上の必要(2)解雇を避ける努力を尽くした(3)男女差別はしない(4)解雇の六十日前までに労組に通知した上での協議の義務付け―をあげています。
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