2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」
春闘ヤマ場へ各地で行動 規制緩和が安全削る
東京 タクシー乗務員ら訴え
〇六国民春闘のヤマ場を前にした三日、全国各地、単産の労働者が賃上げや増税・医療改悪反対などを訴えて集会や、宣伝、デモ行進を繰り広げました。
「ゆとりある運転をさせろ」「ただちに減車しろ」――。生活できない低賃金や過酷な長時間労働にあえぐ全国のタクシー乗務員ら約二千人が、丸四年がたった規制緩和の見直しを国に求めて東京・銀座をデモ行進しました。春闘勝利をめざす自交総連の中央行動で、規制緩和の弊害の解決に向け提案している「タクシー運転免許」の法制化を訴えました。
「運賃値下げ競争やめろ」と書いたプラカードを掲げて歩いた都内の乗務員(28)は一年前、トラック運転手から転職し、月収は約五万円減の十六万円に。「この収入では結婚も考えられない」と嘆き、「国は規制緩和の失敗を認めてほしい」と話しました。
規制緩和で二割の増車になった金沢市で乗務歴二十年になる乗務員(55)は昨年、年収が初めて百万円台まで減。「お客は増えてないのに車が増える。ストップをかけたい」。一日十四時間、月に三十日も働く人でも月収は二十万円台後半の低さ、と指摘する大阪市の乗務員(58)は「賃上げとわれわれの政策要求を実現させたい」。
デモ行進に先立って日比谷野外音楽堂で開いた総決起集会で、領家光徳委員長は、自交総連の粘り強いたたかいが規制緩和の弊害をめぐる世論をつくり、国が監督強化を表明するなど、情勢を動かしていることを報告。規制緩和万能論に対し、「その矛盾と怒りでたたかいのエネルギーはマグマのごとく広がっており、共同のたたかいを広げていこう」と呼びかけました。
集会では、全労連の熊谷金道議長、交運共闘の杉山忠通議長、日本共産党の穀田恵二衆院議員が連帯あいさつしました。
看護師増員訴え山手線一周 “みんなにやさしく接したい”
「もうやめる。もう限界と倒れ込み」。過酷な看護現場の実態を川柳にもして増員と医療改悪やめよと看護師さんたちが、東京の山手線を一周して訴えました。
午後零時半。JR原宿駅前に白衣を着た看護師や病院職員が画板を胸に署名を呼びかけます。
東京地方医療労働組合連合会・看護闘争委員会が計画しました。
看護師さんの胸には「看護師不足の職場は健康後回し」「もう終わり今日のやさしさ使い切り」との川柳を書いたゼッケン。
「現場はすごく忙しい。でも患者さんにはやさしく接したい。やさしさにも限りがあると思う。家に帰るとぐったりして夫へのやさしさが残っていない。そんな思いをこの川柳にこめました」と看護師(29)。昨年十月に結婚したばかりといいます。
国が社会保障費を抑え、百床当たりの看護師数はアメリカ、イギリスの四分の一以下となっています。このため看護師の77・6%が慢性疲労を訴え、64・7%が健康に不安をかかえています。
山手線一周行動では、国会に提出されている医療改悪法案の撤回と看護職員の配置基準の抜本的改善、夜勤日数を月八日以内に規制するなどを求めた署名を呼びかけました。
のべ三十人が参加、七百の署名が寄せられました。
通行人が次々に足をとめて署名していきます。
埼玉県川越市から、甲状腺の治療のために原宿の病院に通う女性(67)は年金ぐらしです。「一回の診察に五千円近くかかります。健康でありますようにと明治神宮にお参りにきました。これ以上の負担はやめてほしい」と署名しました。
2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」
非正規雇用が過去最多
昨年 女性は52・5%に
パート、アルバイト、派遣、契約社員など非正規雇用の労働者が全体の32・6%(二〇〇五年平均)を占めて過去最高に達し、女性では52・5%にのぼることが三日、総務省が発表した労働力調査でわかりました。
この統計は、会社役員を除く雇用者のうち非正規の職員・従業員が何人いるかを示したもの。統計を取り始めた一九八四年二月時点では男女合計で15・3%、男性7・7%、女性29・0%でした。その後ほぼ毎年増え続け、女性は〇三年に50%を超えました。男性は九七年に10%を突破し、〇五年平均は17・7%でした。
役員を除く雇用者は昨年、〇四年に比べて三十二万人増えましたが、正規社員は三十六万人減少し、非正規は逆に六十九万人増えました。小泉首相が自賛する雇用の改善は、身分が不安定で正社員より賃金が低い非正規労働者の増加によることがあらためて明らかになりました。
2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」
完全失業率4.5%に悪化
1 月
総務省が三日発表した一月の完全失業率(季節調整値)は4・5%で、前月比0・1ポイント悪化しました。中高年で失業が増えました。完全失業者数は二百九十二万人で二カ月連続減少しました。
男性の失業率は4・8%で前月比0・3ポイント上昇、女性は4・0%で0・3ポイント低下しました。失業者数は五十五歳以上の男性で三万人、四十五歳以上の女性で五万人増えました。女性は二十五―四十四歳の年齢層で十万人減り、全体の失業者数を引き下げました。
また、厚生労働省が同日発表した一月の有効求人倍率(季節調整値)は一・〇三倍で前月と同水準でした。正社員は〇・六七倍(前月〇・五九倍)、常用的パートタイマー一・四七倍(同一・三四倍)でした。
2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」
雇用 地方で格差
正社員求人倍率 1倍以上2都県だけ
三日発表された一月の有効求人倍率と二〇〇五年平均の完全失業率をみると、引き続き地方によって大きな格差があり、上位と下位が固定化されています。正社員の有効求人倍率が一倍を超えているのは愛知(一・二四倍)、東京(一・〇六倍)だけです。正社員への就職が厳しい状況は変わりません。
都道府県別の有効求人倍率は、愛知(一・六七倍)、群馬(一・五九倍)と東京(一・五八倍)が引き続き上位です。これに対し、沖縄(〇・四三倍)、青森(〇・四七倍)、高知(〇・五一倍)が下位で変わりません。沖縄と愛知の間には四倍近い開きがあります。
昨年平均の都道府県別完全失業率(試算値)は、沖縄(7・9%)、青森(6・9%)で高く、愛知、三重、岐阜など中部圏で3%台でした。
自動車や電機、IT(情報技術)産業が活発な県で雇用が伸びる一方、地場産業が不振で、公共事業への依存度が高かった県が低迷しています。
雇用が改善している県でも、増えているのはパートや派遣など非正規の職です。
四十七都道府県のうち三十二府県では新規求人のうち正社員の比率が前年同月比で減っています。求人が増えるほど正社員の比率は逆に下がっています。
同日、総務省が発表した労働力調査によると、男女ともに、正社員から非正社員への置き換えが進んでいます。若年層(十五―三十四歳)では、非正規社員は〇二年の二百八十六万人から〇五年には三百二十九万人に増えています。
非正規社員が増加した背景には労働者派遣法を再三改定し、〇四年には製造業で解禁したことがあります。
2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」
消費支出4カ月ぶり減 サラリーマン世帯 実収入も減少
1 月
サラリーマン世帯の消費支出が、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4・7%減と四カ月ぶりにマイナスに転じました。総務省が三日発表した一月の勤労者世帯の家計調査から分かりました。
同調査によると、サラリーマン世帯一世帯あたりの消費支出は三十二万三千八百六十三円となりました。実質で同6・0%減だった二〇〇三年七月以来の大きな減少幅です。より実感に近い名目でも同4・2%減となっています。
サラリーマンの実収入は実質同3・9%減(名目同3・4%減)。実収入から税と社会保険料負担を除いた可処分所得は実質同4・0%減(名目同3・5%減)となり、いずれも、〇五年七月以降、七カ月連続の実質減少となりました。
支出の内訳を見ると、厳冬の影響で、灯油代や電気代などの光熱費が増加したものの、外出の手控えなどにより外食費や交通費などが減少し、消費支出を押し下げました。さらに昨年末の厳冬によって、光熱費や被服費、食費等への支出が押し上げられた結果、「その反動による消費支出の減少」(総務省統計局)もみられます。
収入が減るもとでの厳冬による一時的な消費増が家計を圧迫し、その後の消費を抑制しています。今年一月から所得税の定率減税が半減したことも、可処分所得を減少させる原因になっています。
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