2008年7月9日(水)「しんぶん赤旗」

夫の過労死認めて 元刈谷市職員の妻提訴
愛知


 愛知県刈谷市の市立美術館に勤務していた倉田康弘さん=当時(30)=の死亡を公務外の災害と認定した処分は不当として、妻・利奈さん(37)=高浜市=が八日、地方公務員災害補償基金を相手取り、処分取り消しを求める訴えを名古屋地裁に行いました。
 倉田さんは一九九六年に美術館に配属。九八年の市の機構改革で職員が減らされ、美術館経験者は倉田さんだけとなり、恒常的に長時間の時間外勤務を強いられました。持病の高血圧症が悪化する中、九八年十二月三十日にくも膜下出血で急死しました。
 倉田さんの時間外勤務は、記録簿に残された以外に、休日や早出の出勤、持ち帰り残業など、九八年四月一日から死亡日までに千四十八時間。一週あたり約二十七時間でした。加えて、経験者が他におらず、精神的にも質的にも過重な公務を強いられていました。
 基金支部は、利奈さんの認定申請を、記録簿の時間外勤務だけを根拠に「公務過重とは認められない」と棄却。労働のストレスは検討しませんでした。
 福井悦子弁護士は「原告の救済とともに、勝訴判決を得て公務災害の認定基準と運用の改善をはかりたい」と話しました。
 利奈さんは「過労死を認めさせ、悲しい思いをする家族をなくしたい」と述べました。

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