『トヨタ・デンソー 過労うつ病裁判を支援する会』ニュース No.10 ( 2008年10月12日発行 )
トヨタとデンソーは長時間労働とパワハラによるうつ病発症の責任を認め、賠償をおこなえ!
事案の概要:デンソーの従業員であるKさんはトヨタ自動車へ出向した後にうつ病を発症し休職しました。いったん回復し、デンソーに復職しましたが、デンソーとトヨタ自動車の共同プロジェクトの中で、うつ病を再発。現在も療養中です。
刈谷労基署に労災申請しましたが却下されました。Kさんは現在デンソー、トヨタ自動車の業務が原因でうつ病になり、休職を余儀なくされたことに対して、損害賠償を請求する裁判をおこなっています。
判決日近づく。多くの皆さんの参加で勝利を!
判決日:10月30日(木)3時30分、名古屋地裁1103法廷
当日の行動予定
・ 10月30日(木)3時、判決前集会、 地裁正門前歩道
・ 〃 〃 3時30分、判決傍聴、 地裁1103法廷
・ 〃 〃 4時、報告集会、 桜華会館
国が最終的に労災申請を認めなかったので、労災認定裁判も始まります。こちらも参加下さい。
・ 10月22日(水) 第1回口頭弁論 4時、名古屋地裁
「トヨタ・デンソー過労うつ病裁判を支援する会」 第2回総会開催する
約40名が参加、10月30日の判決日に向けて裁判勝利の意思統一を行う
時折、激しい雨が降る中、下記要領で第2回総会が行われました。裁判担当の主任弁護士である岩井弁護士から裁判の経過、争点などの説明がなされ、その中で国が最終的に労災申請を却下したので、労災認定の裁判の提訴をおこなったことが報告されました。
(この裁判の第1回口頭弁論は10月22日、16時、名古屋地裁)
討論や意見交換では、同じく裁判を闘っている皆さんからの発言や激励の言葉がありました。またこの会場で新たに 3名の方が「支援する会」に加入されました。
2008年9月21日(日)、午後2時〜4時、刈谷市民会館 3階302号室
・司会開会宣言:近森泰彦幹事(愛知健康センター理事)
・開会あいさつ:桜井善行幹事(西三河労連議長)
・運動の経過説明:金田堅三幹事(事務局担当、デンソー勤務)---4頁の別紙参照
・会計報告:事務局------2頁の別紙参照
・裁判の経過と論点の説明:岩井羊一弁護士(弁護団)-----3頁の別紙
・猿田会長(中京大学教授) :挨拶と小講演
・討論:意見、激励、連帯の言葉(個人、団体)
<梅村担当弁護士>過労で死亡した、元トヨタ自動車のチーフエンジニアの労災認定のことについては、マイニュース・ジャパンの報道が詳しい。
<愛労連労働相談・争議団>月150件〜170件の相談あり、最近増えてきている。このうち10%ぐらいが、うつ病の相談である。事態は深刻である。
<スギヤマ薬品損害賠償裁判>原告で、ご両親の杉山夫妻が報告されました。9月17日、名古屋高裁で一審を上回る素晴らしい勝利判決を勝ち取りました。しかし、会社は謝罪しないという理不尽な態度を取っている。
<元刈谷市美術館職員、倉田康弘さん公災災害認定裁判>原告の奥さん、利奈さんからメッセージが寄せられました。第1回裁判は11月20日(木)11時30分、名古屋地裁.である。
<豊橋市石巻中学、鳥居建仁教諭の公務災害認定を求める会>過労で障害者となった、鳥居先生の親類で事務局の杉林信由紀・和子夫妻が挨拶され、同時に「支援する会」に入会されました。
<元内野さんを支援する会、事務局長、山下さん>今、裁判勝利の教訓を広めるため報告集を発行する準備をすすめている。
その他、研究者の方から最近の労働現場の問題について意見と質問が出されました。
・原告Kさんあいさつ:奥さんと共に発言され、今までの支援と激励に感謝の言葉が述べられました。いろいろ困難がありながら、判決日を迎えることができたことは大変うれしいです。また、絶対良い判決を勝ち取り、職場の労働環境改善に役立ちたいです。
・閉会挨拶:若月忠夫幹事(全トヨタ労働組合執行委員長):当組合として、組合員であるKさんの裁判勝利に第一課題として取り組んでいる。この裁判はトヨタ系のみならず、全国の職場の労働条件改善に大きな意義をもっている。皆さんと共に、裁判勝利のために奮闘したい。
役員再選:昨年と同じ下記の役員の方々が再選されました。
会長 猿田正機(中京大学教授)
幹事 梅村浩司(裁判担当弁護士)
幹事 若月忠夫(全トヨタ労働組合執行委員
幹事 近森泰彦(愛知健康センター理事)
幹事 桜井善行(西三河南労連議長)
事務局担当幹事 金田堅三(デンソー勤務、全トヨタ労働組合副委員長)
以上
トヨタ自動車・デンソーうつ病裁判支援する会報告
2008年9月21日
弁護団 弁護士 岩 井 羊 一
第1 本件の事件の内容
1 デンソーの社員である原告が、トヨタ自動車へ1999年8月に出向したのちに2000年4月ころうつ病を発症し、8月に休職。
いったん回復し、デンソーに復職したが、2002年6月ころからのデンソーとトヨタ自動車の共同のプロジェクトのなかで、うつ病を再発。現在も療養中。
デンソー、トヨタ自動車の業務が原因でうつ病になり、休職を余儀なくされたことについて、デンソー、トヨタ自動車の責任を問い、損害として発生した休業損害、逸失利益、慰謝料など請求している。
2 また、2003年に、1回目のうつ病、2回目のうつ病の休職について、労災の休業補償給付を請求したが、この請求について刈谷労基署長が不支給にしたことに対し、国に対し、9月に訴訟を提起した。
第2 原告の労災申請
1 2003年12月12日、刈谷労働基準監督署長に対し、2000年8月29日から同年10月29日までの休業補償給付請求及び2002年月28日から2003年2月28日までの休業補償給付請求
2 刈谷労働基準監督署長は、2005年3月18日、不支給
3 愛知県労働者災害補償保険審査官に対し、審査請求をしたが、2005年10月20日、愛知県労働者災害補償保険審査官は、審査請求を棄却した。
4 再審査請求をしたが、2008年3月28日、再審査請求棄却
5 2008年9月16日提訴
第3 損害賠償裁判の経過
1 2006年5月11日損害賠償提訴
2 2008年7月28日結審
3 2008年10月30日 判決予定
第4 本件の争点
@業務がうつ病発症の原因かどうか。
Aトヨタ、デンソーに安全配慮義務違反の過失があるか
Bその慰謝料をどう評価するか。
第5 判断のポイント
1 長時間労働の影響
2 業務内容の変化の評価
3 原告担当業務の過密性・過重性
4 原告が担当していた業務の裁量性のなさ
5 被告らの原告に対する支援の欠如 デンソーとトヨタの関係
6 上司からのパワハラ
7 会社の健康管理態勢
第6 本件各訴訟の意義
1 うつ病を発症した現役の従業員が、ご本人が、職場での業務と、体調不良の状況を克明に語っている裁判。
2 トヨタ、デンソーの過密な労働実態を明らかにする裁判
トヨタ生産方式が労働者に重大な心理的負荷(ストレス)を与えていることに警鐘をならす
職場のパワーハラスメントの実体
3 トヨタ、デンソーの違法性、責任、その重大さを明らかにする裁判
会社が、このような精神疾患の発症を防止するためにしなければならないことを考える契機となる。発症により、従業員にトヨタ、デンソーの責任で休業期間の損失と将来にわたっての不利益が発生していることを認めさせる。
「トヨタ・デンソー過労うつ病裁判を支援する会」の運動の経過
2008年9月21日
2000年8月末〜10月末:Kさん、うつ病で2ヶ月休職(トヨタ出向中)
2002年8月末〜2003年2月末:Kさん、デンソーへ復職後、うつ病で2回目の休職(6カ月)
2003年12月:Kさん、刈谷労基署に労災申請
2004年4月:愛労連、愛知健康センターに相談したKさんから、デンソーの金田さんに相談がある
2004年5月:刈谷労基署に労災申請のフォローのため訪問(Kさん、近森さん、桜井さん、金田さん)
2005年2月2日:デンソー西尾工場のトイレで係長が自殺
2005年3月:刈谷労基署が労災申請を却下
2005年6月:愛知労働局へ不服申請
2005年10月:愛知労働局も労災申請却下
2005年11月:岩井弁護士に相談(栽判を決意)
2006年5月11日:名古屋地裁に提訴、記者会見
2006年6月28日:第1回裁判口頭弁論
2006年7月1日:デンソー「傷病による休職、
長期欠勤からの復職支援制度」をスタートさせる
2006年9月27日:第2回裁判口頭弁論
2006年12月8日:第3回裁判口頭弁論
2007年3月27日:第4回裁判口頭弁論
2007年6月8日:第5回裁判口頭弁論
2007年6月:「支援する会」準備会ニュースNO .1発行
2007年7月:「支援する会」準備会ニュースNO.2発行
2007年7月26日:第6回裁判(第1回弁論準備手続き)
2007年9月:「支援する会」準備会ニュースNO.3発行
2007年10月8日:「支援する会」発足総会
2007年10月9日:第7回裁判(第2回弁論準備手続き)
2007年12月25日:第8回裁判(第3回弁論準備手続き)
2007年11月30日:トヨタ自動車内野裁判勝利判決
2007年12月:「支援する会」ニュースNO.4発行
2008年1月:「支援する会」ニュースNO.5発行
2008年1月28日:第9回裁判(第4回弁論準備手続き)
2008年3月:「支援する会」ニュースNO.6発行
2008年3月27日:第10回裁判(第5回最終弁論準備手続き)
2008年4月:「支援する会」ニュースNO.7発行
2008年4月25日:第11回裁判(第1回証人尋問)
2008年5月12日:第12回裁判(第2回証人尋問)
2008年6月:「支援する会」ニュースNO.8発行
2008年6月:キャノン研究員の過労自殺が労災と認定される
2008年7月:元トヨタ自動車チ−フエンジニアの過労死が豊田労基署で認められる
2008年7月:デンソー大安工場のYさんのうつ病労災申請を四日市労基署が却下
2008年7月8日:元刈谷市職員倉田さんの遺族が名古屋地裁に過労死認定を求め提訴
2008年7月28日:第13回裁判(結審)
2008年9月:「支援する会」ニュースNO.9発行
2008年9月21日午後2時:「支援する会」第2回総会
2008年10月30日午後3時30分:第14回裁判(判決)
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