●井上メルマガ('13/5/22) ドイツ議会との会話
井上哲士です。
20日の月曜日に開かれた、ドイツ連邦参議院のクレッチマン議長一行歓迎の平田参院議長主催レセプションに会派を代表して出席しました。原発や歴史認識のことからサッカーのことまで語り合い、実に楽しく有意義なひとときでしたので、紹介します。
ドイツ連邦参議院は日本と違い、各州政府構成員から人口に応じた人数が任命されます。議長は各州首相による輪番制。来日された議長は、バーデン=ヴェルテンベルク州知事です。私の隣の席は、随行者の州政府報道官のホーグフリート氏で、食事をしながら通訳を挟んでお話ししました。
まずは、原発の話題です。ドイツで脱原発が進んだのはチェルノブイリ事故以来の国民的議論があるからかと聞くと、「それだけではない。チェルノブイリは、技術の遅れた国だから起きた事故だという認識。しかし福島は、日本のように進んだ工業国でも事故は起きるのであり、原発事故は防げないという認識をもたらした」と明快な答え。
メルケル首相の脱原発を宣言した国会演説の中に、そういうくだりがあったことを思い出したとお話ししました。肝心の日本の政府が自分たちの起こした事故に学んでないのですから情けない。
さらに私が、「日本では原発を廃止すると立地自治体での雇用が失われるなど地域経済に重大な影響がでるという声がまだ根強いがドイツではどうか」と聞くと、「そんな声はまったくない。むしろ自然エネルギーの普及で新しい雇用が作り出されている」とこれまた明確な答えでした。脱原発にゆるぎない自信を持っていると感じました。
次の話題は歴史認識の問題。橋下氏の発言が大きな問題になっていることを知っておられたので、「今の自民党には、かつての侵略戦争を美化する流れが強く、橋下氏の発言もその流れと一体だ。お国の大統領が戦後40年にやった演説を読んで感動した記憶があるが、大きな違いだ」とお話ししました。
すると即座に、「ワイツゼッカー大統領ですね」の答え。ドイツ敗戦40周年の時の「過去に目を閉ざす者は、未来に対しても盲目となる」という演説は日本でもブックレットになりました。
ホーグフリート氏は、「私はオランダからの移住者で二重国籍を持っている。ドイツに移住する際に、なぜドイツにとの声があったが、この演説後の後はそういう声はなくなった」と話してくれました。国の指導者が侵略への真摯な反省を示してこそ、周辺国との真の友好が進むのだと実感。これも日本とは天と地の違いです。
さて、サッカー談義も盛り上がりました。「香川をはじめ、ドイツで活躍してきた日本選手は多いですね」と切り出すと、「州の首都はシュトゥットガルト。同名のサッカーチームにはブッフバルトという代表選手がいて、日本の浦和レッズでプレーし、監督も務めた」と語ります。
そして、「チームには今、岡崎と酒井がいる。実は、来日する一週間前に和食レストランで議長がこの二人と一緒に食事し、箸の使い方を教えてもらった」というではありませんか。驚きました。日本食が楽しみだったそうで、「とてもおいしい」と箸を使って食事されていました。
京都にも行き、京大も訪問する日程。「私の家は京大の隣。日本のふるさとを楽しんできてください」とお話ししました。
最後に全員で記念撮影。本当に有意義な一夜でした。
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