●井上メルマガ('12/7/11)   再稼働道理なし

 井上哲士です。

 おはようございます。

 昨日は、予算委員会で質問に立ち、大飯原発の再稼働問題で総理をただしました。NHKのテレビ中継を見ていただきましたか?

 さて、昨日のポイントは、総理が「福島なみの地震、津波が来ても大丈夫」として再稼働を判断しましたが、大飯原発の地震の想定は全く見直しておらず、柏崎刈羽原発を襲った地震なみの揺れがあれば、炉心溶融にいたる限界点を超えてしまうこと明らかにしたこと。

 多くの国民は「福島なみの地震」といわれると、これまでの想定をはるかに超えた地震を思い浮かべると思いますが、実はそうではない。政府は専門家の意見も聞いて大飯は見直す必要はないと判断したといいますが、それがいかに道理がないかを浮き彫りにするために、文科相と気象庁長官から答弁を求めました。

 まずは文科省。東日本大震災をうけての日本海側の海域断層の調査を始めるのは来年度からだと明らかにしました。続いて気象庁長官。柏崎刈羽原発をおそった中越沖地震クラスのM6.0〜7.9の地震は毎年20回程度発生していること、日本ではどこでも大きな地震が起きうることを答弁しました。

 日本海側でどんな地震が起きうるかの調査はこれから、そのうえ日本のどこでも大地震は起きうる――そうであるならば、少なくともこれまで原発を襲った最大の揺れを考慮すべきというのが専門家の意見。

そこで柏崎刈羽なみの1699ガルの揺れを大飯を襲うと、炉心溶融に至る限界点を超えてしまうことを示し、想定見直しもなしに再稼働するのは新たな安全神話だと総理に迫りました。

 さて質問する際には、「手元に資料がないので…」などと言い逃れを許さないために事前に役所を呼んで、質問項目をある程度通告します。さらに特に事実関係などはどのような答弁になるかを確認します。ところが、みずから公開している事実であっても、論戦で都合が悪いと思うと委員会の場ではきちんと答弁しないことがあります。昨日もそうでした。

 気象庁のホームページの「地震について」のQ&Aには「日本で地震が発生しないところはありません。小さな規模の地震は日本中どこでも発生しています。また、ある場所で過去に大きな地震が発生していたとしても、地表に痕跡(活断層など)が残らないことがあります。このため『この場所は大きな地震が絶対ありません』と言えるところはありません」とはっきり書いてあります。

 前日のレクでは、「この通り答弁していただければ結構です」と気象庁に通告してありました。気象庁の職員の方は「科学者として、大きな地震が絶対ありませんとはいえません」と述べて帰りました。

 ところが、「日本ではこの場所は大きな地震が絶対おきないといえる場所はありますか」と質問すると気象庁長官は「小さな地震を含めれば一般論としては、全国どこでも地震が発生するものと考えてございます」と肝心の「Q&A」の後半部分は触れませんでした。

 自分のHPで書いておきながら答弁では隠そうとする――「この野郎」と思いましたが、もう一度「この場所は大きな地震が絶対ありませんといえますか」と問い直すと、やっと「えーと、そのようなことをいうことは、科学技術的には難しいと考えてございます」と答弁しました。

 現場の職員が科学者としての当然の答弁書を書いても、長官が政治的配慮で最初はきちんと読まなかったのかもしれません。官邸筋からの意見があったのかもしれません。逆に言えば、この点を認めると地震想定の抜本的見直しもなしで再稼働したことの道理のなさが浮き彫りになると恐れたのか――。

 今回は、HPに明記されていましたから、再質問すれば答弁しましたが、事実であっても国会答弁で隠そうとすることはよくあること。それを許さず、きちんと答弁をさせることは、質問を左右する勝負どころです。

 事務所には「日本に安全なところがないことがはっきりしてよかった。私はそう思っていたが、知っている人はすくないのではないか」と年配の女性から電話があったとのこと。良かった。

 再稼働中止、原発ゼロへさらにがんばります。


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