●井上メルマガ('12/6/24)   闘いの舞台は参院に

 井上哲士です。

 衆院本会議で消費税増税と社会保障改悪の法案が自公民の談合のもとで強行されました。法案は参院に送付されましたが、参院での審議日程は何も決まっていません。民主党内の造反に自民党が反発していることもありますが、事実上の分裂状態になった民主党がここ数日は「それどころではない」状況にあります。

 エレベーターで民主党議員と一緒になったりすると、「うちの党はもうメルトダウンだよ」と声をかけてきたり、「彼らは獅子身中の虫」など民主党議員同士が小声で話していたりと、党内対立は相当のものです。

 ある参院議員は、昨日の参院議員総会に出席した総理が、当初1時間の予定を30分できりあげたが、その時間に小沢グループの厳正な処分を求めた若手衆院議員とあっていたとして「自分にいい話しか聞こうとしない。あれではダメだ」と怒っていました。

 こうした亀裂を作り出しているのも国民の怒りの声。我々は、民主党の党内事情にかかわらず、参院での論戦と国民的運動を結んで廃案に追い込むしかありません。

 なによりもやり方がひどい。野田総理は公約違反ではないと言い訳をしていますが、政権交代が実現した09年総選挙の時の党代表と選挙担当の代表代行がそろって「国民にウソをつけない」として反対しているのですから、公約違反は明白です。

 一方自民党は、「増税を提案できる権限があるのは、選挙で正直に増税を掲げた我々」といいますが、その選挙で「ノー」の審判を下された自民党に増税を提案する権限などあるはずがありません。

 この両党が一緒になって談合したわけですから、これほどまでに国民の声を踏みにじるものはありません。議会制民主主義のもとで絶対に許されないことです。

 中身はどうか。社会保障改革推進法案は、社会保障を「自助」「共助」中心の民間保険並みの「助け合い」制度にするというもの。国民の生存権と国の責任を明記した憲法25条に反しています。小泉政権の時の構造改革をいっそう冷酷なまでに徹底するというのです。

 しかも、小泉政権時代は、「任期中は消費税は上げない」という約束は守りましたが。今度は、社会保障財源は消費税を中心とすることとしています。深刻な格差と貧困を作り出した小泉構造改革をさらにすすめ、その財源は庶民増税――小泉構造改革以上の苦難を国民にもたらすことになります。

 こんな三党合意にもとづく法案を成立させたら、日本はいったいどんな社会になってしまうのか――参院の論戦ではそのことを明らかにし、闘いを広げます。「こんなことをやる資格は三党にない。解散して国民に信を問え」の声を広げ、廃案に追い込みましょう。


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