●井上メルマガ('11/3/28)   こんな時に思いやり予算とは

 井上さとしです。

   大震災で中断していた国会審議も再開。現地の党組織や地方議員から寄せられた被災者の叫びや要望、議員団の現地調査でつかんだ実態などを示し、予算委員会やそれぞれの所属委員会でいっせいに震災対策を求めて質問し、政府に対策を迫りました。

 そんな大震災のさなかに、民主と自民・公明が、在日米軍のための思いやり予算を今後5年間出し続ける特別協定を成立させようとしています。その口実の一つに「アメリカは震災で大きな支援をしてくれている。やはり、日米同盟を強化すべき時」というのがあります。

 しかし、アメリカは単に「フレンド」だから支援に来ているわけではありません。そのことが参院予算委の外交・安全保障に関する公聴会で、日米同盟推進論者の公述人から語られました。語ったのは、拓殖大大学院教授で防衛大臣補佐官も務めた森本敏氏。その大要は次の通りです。

 「アメリカはたくさんの支援を申し出ています。…多分、私の想像ですが、この事故にたくさんの人が派遣されていますが、彼らが得て持って帰る教訓の方が、彼らが日本に支援したものよりはるかに価値の高いものになるんではないかと考えています。国とはそういうものであって、自分の国益になるからこそ、犠牲を負って支援をしてきているわけですから、そういう意味では国益とは冷厳なものであると思います」

 「事故発生以来、必ずしも日本が、アメリカがほしいと思っている情報を全て共有できるような状態で提供できなかったことが彼らの不信感と不満にあって、したがって実際に見ようとして専門家を派遣し、あるいはグローバルホークを毎日原発の上空に飛ばして実際に自分で情報収集をしていることであり、それは彼らが、繰り返しになるが、アメリカの国益につながると思っているからだと思います」

 ――アメリカは冷厳に国益を考えて情報収集をしている。なるほど、です。やはり、この国は「思いやり」をかけるような相手ではありません。5年間で1兆円もの思いやりをアメリカにかけるのではなく、被災者にこそ思いやりを!


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