●井上メルマガ('08/12/1)   朝生に出演して

  井上さとしです。

   11月28日の深夜の「朝まで生テレビ」に出演し、「田母神問題と自衛隊」とのテーマで討論しました。朝生出演は初めてですが、「靖国派」の皆さんと討論するのも初めて。率直にいって、1つひとつの事実や認識を確認しながら議論することが難しい皆さんだなというのが実感です。

   討論の中では、田母神論文の事実誤認や論理矛盾などについて様々な意見が出されても答えることができず、「田母神さんは文筆家ではないので…」などとしてそらしつつ、「日本は侵略国家ではない」という結論は擁護するという姿勢でした。

   たとえば、「日本は相手の了承なしに軍をすすめたことがないというが、満州事変はどうか」「(ルーズベルトがコミンテルンのスパイに操られていたかのようにいうが)田母神氏が引用した論文でも、たしかにスパイはいたが、『ハル・ノート』に影響はない、と書かれているではないか」などの問いにはまともな答えがありません。

   また、都合の悪い質問にも答えないのも特徴。私は、戦争中の御前会議の決定をも示し「領土拡張と占領が目標であることは明らか。これでも侵略でないといえるのか」と質しましたし、田母神氏が職務権限を使って訓話や幹部教育の中で論文と同趣旨の内容を教え込んでいたことを示して「これも言論の自由か」と質しましたが、いずれもこたえはありませんでした。

    痛感したのは、彼らの思考が、国際紛争は戦争で解決することが当然だった19世紀のままストップしていること。私は、第一次世界大戦を通じて国際法でも戦争の違法化が進み、日本のやった戦争がその歴史の流れと真っ向から反することを指摘しましたが、返ってきた議論は、第一次世界大戦で区切るのはおかしい、それまでヨーロッパの国々は世界中で侵略し植民地化したという繰り返しです。

    20世紀の歴史の発展の中で見ることができませんから、国連憲章の意義もアジアでも大きく広がる紛争を平和的に解決する国際的な流れも見ることができません。ですから、今後、アメリカの力が弱まると世界で紛争が頻発する→紛争を解決するのは最終的に軍事力→だから日本も憲法を変えて集団的自衛権の行使もできるようにすべきだし、核兵器も保有すべき――という議論になっていきます。

    こういう議論が自衛隊の中に浸透しているとすれば、本当に重大なことです。そしてまた、自民党の内部にもこうした議論が相当あることが、田母神氏が幹部に上り詰め、あのような発言を平気で繰り返してきたことの背景にあることも重視する必要があります。

    8日には都内のシンポジウムで報告もする予定です。残念ながら参院外交防衛委員会は、テロ新法の採決をしなければ審議に応じないという与党側の姿勢により、二週間にわたって審議が行われず、明日の定例日も開かれない方向です。審議を再開し、この問題をさらに追及する必要があります。がんばります。

    ※前回のメルマガで辻元議員を民主と書いていますが、社民の間違いです。訂正します。


◆e-mail address: ご意見・コメントは下をクリックして下さい
『スパーク』へ意見・コメントを送る