●井上メルマガ('08/8/28)   スエーデン国会議員との懇談

  井上さとしです。

    夏も盛りを過ぎ、夜になると虫の鳴き声も聞こえるようになりました。異常な猛暑となった今年の夏。メルマガもすっかり夏休みをしてしまいました。

    さて、臨時国会の召集日がやっと確定したかと思うと、与党からは太田大臣の事務所費問題が持ち上がり、民主党は参院での三氏の離党、新党結成が発表されるなど、まだ半分夏休気分の永田町に一気に激震が走りました。解散・総選挙をにらんで激しいぶつかり合いになる臨時国会の様子を随時レポートしていきます。

    今日は、激闘国会の話題に入る前に、スエーデンの国会議員と懇談した時の話題です。26日の午後から、来日中のスエーデン王国国会の外務委員会の一行と参院外交防衛委員会との懇談が行われました。スエーデンからはルンドグレン団長ら6人の国会議員が、参院側からは北沢委員長(民主)、浅尾理事(民主)、そして私の3人。夜はスエーデン大使公邸で開かれた歓迎レセプションにも参加して懇談しました。

    スエーデンの人とお話をするのは初めての経験。ノーベル賞で有名な北欧の国というぐらいの認識しかありませんでしたが、事前に資料をいただくと、実に興味深い国です。19世紀のナポレオン戦争以来200年間も戦争に参加せず、軍事非同盟政策の立場をとっています。ですからEUには参加していますがNATOには非加盟です。一方、徴兵制度をしき、国連との協力を重視してPKOには積極的に参加しています。

   昼間の懇談では、北東アジア外交での日本の立場などの質問がありましたが、最後に出た質問は「日本は死刑の執行停止(モラトリアム)はどう考えているか」というものでした。死刑廃止を推進する議員連盟の役員をしている私が日本の現状をお話しましたが、この話題は夜のレセプションでも出されました。

   昼間の懇談で質問を出された穏健党のブリックス議員に「スエーデンではどうですか」と聞くと、「わが国では100年前に執行停止し、そのご死刑制度自体を廃止した」とのこと。「日本では死刑を廃止すれば犯罪への抑止効果が弱まるとの説明だったが、死刑制度のあるアメリカとスエーデンとどちらが犯罪が少ないかを見てもらえば、死刑の犯罪抑止力が高いとはいえないことは明らかです」と答えられました。この問題では非常に自身と信念をもっておられるな、という印象でした。

   そういえば、わが党の山下議員が昨年、参議院の派遣で欧州評議会議員会議に参加し、ヨーロッパの議員と懇談したときも死刑問題で質問があったと聞きました。

   EUの加盟国はすべて死刑を廃止しており、死刑廃止はEU加盟の条件でもあります。世界に死刑廃止を呼びかけるEUの確固とした立場を再認識しつつ、逆に死刑判決・執行が急増している日本の現状が世界から見ていかに異質かを実感しました。

   もう一つはいい話。スエーデン国会議員の一行は翌日、広島の平和公園などを訪問することになっており、夜のレセプションでは核兵器や平和の問題も話題になりました。スエーデンのある議員は「日本の憲法を読んだ。九条は理想だ。世界の国がもてるようになればいいですね」と語ってくれました。

   改憲をめぐる国会の状況や世論の変化についてお話し、日本共産党は憲法を守り、生かすために全力をあげていると強調。核廃絶等についてもいい懇談ができました。

   外国から日本がどう見られているのか――時々、こうした他国の議員との懇談の機会があると自分たちの立ち位置が改めて鮮明になります。


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