●井上メルマガ('08/6/7)   後期高齢者医療制度廃止法案の可決

  井上哲士です。

    賛成133対反対98。金曜日の参院本会議で4野党提出の後期高齢者医療制度廃止法案が可決された瞬間、議場は拍手に包まれました。

    本会議終了後に議面で開かれた報告集会に集まった皆さんは誰もが笑顔です。衆院での成立に向けた決意表明をした穀田国対委員長は「会期末の参院での議面集会は、悪法を強行されたことへの糾弾がほとんどだったが、今日はこんなにうれしい集会を持つことができました」と参加者を笑わせました。

    もちろん与党が三分の二を占める衆院でも可決し成立させることは容易ではありませんが、一院とはいえ、施行された悪法を廃止する法案を可決したことは社会保障運動の中でも歴史的なできごとです。

    参院選挙での自公政治への審判による与野党逆転の参院での力関係がもたらした出来事であることは間違いありません。しかし、それだけではありません。通常国会の冒頭の本会議代表質問で民主党の幹事長も参院会長も後期高齢者医療制度をとりあげませんでした。

日本共産党以外の党が2000年の時点で「老人 保健制度を廃止、高齢者独自の 保険制度をつくる」とした付帯決議を共同提案したという事実もありました。

    実際、与党や一部マスコミは、「日本共産党以外の党はかつて、老人保健制度廃止といっていた。老人保険制度にもどす廃止法案は無責任だ」と攻撃しました。それでも4野党共同提案にこぎつけ、参院で可決することができたのは、何よりも国民の皆さんと激しい怒りと運動がそうした野党をも動かした結果でした。最初からぶれずに反対し続けてきた日本共産党の主張と論戦も大きな役割を果たしました。

    通常は厚生労働委員会に所属している小池晃議員が提案者の1人として答弁にたち、質問には私が立ちました。国民の声が野党を動かし、政治を動かす新しい条件の広がりを改めて実感できる最前線にたたせてもらったことは喜びであり、誇りでもありました。

    国民の声が「悪法の廃止法案」を可決した最初は昨年末のイラク派兵法廃止法案でした。この法案も外交防衛委員会で賛成の挙手をしました。今回も厚労委員会で賛成の挙手をしました。両方の法案とも委員会採決に加わったのは全参院議員の中で私一人だけ。議面集会でそのことをお話すると、後ろから穀田さんの「良いとこ取りだ」と声がかかり、どっと笑いがおきました。でも、その分、論戦には力を尽くしましたから!

    4党共同提案の法案を可決させるには、様々な苦労もありました。これまで悪法阻止の一点での共同はありましたが、与党の反対の中で可決するための共同は、国対委員長になって4年目にして初めて体験した場面でもありました。勿論、議員団にも経験の蓄積はなく、模索しながらの対応でした。

   限られた会期の中で、廃止を求める国民の声に応えつつ、どう徹底審議をするのか――。野党国対委員長会談でも様々なやり取りがありました。我が党は参考人や公聴会の開催を最後まで求めました。民主党の強引な理事会運営には小池議員が抗議の記者会見をする場面もありました。今回のことから様々な教訓を引き出し、今後に生かす必要があると思っています。

   まずは、何はともあれ、残された会期の中で衆院での廃止法案可決・成立させるために全力を尽くすこと。週明けから緊迫した日々となります。


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