●井上メルマガ('08/5/24)   宮崎氏の証人喚問

  井上哲士です。

    木曜日の外交防衛委員会で、宮崎元信・山田洋行元専務の証人喚問をしました。防衛利権に関する証人喚問・参考人招致は守屋前防衛事務次官、米津山田洋行社長、秋山日米平和・文化交流協会専務理事に続いて4人目です。

    宮崎氏については昨年、参考人招致を決めましたが本人が拒否。その後、証人喚問を決めた直後に逮捕され、さらに拘置所内での出張尋問も決めましたが、裁判所から許可が出なかったという経過があり、やっとこぎつけた喚問でした。

      何を質問し、どんな証言を引き出すか――事前に色々と議論しました。守屋氏などへの喚問や参考人質疑と決定的に違うことは、宮崎氏が既に贈賄などの容疑で起訴されており、基本的な事実を認めている、ということです。

    そのことに留意しながら、幕引きを許さず、久間元防衛大臣や秋山氏の喚問を実現し、日米の防衛利権の核心にメスを入れる方向へ流れを転換させるような証言を引き出すことが最大のポイントになります。

    それは何か。今回の防衛省汚職のおおもとには、「久間−秋山−山田洋行オーナー」と、「守屋−宮崎」の二つのグループの対立がありました。しかし、現在、逮捕・起訴されているのは宮崎氏らの側だけ。「なんで自分たちだけが」という思いがあるに違いありません。久間、秋山氏に関することならすすんで証言するのではないか。

    しかし、簡単ではありません。宮崎氏が証言しやすいように質問し、後押しをする必要があります。そのためには何が必要か。「赤旗」の力を借りました。実は、あの「すっぽん料理店」での宮崎氏と久間、秋山氏の宴席のスクープをはじめ、どのマスコミよりも宮崎氏にもっとも深く取材してきたのが「赤旗」日曜版なのです。

    すっぽん料理店での会話など、「赤旗」だけが報道してきたことを一つひとつ宮崎氏に質問。詳しい証言が出てきました。そのうえで、最後に、「山田洋行から久間氏の側に献金は無かったのか」と質問しました。久間事務所側は「無い」と回答しており、献金の事実が出てくれば重要な証言になります。

    私の質問に、この日の喚問で初めて宮崎氏が補佐人である弁護士と相談しました。かなり長い相談でした。委員長は時計をとめ、委員会室はどんな証言がでてくるか静まり返りました。「記憶にない」と逃げるか、それとも新たな証言があるか――そして、宮崎氏が意を決したように話しだしたのが、最後の証言でした。

    「山田洋行(オーナー側)が『久間氏が後見人になった』『先生方なんていうのは金を出せばどうでもなるんだ』と発言している」というものでした。久間氏が大臣でありながら、CXエンジンの選定で特定企業に肩入れし、献金も受けていたこと疑惑を濃厚にする重大な証言です。夜のニュースも翌日の各紙も、多くがこの証言に注目しました。核心に迫る証言だったからです。

    実は、宮崎氏のこの証言の基本的内容は、喚問当日に配達が始まった、25日付の「赤旗」日曜版に掲載されています。「赤旗」記者が宮崎氏に取材してつかんだスクープでした。前日の夜に読んだ、この記事の内容を踏まえて質問したから、証人喚問という重要な場でより生々しく宮崎氏が語ったのです。「赤旗」記者の皆さんとの連携で実った質問でした。

    残念だったのは、NHKの中継がなかったこと。全会一致で喚問を決めながら、与党が途中から、「宮崎氏は被告人であり、撮影・録音は人権侵害」などして反対したため、NHKが中継をやめてしまいました。司法で裁かれること以外に政治の場で解明することが必要だから証人喚問をするのです。それを国民に公開するのは当然です。与党の主張は疑惑解明の妨害でしかありません。

    さらに徹底して防衛利権にメスをいれます。巨悪を眠らせる訳にはいきません。


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