●井上メルマガ('07/9/7) 与野党逆転国会の力
井上さとしです。
10日からの臨時国会の召集も決まり、参院選挙の審判に基づいて、どういう参院の構成と運営にするのか、様々なやり取りが続いています。
これまで、参院では10人未満の会派の本会議質問については、通常国会での施設方針演説と決算報告についての2回しか基本的に認めない運営が続けられてきました。これに対し私たちは、国民の多様な意思を国会に反映する上でも少数会派の質問保障は必要不可欠だと一貫して主張してきました。特に、今回は歴史的な審判を受け、内閣が改造された直後であり、いつにもまして全会派の質疑の保障が必要です。
社民、国民新党にも呼びかけて、議長、議運委員長に正式に文書で申入れするとともに、民社や自民の国対にも働きかける中で、今日の議運で、3党の質疑を認めることが確認されました。この間の粘り強い働きかけが一つ実りました。
さらに自民と民主の間では、予算委員長などのポストをめぐって激しいやり取りが行われています。この点でも参院選挙での歴史的審判にふさわしい、院の構成にすることが必要です。
さて、参院での与党過半数割れが、どういう力を持っているのかがこの間の2つの事態で浮き彫りになりました。一つは、遠藤農水大臣の辞任と問責決議です。遠藤氏は補助金不正問題があっても最初は居座るつもりでした。しかし、野党が参院で遠藤氏の問責決議を出すことを示唆したら急転直下、辞任となりました。
問責決議に法的拘束力はありません。しかし、決議があがれば、参院では「資格が問われている大臣に対しては、質疑できない」となり、質疑はストップしてしまいます。臨時国会の冒頭から安倍政権は立ち往生。それを恐れての辞任劇だったのでしょう。
もう一つはの御手洗経団連会長(キャノン)の参考人要求とキャノンでの変化です。御手洗氏は、偽装請負を告発されても、「法律が悪い」と開き直っていました。しかしキャノンは先日、請負労働者83人全員を直接雇用しました。期間工にとどまっており、期限があるという問題がありますが重要な前進です。キヤノンは「告発を受けて、直接雇用への社会の関心、キヤノンへの注目を考慮した」とのべ、世論と運動に逆らえなかったことを認めました。
キャノンの社内では「御手洗氏が国会に参考人で呼ばれるのを恐れてのこと」と話されているとのこと。通常国会でも野党が御手洗氏の参考人招致を求めていましたが、参院での与野党逆転で現実味を帯びてきたのであわてて、対応したようです。
先日の野党国対委員長会談では、御手洗氏の参考人招致を求めることで野党が一致しました。今後、参考人招致をめぐっては与野党間の激しいやり取りになることでしょうが、実現すればさらに大きなインパクトになります。
この2つ出来事でも、参院での野党多数が、国民の願いが結びついたときに、大きな力を発揮することを感じさせられました。どういう変化を作り出せるか、楽しみであり、責任も痛感します。国民の審判と期待に応えられるように、来週からの臨時国会で全力をあげます。
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