●井上メルマガ('06/12/22)   やらせ、さくら、隠蔽

  井上さとしです。

   15日の参院本会議で、与党が教育基本法の改悪を強行しました。改悪やめよとメールを送ってくださった皆さんにもこのメルマガを送っています。引き続くご愛読をお願いします。

   審議を通じて改悪の根拠が崩れ、「やらせ質問」で法案提出者としての資格も問われているにもかかわらず、慎重審議を求める国民世論を踏みにじって強行した暴挙は許せません。私は特別委員会委員として三週間余りで対政府9回、参考人質疑3回の12回の質疑に立ちました。理事会や国対の協議と並行しての質問準備は大変でしたが、多くの草の根の力に支えられて政府を追い詰めました。

     その一つがタウンミーティング(TM)や教育改革フォーラムの「やらせ」や「さくら」をめぐる文科省の責任追及です。法案が成立した日に、文科省が大量の処分を発表しました。その中には、教基法改定の責任者である生涯学習政策局長の前・現2人が含まれています。文科省は、「TMは内閣府の主催。文科省の窓口は広報室」として責任を逃れようとしていました。私は、この言い逃れを追及しました。それがこうした処分につながったと思います。

   岐阜のTMに関する県教委の回答書を示して、文科省の教基法改定案を作った部署が「やらせ質問」も依頼していたことを明らかにした顛末は、メルマガの73で書きました(ホームページからバックナンバーが読めます)。この質問の時に、当時の生涯学習政策局長だった銭谷・初中局長に「あなたは知っていたのではないか」とただすと、息吹文科大臣が色をなして立ち上がり、局長に答弁させませんでした。「知っていた」といえば大問題、「知らなかった」といえばウソになるからでしょう。

   銭谷氏が相対的に重い処分になったのは、岐阜のTMの際に、事実上「やらせ質問」を指示したことが理由。私の質問が核心をついていたこと、だからこそ文科相があわてたことが、浮かび上がってきました。

   私がもう一つ、明らかにしたのは、教育改革フォーラムでの「やらせ」「さくら」です。こちらは文科省主催ですから逃げるわけに行きません。一番注目したのは、1100万円もかけて東京、香川、石川の三会場を衛星放送でつないだ03年10月4日のものです。党の地方議員団を通じて調べ、東京会場では参加者の一般公募が行なわれたが、香川、石川会場は教育委員会が動員した人しか参加していないことが分かってきました。

   2会場から1人ずつ発言しています。その人物や発言の様子が特定できないかと探しましたが、なかなか分かりません。あきらめかけていた時、宮城で、当日のビデオが入手できそうだという連絡がありました。大急ぎで宮城の教職員組合の方に新幹線でビデオを持ってきてもらいました。

   丁度、国会への座り込みに来ていた香川の教職員組合の方に私の部屋で見てもらうと、香川会場で発言した女性は、小学校の校長先生ではないかという返事。確かめるために画面を写メールで香川に送ってもらいました。「間違いない」という返事です。同様に石川会場で発言した人の画像もダウンロードして石川に送り、教職員組合の皆さんに見てもらいました。県教育委員会の主導主事をしていた人に違いないという返事です。

   2人とも発言の際に職業を名乗らず、いかにも一般市民のように見えます。衛星放送を通じて発言を見た東京会場の一般参加者は、まさか香川、石川の会場の参加者はすべて教育委員会の動員であり、発言した人が関係者だったとは思わなかったでしょう。TMのように一般参加者にまじった関係者に発言させるのではなく、参加者がすべて関係者だったわけですから、まさに「集団やらせ」です。

    さらに間違いないように、香川の校長先生本人から発言したことを確認してもらいました (「自発的に発言した」ということでしたが…) 。確認できたのは質問前日で、忘年会の会場だったとのこと。 こうした関係者の皆さんの努力がすべて合わさって、私の質問になり、文科省を追い詰めました。

    このように文科省が「やらせ」「さくら」「浪費」に加え「隠蔽」までしていたにもかかわらず、数の力で強行したことは、教育にもっとも反する暴挙です。しかし、どんなに改悪しても、大きく広がった国民的共同を壊すことは出来ません。日本国憲法の縛りからも逃れることはできません。憲法に依拠して、改悪基本法の具体化と教育現場への押し付けを許さないために、引き続きがんばりましょう。

    一泊人間ドックの部屋のベッドサイドからの発信です。



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