●井上メルマガ('06/11/13) 女性の「カン」
井上さとしです。
与党は15日にも教育基本法改悪法案を採決しようとしており、国会は緊迫の度を増しています。一方、「毎日」や地方紙の社説で、タウンミーティングのやらせ質問や高校未履修問題、いじめ問題などをあげ、「教基法は一から出直せ」など、採決に反対する主張が広がっています。さらにNHKの世論調査でも、改正賛成は41%で、そのうち今国会での成立を求めているのは33%。つまり国民全体でみれば、今国会での成立を望んでいるは一割そこそこです。そもそも文科省に法案提出の資格があるのかが問われている中、採決などもってのほかです。
さて、今日は、そんな緊迫の合間を縫って国会横の憲政記念館で開かれている「女性参政60年特別展」を見に行きました。婦人参政権を求める運動の貴重な資料が展示されています。これがなかなか面白い。初めて知ったこともずいぶんありました。
1889年の大日本帝国憲法発布とともに制定された衆議院議員選挙法では女性に選挙権を与えませんでした。それだけではなく、翌年、議会開設を前に女性の議会傍聴禁止を盛り込んだ衆議院規則が制定されようとしました。これを知った女性の陳情があり、禁止事項は削除されたとのこと。こういうたたかいの積み重ねに今日があるんですね。
「婦選なくして真の普選なし」というキャッチコピーのビラもありました。なかなかのセンスです。そして一番面白かったのは、戦後、女性が初めて選挙権を獲得した時のポスターです。「婦人の皆様へ」という表題。その全文を紹介すると
「此度、婦人方の投票が物をいう時期が参りました。そこで、私は次のやうな三條を期待します。
一、皆さんは男性よりも忠実です。従って、棄権をして折角の権利を無駄にはなさらないでせう。
一、皆さんは、ご婦人独特の正義感を持って居られます。他には煩はされずに、政見の正邪をご自身で判断せられるでしょう。
一、皆さんは、男性よりもずっと鋭い、直観力と云ふか、一種のカンを持って居られます。人物の眞偽をそのカンで嗅ぎ分け、必ず眞(ほん)ものに投票せられるでせう。」
「私」とは当時の流行作家の久米正雄氏とのこと。なんと、このポスターの作成は、文部省なのです。有名な「憲法のはなし」という副読本も文部省が作ったもの。当時の文部省というのはなかなかのものだったと思います。子どもたちを戦場に送った戦前の教育への深い反省があったのでしょう。
女性が選挙権を持って以来、日本は武力で外国の人を殺していない世界でも稀有な国になりました。この女性たちの「独特の正義感」と「人物の眞偽を嗅ぎ分けるカン」で選ばれるにふさわし政治家になるべく、さらに精進を重ねたい。そして、選んで間違いのない「ほんもの」の党、日本共産党の値打ちを広げたい。
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