●井上メルマガ('06/07/15) 沖縄基地調査で考えたこと
井上さとしです。
党議員団の沖縄基地調査のため、九日の夜に那覇に入り、十一日まで沖縄の各地を訪れました。私にとっては四回目の沖縄。当選後は、選挙応援の依頼があっても都合がつかず、一度も訪沖できていませんでした。
今回は七つの自治体の首長や副知事・助役さんをはじめ、辺野古沖の新基地建設を阻止してきた市民団体、実弾演習の被害に苦しむ地域の区長さんなど多くの方々と懇談することができました。また、県内の主な基地を視察することもでき、大変充実した調査となりました。
とりわけ宜野湾市の伊波洋一市長は自らが案内して、普天間基地や沖縄国際大学でのヘリ墜落は現場を説明してくださいました。照りつける太陽のもとで、汗をぬぐうことなく市民生活を脅かす基地の現状と撤去への思いを語る市長さん。特に、訪米して議会や自治体関係者に訴えた時の話は圧巻でした。
住宅密集地の真ん中にある普天間基地の写真を米国議会関係者に見せた時の言葉は「ありえない」ということだったそうです。米軍の基地設置の基準からいえば、こんな住宅密集地での基地設置はあってはならないし、ましてや、滑走路から戦闘機が飛び立つその真下に住宅があるなどもってのほかなのです。そして、その議会関係者は「こんなことは、私たちは聞いていない」とも語ったそうです。つまり、基地設置基準に外れているので、米国内では普天間基地周辺の住宅は存在しないことになっているのです。
「私たちの住宅は豚小屋か!」と憤る伊波市長。そして「問題は、日本政府がアメリカに対し、アメリカ国内と同じ基準をなぜ、日本では守れないかと迫っていないことです」と強調されました。当然の怒りです。
続いて住宅密集地の真ん中にある沖縄国際大学のヘリ墜落現場を見ました。住民の犠牲者が出なかったのは奇跡といえるような惨状です。その後、嘉手納基地ではF18戦闘機の離陸現場に直面。まさに耳をつんざくような爆音。すぐ隣の人との会話も不可能です。一刻も早い基地の撤去を求める住民の声は余りにも当然のことです。
政府は「沖縄の負担軽減」といって米軍再編に合意しました。しかし、どの自治体で懇談しても「具体的な数字など何も示されておらず、どれだけの負担軽減になるのか。そもそも軽減になるのか疑問だ」という声が出されました。その上、嘉手納基地へのパトリオットミサイルの配備計画が報道されており、関係する三自治体は、新たな基地強化であり絶対反対の立場でした。
そして、普天間の代替基地とされるキャンプシュワブの新沿岸案の基地計画地の視察。小船で洋上に出て、埋め立てがされる場所まで行きました。この美しい海を埋め立てて出現するのは、実に巨大な基地。「代替」といいながら、永久に使える強大な基地をアメリカは手に入れることができます。許しがたい計画です。
同時に印象的だったのは複数の自治体幹部から「この十年間は何だったのか」という発言があったこと。普天間基地の県内移設を中心としたSACO合意の実施をはかりながら、住民の反発で実現しないままにきたことへの思いでした。この言葉を市民運動の代表に伝えると、「私たちの十年間の運動の成果ですね」と確信を深めておられました。
日米政府はこれからアメとムチで再編計画を強引にすすめようとするでしょう。しかし、沖縄にはそれを許さない底深い世論と運動があります。沖縄市長選挙では勝利をしました。秋の臨時国会では関連法案も出され、激しい論戦になるでしょう。この調査の成果をかみ締めながらたたかいに臨みます。
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