●井上メルマガ('06/06/03)   「丸飲み」騒動に何を見る

 井上さとしです。

    国会も最終盤。いよいよ緊迫度を増してくるなか、悪法推進への自民党の執念を実感させられました。共謀罪新設法案で民主党の修正案を丸飲みして採決しようとしたことです。

    始まりは、1日の本会議でした。改憲手続き法の質疑を行うその本会議で自民党の細田国対委員長が民主党の渡部国対委員長のところに行き、なにやらひそひそ話し。穀田さんに聞くと、その後、議場内にざわめきがひろがったそうです。自民党が修正案の「丸飲み」を提案した瞬間でした。

    何しろ政府は「民主党案は条約違反だ」と答弁していたわけですから「丸飲み」は想定外。夕方以降、マスコミも「一転、今国会成立へ」と報じ、2日の朝刊の多くも大きな見出しでそう報じました。13:00から2時間の質疑をおこなって政府答弁を確認したあと採決というスケジュールもいったん固まりました。

      急を聞いて市民団体の皆さんも国会に集まり、17:00からは採決の抗議集会も設定されました。ところが、午前中に細田・自民国対委員長が「いったん成立させ、後から修正すればいい」と発言していることや、麻生外務大臣が記者会見で「民主案では条約違反であり、批准できない」と発言したことが伝わり、民主党が反発。午後からの委員会には出席しませんでした。

    衆院法務委員会は18:00ごろまで与党議員が民主党の参加を待ち続け「与党だけで採決強行もありうる」と緊張も走りましたが、結局散会。今日の採決はなくなり、与党の国対で「継続審議を確認」という報道も流れました。

    この事態を見て感じたことは、悪法を通すためなら何でもやるという与党の執念でした。民主案を丸飲みしてでも成立させて、後で、多数の力で修正すればいい――とんでもない悪知恵です。

    今、会期延長が無くなり、教育基本法も衆院で継続へという報道が流れ、反対の運動の中では少しほっとした雰囲気があることも否めません。しかし、油断も隙もないのが与党であることは共謀罪での動きを見ればはっきりしました。この間の特別委員会の質疑で、総理が民主案を「よくできている」とほめ、自民党議員からも民主案を持ち上げる発言が相次いでいることも、うさんくささを感じます。民主案丸飲みで教基法改悪を一気に強行――そんなシナリオを絶対に許してはなりません。気を緩めることなく、さらに運動を広げましょう。



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