●井上メルマガ('06/05/14) 丹念な調査が政治を動かす
井上さとしです。
先週は、GW明けの8日から、重要法案の審議入りや採決をめぐっていきなり緊迫した情勢となりました。しかも、民主党の代表選挙や衆院補選の影響で四月の国会審議がいささか遅れ気味だったのを一気に取り戻そうという与党の動きもあり、助走なしのフル稼働になり、実に忙しい一週間でした。
行政改革特、文教科学委員会の質問と経済産業雇用調査会での意見表明と3日連続したのに加え、教育基本法や共謀罪、医療改悪法案をめぐっての緊急集会やデモが連日、何回も行われ、質問の合間を縫って挨拶や激励に走り回りました。
その中で、行政改革特別委員会では文科省での天下り問題を予算委員会に続いて取り上げました(詳しくは、ホームページで11日付けの活動日誌をごらんあれ)。その日の夕刊で「読売」「日経」「毎日」が取り上げたのを始め、「共同」が配信したので多くの地方紙でも報道されました。
3月の予算委員会では、文科省の工事関連部門を退職し、現に文科省の管工事を受注している企業に天下ったOBの組織である「くぬぎの会」が、文科省本省の工事を独占的に受注していることを取り上げました。その質問の時に、「国立大学や高専など本省以外で発注した工事についても調べよ」と迫りましたが、文科省は「問題はない」と調査すらしようとしません。そこで、我が事務所で独自に調査することを4月中旬に決断しました。
文科省関連の工事の受注状況はすべて文科省のHPで公開されています。その数は2002年から2005年までで実に1700件近い。まずは、これを印刷するのが一苦労。手分けをして1件、1件印刷しました。
次に1件ずつ落札率を計算。さらに入札に参加した会社が文科省のOBを受け入れている「くぬぎ会」の企業かどうかを名簿と付き合わせました。その上で、これを集計。ここまでやると、1億円以上の工事で「くぬぎ会」の独占状況が顕著になり、特に随意契約では96%も独占しているなど、「持参金付きの天下り」の疑惑がくっきりと浮き上がってきました。
部屋の秘書の皆さんはもちろん、議員団事務局にも応援をもらい、4月下旬から連休中も調べてあげて、やっとあの日の質問にこぎつけました。細かい数字ばかり見ていると目も疲れてきます。他の業務もたくさんあります。実に大変な作業をやり抜いてもらいました。
内部告発や未公開資料の暴露で疑惑を追及することもありますが、このようにホームページ上で公開されている資料であっても丹念に調べることで追及の材料になるのです。役所側は、資料を公表することで、「透明で問題ない」とします。この資料をぼんやり見ていても何もわかりませんが、丹念に集計し、他の資料と照らし合わせると問題が浮き彫りになります。今回は内部資料である「くぬぎの会」の名簿と、公表されている発注情報を付き合わせることで問題を明らかにすることができました。
政治献金の問題でも、これまで、公開された政治資金収支報告書などを丹念に調べ上げて様々な追及をし、談合企業からの献金を返還させるなどしてきましたが、その背景には、こうした秘書の皆さんの奮闘があります。
私の質問に対し、文科相は「くぬぎの会は自主的に解散したと聞いている」答弁し、やましい組織であったことを事実上認めました。綿密な調査に裏付けられた事実を突きつけての質問は政治を動かします。
今週は、さらに緊迫した情勢の国会になります。がんばります。
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