●井上メルマガ('06/04/26)  途方も無い数字

 井上さとしです。

    米軍グアム移転費の日本負担7000億円という日米間合意のニュースが駆け巡ったのが一昨日。今日は、米軍再編に伴う日本側負担の総額が、このグアム移転費も含めて3兆円に上ることをアメリカ国防省の高官が明らかにしたというニュースが永田町を揺るがしました。

    安倍官房長官は記者会見で、「途方もない金額であり、コメントできない」と述べました。3兆円という金額を初めて聞いたような顔をしていますが、実はこの金額はすでに3月17日の予算委員会で私が明らかにしたもの。「米軍再編の経費は3兆円になるという政府試算が明らかになった」という「日経」の報道を示して防衛庁長官をただしましたが、長官は「協議中であり、根拠のない数字」と否定していました。

    今回のアメリカ側からの発表で、防衛庁長官がごまかしていたことがはっきりしました。まさに「途方も無い金額」が突きつけられています。問題はなぜ、この時期にアメリカ側が一方的に発表したのか、です。私は予算委員会の際に、グアム移転費について、国アメリカが内向けの説明の三倍もの金額を日本に示していることを突きつけた上で、自民党の総務会長が「いくらかかってもいい」と発言していることを示し、「与党幹部がこんな発言をするから、日本には何をいっても受けると思われる」と批判しました。

    ところが、その後の日米間の交渉では、アメリカが示している総額をそのまま受け入れ、負担割合の交渉に終止しました。その結果の7000億円もの負担の合意。アメリカは、この合意を見て「やはり、日本には何をいっても最後は受ける」と確信し、追い討ちをかけるように3兆円という数字を出したに違いありません。

    相手が、理不尽な要求にも応じると見れば、とんとん要求してくる――まるで、どこかの暴力団のようだというと言いすぎでしょうか。そういう相手には、「こんな根拠のないものは払えません」ときっぱり断らなければ骨の髄までしゃぶられる、というのが常識。国民には理不尽な負担増を求めながら、アメリカには唯々諾々と従う。嗚呼!なんとひどい政治だ。



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