●井上メルマガ('06/02/26)  屁理屈に与党の野次

井上さとしです。

   「屁理屈をこねるな!」――24日の参院災害対策特別委員会の私の質問の最中に与党席からも激しい野次がとび、騒然となりました。と、いっても私に対する野次ではなく、答弁者への野次です。

   私が取り上げたのは豪雪地域の融雪屋根の燃料費の税負担の軽減の問題です。豪雪地域での屋根の雪下ろしの費用は、家屋の倒壊を防ぐための緊急の措置として、所得税の雑損控除の対象となっています。ところが、過疎化と高齢化が進行し、雪下ろしを頼む人手も不足しがちです。そんな中、最近、国や自治体が支援して普及しているのが屋根融雪。灯油や電気によって屋根の雪を融かす設備です。

   問題なのはその燃料費。私が示した津南町の高齢者世帯では、今冬の2ヶ月で27万円以上も灯油代がかかっています。しかし、この燃料費は雑損控除の対象になっていません。「雪下ろしの雑損控除が認められた昭和49年当時には、雪屋根などなかった。同じ災害関連支出として当然、控除の対象にすべきだ」という質問に、国税庁の部長が「燃料費負担は事前に承知のもの。雪下ろしと違い緊急性も認められない…」と苦しい答弁を始めた時、冒頭のような野次で委員会室が騒然となったのです。想像を超える与党からの反応に私もびっくりしました。

   国税庁の説明は雪国ではまったく通用しません。家の倒壊を防ぐために、屋根から雪をなくすという点では目的は同じ。つもってからおろすのか、つもらないように融かすかの違いです。先日、委員会の調査で豪雪地域の実態を見てきた直後だけに、まさに「机上の議論」の官僚答弁に、与党議員も我慢ならなかったのでしょう。

   もう一つ取り上げた不合理な問題は、除雪機に使う軽油の課税免除です。軽油引取りは道路特定財源ですから、道路を走らないことが明白なものに使う軽油については課税免除になっています。たとえば、ゴルフ場の芝刈り機や農家が使う耕運機がこれにあたります。ところが、除雪機についてはその対象となっていません。私が示したのは津南町のユリハウスの農家の方ですが、この二ヶ月で除雪のための軽油代が、4万8000円。それに加えてで軽油引取り税が2万円もかかっています。

   「耕運機やゴルフ場の芝刈り機は課税免除で、なぜ農家が使う除雪機は課税されるのか」。この当然の疑問に対して総務省は、「耕運機は農協の協力で使用実績が把握しやすい」と徴収する側の屁理屈で答弁するのみ。農家の除雪機に課税していることの不合理さはまともに説明できませんでした。

   実は質問通告の際に、防災を所管する内閣府の担当者は、担当の財務省や総務省が消極的なもとでは、前向きな答弁はできないといっていました。ところが、最後に沓掛防災担当大臣に、「雪国出身の政治家として、この問題に取り組んでほしい」と求めると、「新しい問題なので関係省庁と連携して、前向きな対策を講じていきたい」との答弁でした。与党からも野次が出るような余りに道理のない役人の答弁を聞き、答弁書にはない踏み込んだ発言をしたのだと思います。

   今回の質問に当たり、北信越各県の党組織に協力して抱き、特に税金問題の材料は新潟県の十日町市や津南町の地方議員団と新潟県党のくわはら加代子さんから全面的に提供してもらいました。草の根深く住民の中に入ってつかんだ実態と要求は、政治を動かす力がある――改めて確信しました。



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