しんぶん「赤旗」日曜版 2004年5月30日号より転載
記事中 強調は「スパーク」編集部
『創価学会とは何か』の著者
ジャーナリスト山田直樹さんに聞く
公明党が自民党と連立し政権入りして4年。政権与党になったもとで支持母体・創価学会はどうなっているのか、その実態に迫った『創価学会とは何か』(新潮社刊)が話題を読んでいます。著者のジャーナリストの山田直樹さんに聞きました。
検事の「立場」
私は、週刊誌記者をしていた80年代の終わりから、公明党・創価学会問題を取材するようになり、創価学会員が社会の重要な分野にどれだけ進出しているのかを調べたことがあります。その時、同僚が創価学会員の検事にこう尋ねました。「検事のあなたの前に学会員の被疑者が来たら、あなたは学会員としての立場を優先させるのか、公僕としての立場を優先させるのか」。検事は「その場になってみないと…」としどろもどろになりました。 これを聞いて、「こんな集団に政権をとられては大変だ」と痛感したのが、私の創価学会取材のいわぱ出発点です。

『創価学会とは何か』は、『遇刊新潮』で連載したものに加筆して緊急出版したもので、この種のノンフィクションものとしては好評だと出版社にはいわれています。「続編をぜひ出して」「こういう本が出るのを待っていた」というお便りもいただいています。
政権入りして4年たった創価学会・公明党の実態を描こうと、「言論弾圧」「メディア支配」「連敗の裁判」「狂気の選挙戦」などを柱に取材しました。留意した一つは、初めて創価学会の問題に触れる人でも分かる内容をめざしたことです。もう一つは、極カスキャンダラスなものは避け、創価学会側でも認めざるを得ない「事実」で構築して問題に迫っていくことです。
批判封じの「メディア支配」 ウソのような本当の話
とくに私が問題だと思うのは、「だれも創価学会を批判できない」という「ウソのような本当の話」がある。創価学会の「メディア支配」が進んでいるということです。

広告料の増大
雑誌に載せる「創価学会系出版社」の広告料が増大する一方、創価学会批判記事が減少していること。聖教新聞の印刷を大新聞社に請け負わせる「賃刷り」を増やす一方、池田大作氏(創価学会名誉会長)の礼賛記事が増大するという実態があるのです。
たとえば、新聞労連(日本新聞労働組台運合)の内部資料(01年)などによると、神奈川新聞は本紙25万部のほかに聖教新聞30万部、公明新聞5万部を毎日刷っていました。自分の新聞を刷る数より「聖教」「公明」が多いんです。そのもとで「神奈川」の紙面の短信欄では2週間のうちに6回、創価学会関運記事が掲載されたこともあります。池田氏が外国の大学の「博士号」を受けた記事まで掲載されています。
同様に埼玉新聞では、池田氏の本から抜粋する形で1ページの「記事」が掲載され、創価学会がその新聞を数万部購入しました。その分は1ページ分の広告費に匹敵するといいます。
部数が少ない地方紙でもこれだけの実態が指摘されているのですから、大手紙ではどうなっているかが懸念されます。
また、公明党の連立政権入りに合わせたように、PR番組『平和への道〜人間池田大作』が全国のテレビ局に売り込まれ、全国で14局が放映しています。
最近、「ヤフーBB」の個人データ流出事件の逮捕者の一部が創価学会幹部だったということが明るみにでましたが、三大新聞は事件は報じても学会幹部だったという事実をまったく報じませんでした。これを報じたのは「赤旗」と週刊誌でした。新聞・テレビは事件とからむ「創価学会員」にはほとんどが沈黙してしまっているのが実態です。
反省はどこへ
メディアを抑え込んだ創価学会がやっていることは、創価学会を批判する者を自らの系列の出版物で「ガセネタ屋」「破廉恥」「"ウソ八百"」と罵倒(ばとう)し、そのまま電車のつり広告に大見出しを出していくこと。「聖教新聞」の幹部座談会はもっとひどくて「ゲス」「ヘビ!」「犬畜生!」と名誉棄損のオンパレーバです。これが宗教団体のやることなのでしょうか。 この異様な中傷キャンペーンで思い出される大問題があります。69年から70年にかけて起きた創価学会による言論・出版妨害事件です。評論家の故・藤原弘達氏の著脅『創価学会を斬る』が、公明党・創価学会に出版を妨害され、ときの自民党幹事長・田中角栄まで介入するという一大政治事件となったものです。池田氏はこの事件で国民に「おわび」し、「政教分離」を口にしましたが、この反省はどこへいったのか、創価学会の体質は、このときも今も何も変わっていないのではないか。
いま、「二大政党制」とはいいつつも、実は自民党でも民主党でも、公明党と組んだほうが与党になれるというのが政界の構造です。政権のキャスティングポートを握ってしまったこの集団の本当の姿を、一人でも多くの由民に伝える仕事を今後も強めていきたいと思います。





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