新聞に載った関連記事
2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
トヨタの部品会社 ブラジル人事故死 残業月100時間・厚生年金未加入…
遺族、会社を提訴
トヨタ自動車の部品を製造するティムス(愛知県豊田市)の工場内で今年二月、ブラジル人労働者マキヤマ・アレイショさんが事故死した問題で、妻のタムラ・ケリーさんと子どもらが二十五日、名古屋地裁に損害賠償請求訴訟を起こしました。
アレイショさんは、人材派遣会社日本ユ・エス・インターナショナル(名古屋市瑞穂区)からティムスに出向。夜勤でロボットプレスラインを動かし、責任者同様の重責で残業が月百時間になることもありました。
二月四日の早朝、アレイショさんは停止した機械を修理しようとして、突然動き出した十トンプレス機に上半身を挟まれ、約二十時間後に死亡しました。会社は、法で定められた安全監督・指導、安全装置の設置・点検、安全教育の義務を果たしておらず、これが事故につながりました。
訴状では、同氏の損害賠償や慰謝料など、合計一億三百六十一万円余を遺族に支払うよう求めています。
また会社は、同氏を厚生年金に加入させておらず、遺族厚生年金が不支給となっています。妻タムラさんは、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)愛知支部の援助を受け、会社側に話し合いを求めています。
JMIUの大平敞也・愛知支部副委員長は「プレス機械などの事故は、外国人や派遣労働者に多い。安全対策を怠っているのではないか。また外国人労働者を厚生年金に加入させていない例も目立っている」と指摘しています。
2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
「過労死は自己管理」 有期雇用など議論 使用者側が暴言
労政審
労働政策審議会の労働条件分科会が二十四日開かれ、有期労働や管理監督者の扱いについて議論しました。過労死について使用者委員が「自己管理の問題。他人の責任にするのは問題」と暴言をはき、労働者委員から「現実を見ていない」と批判の声が上がりました。
有期労働では、契約期間中の解約禁止や不必要な短期契約の更新防止などを労働契約法に盛り込むかどうかが焦点です。
労働者委員は「コスト削減のためパートや派遣など有期雇用への置き換えが増えている」として「入り口(使う理由)と出口(更新回数や期間)規制、均等待遇の三点が必要だ」とのべました。
使用者委員は「待遇がいいから本人の都合で有期雇用に切り替える例もある」「規制を厳しくするほどリスク回避のため短い契約になる。それでいいのか」などとのべルール化に反対しました。
労働者委員は「待遇がいいから有期契約を選ぶなど一部の話」「コストダウンのため恒常的な仕事に有期雇用を使うのは問題」と批判。公益委員からも「ヨーロッパでは有期契約は客観的理由がないといけない」との指摘が出されました。
管理監督者について労働者委員は「重要な決定権など持たない課長まで管理監督者にされ、残業代が払われていない」と指摘。新たに深夜業についても適用除外にすることは「過重労働になり健康に影響する。過労死も増えているのに外す理由はない」とのべました。
使用者委員が「権限を下におろす例が増えており、役職だけでくくれず法律に合わない」と主張したのにたいし労働者委員は「範囲を広げすぎている実態のほうが問題。法律に明記してただすべきだ」とのべました。
2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
アスベスト特別遺族給付金 「不支給決定」を覆す
尼崎の会支援活動
アスベストにさらされる業務に従事していて九年前に肺がんで亡くなった男性の遺族に対する、特別遺族給付金の不支給決定が、遺族から相談を受けた「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」(尼崎の会)の支援活動によって覆され、支給を勝ち取ったことが、二十五日までに明らかになりました。
尼崎の会によると、給付金を申請していたのは、関西スレートに勤務していた夫を亡くしたAさん。Aさんの夫は、石綿製品の切断などの仕事をしていました。Aさんの場合、労災保険法による遺族補償給付を受ける権利は時効で消滅していました。そのため、「石綿による健康被害の救済に関する法律」(石綿救済法、アスベスト新法)施行直後の今年四月、同法による特別遺族給付金支給を尼崎労働基準監督署に申請しましたが、五月二日付で不支給決定通知が送られてきました。
相談を受けた尼崎の会は、Aさんの不服審査請求を支援し、反証に必要なCTフィルムを入手し、尼崎医療生協の船越正信医師の援助も受け、不支給決定の取り消しを求めてきました。兵庫労働者災害補償保険審査官から「特別遺族給付金を支給しない旨の処分については、これを取り消す」との決定書が九月一日付で出されました。
決定書は、今回入手したAさんの夫のCTフィルムから、胸膜プラークの存在と肺繊維化を認め、Aさんの夫の死亡が業務上の事由によるものと認定しました。
Aさんは、「もうあきらめかけていましたが、最後まで資料集めや請求手続きの相談にのってくれた『尼崎の会』のおかげで認定されました。本当にうれしい」と話しています。
2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
偽装請負 受け入れ先責任問え
塩川議員追及 政府「把握すれば指導」
(写真)質問する塩川議員
日本共産党の塩川鉄也議員は二十五日の衆院経済産業委員会で、製造業での偽装請負問題について質問し、「(請負事業者だけでなく)労働者を受け入れた側の企業にも厳しく対処する必要がある」と指摘しました。政府側は「偽装請負の事案を把握したものは指導する」と答弁しました。
塩川氏は、薄型テレビで競い合うシャープと松下電器の製造工場を調査した結果を紹介。シャープ亀山工場(三重県)では労働者四千人のうち千五百―千六百人、松下尼崎工場(兵庫県)では千百人のうち八百人を、それぞれ請負労働者が占めていることを挙げ、「まさにワーキングプアを前提に生産の現場が成り立っている」と追及しました。
塩川氏は、規制緩和で派遣労働を原則自由化(一九九九年)した際、当時の労相だった甘利明・現経産相が「常用代替(非正規労働者が定着する)が起こる懸念に対処するため、一年を超える雇用には派遣先に正規雇用とする努力義務を設け」ると答弁していたことを示し、「この仕組みが機能していないのではないか」とただしました。
甘利経産相は「(労働者が)非正規雇用から正規雇用に移行する道が断たれることはあってはならない」と答えました。
請負大手「コラボレート」が厚労省大阪労働局から事業停止命令を受けた件について、塩川氏は「最もメリットを享受する発注者大企業に厳しく対処することなしに偽装請負問題は是正できない」と述べました。
2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
国交省公益法人も偽装請負 国交相“法令違反は遺憾”
衆院委で穀田議員 「官から民」が助長
国交省所管の公益法人が偽装請負・出向の疑いで厚労省の労働局から是正指導を受けた問題で、日本共産党の穀田恵二議員は二十五日の衆院国土交通委員会で、「問題のおおもとに『官から民へ』の方針で正規の公務員を減らし、外注化や民間委託を広げた問題がある」と追及しました。
(写真)質問する穀田議員
問題の公益法人は、国交省の出先機関である地方整備局から設計などの業務を請け負った建設弘済会。民間コンサルタント会社から受け入れた出向社員を同省の出先事務所で働かせたことが労働者派遣法違反(偽装請負)と職業安定法違反(偽装出向)だとして、是正指導されたものです。
報道された例では、業務委託費は千五百万円なのに労働者には六百―七百万円しか支払われず、その差額を建設弘済会が五百万円、コンサルタント会社が三百―四百万円、それぞれピンはねしていました。(図)
穀田氏は、民間大企業の偽装請負が社会問題化するなか、法令順守を指導徹底すべき行政機関が法令違反を犯して労働者に不利益をもたらしたことを「断じて許しがたい」と批判しました。冬柴鉄三国交相も「国の機関から指導を受けたことは誠に遺憾だ」と答弁しました。
穀田氏は、正規の公務員が減らされたため建設弘済会職員の三人に二人が出向だと指摘。「事故が起きても責任を持って対応できず国民の安全、安心や公共事業の水準が確保できない。税金のムダ遣いもなくならず、働く労働者も不利益を受ける」と安易な民間委託をやめるよう求めました。
冬柴国交相は「公務員純減で仕事が減らなければ、労働強化かサービス不足しかない」と認めつつ、「必要な仕事をするためには請負という形しかない」とのべました。
建設弘済会(建設協会) 国土交通省の出先機関である各地方整備局に対応し設立された公益法人(全国で八つあり、そのうち東北、中部、近畿は名称が建設協会)。役員のほとんどが国交省の天下りで、地方整備局から道路工事などの設計や監督業務の補助を請け負っています。政府の公務員削減のもとで増える請負業務を民間会社からの「出向」でまかない、「偽装出向」と指摘されました。
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