台湾旅行記

 以前我が家にホームステイしていた葉さんを訪ねて、1998年12月20日から23日まで、夫婦で台湾を旅したときの記録です。

12月20日(日)
 羽田8時50分発のCI107便で出発。中華航空は成田空港ではなく、羽田空港発だからありがたい。1時間の時差で、台北国際空港(中正飛行場)に正午頃到着。
 空港からはリムジンバスで台北站(タイペイタン・台北駅)へ。ホテルはそのすぐ前の台北ヒルトン。
台湾は初めてだが、空港内も街なかの文字もすべて漢字(旧漢字)だからすごく分かりやすい。
 少しくつろいだ後、ホテルで呼んでくれたハイヤーで市内観光。運転手は日本語が分かる。まず故宮博物院へ。緑深い場所にある堂々とした建物だ。殷、周の時代から明、清の時代まで、中国4千年の財物が体系的に整然と並べてある。陶磁器や書など、実に素晴らしい。運転手の話だと、収蔵品の1%しか展示してなく、3ヶ月ごとに入れ替わるとのこと。全部見るには何十年もかかる。

 次に、忠烈祠(中国・国民党政府のために戦死した将兵の霊を祀ってあるところ)に参拝。そこの1時間ごとの衛兵交代を見学。ロンドンのバッキンガム宮殿の衛兵交代ほど有名ではないが、背が高く、鍛え抜かれた感のある若い兵士のきりりとした姿に感動する。

 午後からの観光で、時間があまりなかったため、あとは市内をぐるぐる回って車窓から観光した後、足ツボマッサージの店へ。最初、薬草の入った湯に足首を10分間ほど浸けてから、ソファーに座り、足の裏を中心としてマッサージ師の入念なマッサージを受ける。足裏全体にたくさんのツボがあり、押さえられて痛いところは身体の各臓器の悪いところを表すという。私も、隣に座った妻も、悪いところだらけだ。1時間ほどで終わった後は、身体がすっかり軽くなった感がする。

12月21日(月)
 台北市内の国内空港である松山飛行場から、葉さんファミリーの住む台南市まで約1時間弱のフライト。葉さんが予約をしていてくれたので、スムーズにことが運ぶ。
 台南空港は軍と共有のため、普通の飛行場とはいささか趣が違う。直接滑走路に降り、戦闘機の格納庫などを見ながらバスと徒歩で空港のゲートを出ると、葉さんが迎えに来てくれていて、思わず夫婦で歓声を上げる。
 葉さんは、我々のために、今日、明日と2日も休暇を取ってくれたとのこと。FAXで日本に送ってきていたスケジュールを少し変更し、今日は葉さんの車で台南市内を観光しながら、約150キロ離れた台湾最南端の街まで行き、葉さんのお父さんの倶楽部制の別荘に泊まるとのこと。
 台南は台湾第4位の都市だが、台湾一の古都で、史跡も多い。オランダ支配をうち破った台湾の英雄、鄭成功を祀った開山王廟などを見る。途中の廟の境内では本物の京劇が演じられていた。 


 昼食は、「度小月」という小さなオープンエアの食堂で食べた。この店は昔、蒋経国総統も食べに来たという有名な店で、「地球の歩き方」にも出ているが、3代目の娘さんが目の前で作ってくれたビーフン麺のそばは絶品であった。

 昼食後も少し観光して、その後は一気に台湾最南端近くの墾丁海岸を目指す。途中、台湾第二の大都市で、工業都市の高雄を通過するが、煤煙や道路の砂ぼこりがひどい。
 高雄を抜けると、あとは南洋的な素晴らしい景色が展開する。泊めてもらったリゾートホテル風の会員制別荘は、天井に大きなプロペラ(扇風機?)が付いている。
 夕食は3人で海鮮レストランに行く。葉さんは車の運転のため、私がほぼ一人で紹興酒を一本空けて、台湾の夜を満喫する。

12月22日(火) 
 
昨日までは曇り空だったが、今日は抜けるような青空。やや蒸し暑く、妻はTシャツ、私はワイシャツ姿となり、墾丁国家公園内のあちこちを回る。墾丁青年活動中心という、中国風建物のセミナーハウスには、世界各国から華僑の子弟が集まって合宿中。南アフリカから来たグループは底抜けに明かるい。
 台湾最南端の鵝鑾鼻などにも行き、途中、奇岩の多い海岸で生まれて初めて、椰子の実の水を飲む。青臭く、かすかに甘い香りがする。
 帰途寄った屏東市では、葉さんの妹さんのご主人が脱サラして始めたという屋台の茶店に寄って、名前はよく分からないが、ナタデ・ココとココナッツミルクが入った冷たい紅茶をいただく。今までに飲んだことのない味で、とてもおいしかった。ひっきりなしに客が来て、大繁盛の様子であった。
 台南に帰ってからは、今回の旅行の目的の一つであった、「台湾風ロマンチック写真」を撮りに行く。葉さんの奥さんの知人が経営している大きな写真館で、中国風の衣装をとっかえ引き換え着せられ、ポーズを付けられて、何枚も旧婚写真を撮る。出来上がりが楽しみだ。
 その写真館に、葉さんの奥さんと2歳の息子の葉葉ちゃんが迎えに来て、夜は、葉さんのご両親のご招待の夕食会。お父さんからは「息子が留学中に大変お世話になりました」と、恐縮するような丁寧なご挨拶をいただく。葉さんの通訳で、たくさんの話をしてとても楽しいひとときであった。

 ご両親と別れたあと、葉さんの家に寄って、結婚式の写真やビデオを見せてもらう。日本の商業主義化した結婚式と違う、二人の親族や友人などによる結婚式前後の様々な伝統的な行事に心を打たれた。
 深夜に台南大飯店(ホテル)に帰着。疲れたが、しみじみとした幸福感に包まれる。

12月23日(水)
 帰国は台北を夕方に立つ便なので、ゆっくりと起床。いったん会社に出勤した葉さんがすぐに抜け出して、9時半頃にはホテルに迎えに来てくれる。
 朝の台南市内をゆっくり見ながら、葉さんとの別れを惜しみつつ、飛行機でまた台北に向かう。
17時45分発の中華航空106便で、羽田に21時半頃帰着した。

(参考・・・「台湾全図」