BMW R1150Rのすべて

総合インプレッション(納車後4か月間の印象をバイク雑誌風にレポートしてみました)

長 所
(存在感)全体にマッチョで、特にオイルクーラーが両側に付いたガソリンタンク周辺の張り出し、パニアケースを両脇に付けたときのリアシート周辺のボリューム感はすごい。大きいぶん、混合交通の中にあって車や他のバイクからも認識されやすく、安全であると思う。また、その分、堂々とした運転態度と節度を持った運転が要求されるように感じる。
(質感)前に持っていたホンダのCB400と比べると、バイク全体の質感が全く違う。スチールの重厚さ、メッキ部の多さ、塗装の輝きなど、素材そのものの上質感と、手づくりに似た造り込みのていねいさに、長く所有していたい欲求を覚える。物づくりに対するドイツ人の国民性を感じる製品で、工業製品は何でも日本が一番と考えてきたが、改める必要があるようだ。
(軽快感)車体は大きく重たいが、またがってしまえばそれらはそれほど気にならない。特に、走行中は横に張ったシリンダーの効果による低重心の安定感と、中回転域でのトルクの強さと相まって、直進でもコーナーでもひらりひらりとした軽快感をたっぷりと味わえる。大排気量に似合わないパタパタと軽いエンジン音も最初は物足りなかったが、この頃は上品な「鼓動」に感じている。
(安全性)BMWの2001年型車から採用された「ブレーキブースター付きのインテグラルABS」は、評判通りの素晴らしいブレーキシステムだ。軽い力でブレーキレバーを握るだけで、フロントとリアのブレーキが最適配分で効いて確実に止まる。まだ効かせてはいないが、どんなに強くブレーキをかけてもタイヤがロックしないというABSの安心感は大きい。
短 所
(すり抜け性)車体が大きく、横に張っている分だけ、やはりすり抜け性には劣る。高速道路は車線の幅員が広いので今まで通りすり抜けしているが、一般道では慎重になった。ソロでツーリングをしているときは他の大型バイクを先に行かせ、そのバイクがすり抜けしたときだけ後ろに付く。クラブのツーリングの時は、ハーレー乗りのSさんの後を付いてすり抜けしている。
(運転時の独特のクセ)BMWのボクサーエンジンバイクは種々の独特の機構を持っているため、操作上、いくつかのクセがあるという。縦置きクランクシャフト、シャフトドライブ、乾式単板のクラッチ、等々。2気筒エンジンということと併せ、これまで乗ってきた国産の水冷4気筒バイクとの違いは多いようだ。まだそのクセをすべて経験したわけではないが、乗り始めた当初は、シフトアップをするたびに強烈なエンジンブレーキが効いて、ガックン、ガックンとなるのにまず驚いた。これは、クラッチをつなぐつど、少していねいにアクセルを開けてやることで解決したが、運転のクセの無さや気楽さではCB400のような国産バイクに勝るものはない。
足着性 バリオス2でもCB400でも、またがってから両足のかかとがべったり着いていたが、ロードスターでは少しかかとが浮く。私より大分若いクラブのWさんは、私と同じくらいの身長(172センチ)だがべったりと着くので、私の足が標準より短いということのようだ。
取り回し 乾燥重量167キロであったCB400に比べれば、218キロのロードスターはやはり重たい。しかし、低重心のため扱いやすく、舗装路での取り回しはCB400よりほんの少し大変という程度。だが、一度砂利道に停めて、バックで動かそうとしたところビクともしなくてあせったことがある。センタースタンドも普段は軽く上がるが、荷物を入れたパニアケースを付けているときにはやや気合いがいる。いずれにしても、普段から腕立て伏せなどして体力を鍛えておく必要性を感じている。
タンデム 乗ってくれる人がいない(女房や娘に何度か声をかけたが、はなから拒絶されている)ため試していないが、リアシートは厚いし、両サイドのパニアケースの固定装置にグリップが付いているので、タンデムは快適ではないかと思われる。インテグラルABSやテレレバーなどの働きもあって、ブレーキをかけたときの衝撃も少ないのではないか。
積載性 本来、荷物の積載はパニアケースの装着を前提に考えられているようで、このバイク自体の積載性能は低い。CB400ではシート下に車検証等の書類はもちろん、レインウエア上下も入れられたが、ロードスターのシート下には書類ひとつ入れられない。ただ、パニアケースの固定装置の出っ張り等を利用して、リアシートにネットで荷物をくくりつけることはできる。
装備 タコメーターや時計(アナログ式)、燃料警告灯は付いているが、燃料計は付いていない。国産と反対に右側にだが、ヘルメットのホルダーも付いていて、装備上、特に不足するものはない。
燃費 CB400ではリッター20キロ以上は走っていたが、ロードスターでは慣らし運転中が平均17キロ、通常運転中の現在は14キロと、燃費はあまり良くない。バイク雑誌の情報や、ネットで知り合った同じロードスター乗りの方々によれば、大体20キロ近くは走っているようなので、バイクの個体差か、私の運転下手によるものと思われる。
メンテ性 自分で行っているメンテナンスはせいぜい空気圧チェックとオイルの補充くらいなので詳しいことは分からないが、草津でのエンジントラブルの時にクラブの仲間がスパークプラグを簡単に取り外したり、納車の時にくれたテクニカルブックにリアホイールの取り外し方まで説明してあったところをみると、ユーザーメンテナンス性はかなり良いようだ。しかし納車の際の店長の、特にインテグラルABSの付いたブレーキシステムに係る作業は必ず正規ディーラーで行うようにとの話もあり、臆病な私としてはブレーキシステム以外も含め、自分であれこれいじる気はあまりしない。