エイチャン

 

 「Eithianne」という発音は、もっと複雑なようだが、本人が「エイチャンと呼んでほしい」と言うものだから、もっぱらエイチャンと呼んでいた。

 エイチャンは、文部省のAET(アシスタント・イングリッシュ・ティーチャー)事業で、日本の高校の英語教師に就任するため、アメリカのニューヨークから来日した。 

 住まいが見つかるまでボランティア家庭に滞在し、日本の生活に慣れるとともに、住居探しをすることになっている。住居探しの方は、またボランティアの人がいて、不動産屋に一緒について行くなど協力することになっており、エイチャンの場合、女子大生がボランティアとして付いて、1週間くらいかかって無事、東横線の沿線にアパートが見つかった。 

 赴任校は京浜東北線の沿線の工業高校の定時制のため、京浜東北線の沿線を勧めたが、「東横線の方が住宅地区が多く環境が良い」などと、沿線事情にも詳しい。おまけに、日本語も片言ながら、かなり話す。

 というのも、大学時代に東京の大学に何か月か短期留学していたとのこと。

 父親は、ビートルズの初アメリカ公演を実現させたプロモーターだったということで、アメリカのエンターテイメント界の情報などを楽しく話してくれた。