バイク道楽日誌 No.54

2003年5月3日(土)〜5日(月)    「中部地方ツーリング」

(ドロナワ企画)
 去年のゴールデンウイークは、クラブの有志5名で東北ツーリングに出かけて盛り上がったが、今年はカレンダー上、あまり休みがつながっていないのと、仕事で忙しい人が多くて、なかなか誰からも企画が出てこない。 
 仕方なく私が、前から行きたいと思っていた飛騨高山等、中部山岳地帯を回るプランを提示したところ、数名から参加の意思表示を得る。 合計7名という人数が確定したのが4月の中頃で、それから高山の宿を手配するが、どこも満員。どうにか高山近くに民宿を予約できたのは、出発1週間前であった。 

5月3日(土)
(アクシデント)
 16号線経由で相模湖インターから中央高速に入って、諏訪南インターまで。少し20号線を走ってから152号線で高遠まで行き、そこから361号線に折れ、伊那、木曽福島を通って高山に至るというルート。
 諏訪南インターを出た直後に、女性のFUNさんのCBR600Fのチェンジペタルが外れかかるというアクシデント発生。信じがたいできごとだが、ペダルを固定していたボルトがいつの間にやら脱落していたのだ。
 これは針金で応急措置をしてから走り、20号線沿いの大きなDIYショップで同じ径のボルト等を買って副会長やマッチ一本さんが器用にほぼ元通りに直して事なきを得た。ついでにそのショップの近くの焼き肉レストランで昼食。
 次のアクシデントは、361号線の権兵衛峠手前の道が、ツーリングマップル上ではばったり線が消えている。まさか国道が途中でちょん切れているはずがないと、半信半疑でその現場まで行ったら、やはり通行止めとなっていたのだ。
 仕方ないので、もと来た道に戻り、違うルートで走り直し。ロスタイム約30分。(教訓:地図で道が無いところは、例え国道であろうともやはり無いと心得ること)

(熊出没注意)
 権兵衛峠越えは、くねくねと狭い山道を走る山岳ルート。舗装状態も悪く、たまに対向車も来るため、のんびりとは走れない。おまけに、つい最近作ったというような、「熊出没注意」の張り紙があちこちに掛けてある。
 熊に注意と言っても、実際に熊が出てきたらどうしたらよいか分からず、少々不安になる。しかし、この辺りは、周辺のまだ雪をいただいた山々が層をなして観望でき、なかなかに良いところ。
 たっぷり山道を走った後は、361号線も木曾街道と称されているところで、平坦な田舎の道路が続く。農家の庭先の石垣に芝桜がスダレのように下がり、ツツジの植え込みが赤い花で満開となっていたりして、道路標識の高山までの距離表示がまだたくさんあるのが、うれしくなってしまう。
 高山市街に入らず、少し右に折れた丹生川というところにある民宿に着いたのは、陽も暮れかかった6時半ころであった。
 2月に韓国赴任から帰国し、次のプロジェクトのため今度は三重県内に赴任しているびんさんが、三重から名古屋経由、既に到着していた。 あまり上等の民宿ではないが、空腹に夕食が美味しい。一室に集まってさらに飲んで騒いだ後、零時前には全員就寝。

 

5月4日(日)
(高山、白川郷)
 マッチ一本さんと私以外の5人は、今日中に帰らなければならず、朝、民宿前で別れる。
 マッチ一本さんと私は、高山市内に入る。少しぐるぐる回った後、「古い街並み」の近くの道路にオートバイを停めて、見学。狭い通りをかなりの人出であったが、からくり人形を見たり、飛騨の木工細工を買ったり、レトロな喫茶店で珈琲を飲んだりと、のんびりと過ごす。
 まだ見所はあるのだろうが、先を急いで昼前には高山を出発。41号線と360号線を通って約1時間後に白川郷に到着した。日本の典型的な山里の景色の中に、写真やTVなどで見覚えのある大きなかやぶき屋根の民家が点在している。さすが世界遺産に指定されているだけあって、思っていたよりも規模が大きい。
 昼も過ぎていたし、まずは大きな食堂(これは瓦葺き)で腹ごしらえ。飛騨牛の焼き肉定食というのを食べたが、結構美味かった。
 この食堂も満席で少し待たされたが、食後にメインの通りに入っていくと、クルマがびっしりとつながっている。駐車場も少ないため、クルマは一方通行の道路をただゆっくりと流していくだけのようだ。我々はオートバイの特権で、その脇をスイスイと流し、和田家近くの公衆トイレの横にオートバイを停めて、徒歩で散策。
 和田家に寄った後、小さな公園で一休みしたが、そこから見える景色が何とも情緒があって良い。観光客が押し寄せないで、普通の静かな生活をここで送ることができれば、どんなに幸せだろうと考える。現実には、観光収入がなければ暮らしていけないだろうが・・・

(富山でキャンプ)
 今回のツーリングの目的の一つはキャンプ。昨年夏の終わりにテントやシュラフなど、キャンプ用品を買って、まだ一度も本番で使っていなかったものだから、今回ツーリングの2泊目は晴れていたらキャンプにしたいと思って、用品一式も積んできた。
 幸いにも好天気となったので、富山あたりのキャンプ場に明るい内に着いて設営すべく、白川郷を2時過ぎころ出発して、北陸自動車道を一路北上。マッチ一本さんの勘で選んだ、富山市の隣、大沢野町にある猿倉山森林公園内のキャンプ場に夕方5時ころ到着した。
 丘を上り詰めたところにあるこのキャンプ場は、木々に囲まれた芝生のサイトで、トイレ棟や炊事棟も付属している。だだっ広いところに、先客はワンボックスカーが一台のみで、小学校低学年位の子どもが二人いるファミリー。
 マッチ一本さんと私は、一番奥にそれぞれテントを張る。あっという間に張り終え、荷物をテントの中に放り込んでから、マッチ一本さんのブラックバードの後ろに乗せて貰って約10分ほど離れた春日温泉へ。デジカメを忘れていったのが悔やまれるが、第3セクター立の、宿泊施設も備えた5階建ての豪華な建物。
 キャンプ場に戻ってからは、早速、夕飯とアルコール。17、8年前、尾瀬が原のキャンプ場で飯ごう炊さんをして以来のキャンプ食。あの時は漆黒の尾瀬沼に飛び交うホタルを眺めながら、缶ビールを舐めるように大切にしながら飲んだものだが、今日は市街地のコンビニで買ってきた缶ビールも豊富であり、バッグに詰めてきたジョニ黒もある。ただ、食べ物はどんなものを携行したらよいかまだよく分からず、EPIガスのコンロでレトルトの炊き込みご飯と豚汁をつくり、スモークハムや乾きもののつまみを食す程度。コンロと一緒に買ったクッカーのセットが大変役に立った。
 マッチ一本さんと駄べりながら飲み食いしていたら、あっという間に真っ暗になってくる。昨晩遅くまで騒いでいたのと、今日一日の走行の疲れで眠たくなってきたため、9時を少し回った頃には「宴会」もお開きとする。アルコールの勢いもあり、テントの中で爆睡していたら、10時前頃、会長とびんさんから携帯に電話。会長達は朝別れた後、この連休で最大の交通量の中を、途中で温泉を探して入ったりしながら帰っていたら、なんと帰宅がこの時間となったとのこと。 

5月5日(月)

(奥飛騨、安房峠)
 明け方、テントの中で鳥のにぎやかなさえずりに目を覚ます。まだ5時頃だったが、熟睡できたためか身体も軽く、空気がとにかく清々しい。マッチ一本さんも家族連れもまだ起きてこないので、大自然を独り占めしたような気分で、デジカメを持って周辺を散策する。
 朝食時にはコンロでお湯を沸かして、キャンプの朝の最大の楽しみ、珈琲を飲む。簡易なドリップ式だが、どこで飲むのよりも美味しい。
 早いほうが混まないだろうと、8時前にはキャンプ場を出発。昨日に勝る好天の中、飛騨街道を奥飛騨目指して飛ばすはずが、運転の下手な観光バスが制限速度で一番前を走っているものだから、狭い道を追い抜きもできず、たっぷり時間がかかってしまう。
 奥飛騨の道の駅で休憩した後、安房トンネル経由、松本ICから中央高速道に乗り、一路横浜へ。大した渋滞もなく、午後3時半頃には家に着いた。

【総走行距離】   897Km