|
昔々、あるところにがうりいという男がいた。 彼は真面目で働き者だったが、貧乏だった。 それは、彼が一生懸命働いて得た金を落としてしまうとか、置き場所を忘れてしまうなどといった事が原因だったが、とにかく彼は貧乏だった。 働けど働けど貧しい暮らしに(そのほとんどは自分のせいであったのだが)、ついにがうりいは音を上げた。 「とにかくオレは運が悪すぎる!」 記憶力が悪すぎるだけでは……というツッコミを入れる者は周りにいなかった。 「このままでは一生貧乏暮らし間違いなしだ、だから観音様にお願いして、運を良くしてもらおう!」 運より記憶力を……という声は彼には届かない。 「よし、ではさっそく殴り込みだ!えいえい、おーっ!!!」 ちょっと違うぞがうりい。 ともかく、彼は観音様の祭られている堂へとやってきた。 埃の溜まった、みすぼらしい建物であったが、そこには大きな観音像があった。 「観音様ぁ……どうかオレの運を良くしてくれぇ……」 腕を組み祈る……当然の事ながら何も起こらない。 が、彼はひたすらに祈り続けた。 いつまでも、いつまでも。 昼になり、夜になり、そしてまた朝になっても。 「観音様ぁ……(ぐ〜)」 腹の虫の音と共に祈る姿は、いっそ滑稽でもある。 そして、ついに。 「観……音……さ……まぁ……」 空腹と疲労から、がうりいはついに気を失ってしまった。 「これ」 「んが〜……」 「これ、がうりい……」 「ぐ〜〜〜……」 「…………せっかく運を上げてもいいかと思ったのに……やっぱり止めようかしら」 がばっ。 「え?運を上げてくれるだって?」 とたんに起き上がり、きょろきょろするがうりい。 かなり現金な男である。 「……私はえる様大観音。あなたの図々しさ……こほん、もとい、強い懇願の意志に私は負けたわ。願いを叶えてあげる」 ちなみにこの言葉、言い換えると『堂の中でいつまでも女々しく泣き付かれていたら鬱陶しくて仕方がないので追い払うつもりになった』となる。 「ホントかっ!?」 「『信じる者は救われる』、との言葉があるけど。……『信じぬ者は混沌にまっしぐら♪』って言葉はご存知?」 にっこりと微笑む観音。その邪悪な笑みに、言葉の意味を知らぬがうりいすら背中に悪寒を覚え、反射的に首を上下に振った。 「素直でよろしい」 部下えすもこれくらい従順だったら……とぶつぶつ呟く観音。 「ん?何か言ったかぁ?」 「何でもないわ。それより……」 にっこりと笑顔で観音は言葉を続ける。 「朝起きたら、あなたは転ぶわ。もう、それは見事なくらいにね。人を集めて見物させてあげたいくらい♪」 「転ぶって……そんな笑顔で言わないでくれよぉ……」 心底情けないその表情に、観音はくすりと笑った。 「話は最後まで聞きなさいって。あなたが転んだ時、手に触れたもの、それを持って通りをまっすぐ進みなさい。そうすれば、きっとあなたの願いは叶うわ」 「そうなのか!?」 「まぁ、あなたがこの話を信じるか信じないかによって、結果は変わってくるでしょうけどね」 「信じる、信じる、信じますっ!!!」 「ならいいわ。とにかく、朝起きたらさっさとこの堂を出ていってね♪」 つい本音が零れたが、がうりいは喜びのあまりに聞いてはいなかった。 チチチチチ…… 雀の鳴く声に、がうりいは目を覚ました。 気が付くと、そこはお堂の中。 「あれ……何か、誰かと話したような気がするけど……」 頭を振り振り考えるが、一向に思い出せない。 「ま、いっかぁ!」 気を取り直し、堂を出て行くがうりい。 その背中を、呆れ返った表情で観音像が見ていた……ようであった。 「そーいや、俺って何しにここに来てたんだっけ?」 さすがは親にも水母並みと評されただけの頭の持ち主。全てを見事に忘れていた。 でも、何も気にしない。それが彼の短所であり、また長所でもあった。 「ふふふん……おわあぁっ!?」 鼻歌など歌いながら、石造りの階段を駆け降りていたがうりい。 途中にあった石に気付かず、思いきり身体のバランスを崩してしまった。 「うわああぁぁっ……!!」 ガラゴロガラゴロ……ズテ〜ンっ!!! 派手な音を立てて、一番下まで転げ落ちてしまった。 それでも怪我らしい怪我をしていなかったのは、不幸中の幸いであろう。 「いてててて…………ん?なんだこりゃ?」 身体を起こそうと地に手をつけたがうりい。 そこには、一本の藁があった。 「……?」 何故かよく分からないままにその藁を手に取るがうりい。 「……持ってくか」 そしてがうりいは、家に帰るために通りを歩いていった。 ぶーん、ぶーん。 「……」 ぶーん、ぶーん。 「…………」 ぶーん、ぶーん、ぶーん…… 「………………え〜いっ、うるさいっ!!!」 しつこく頭の周りを飛び続ける虻(あぶ)に腹を立てたがうりい、何を思ったか、目にも止まらぬ速さでその虻を捕まえた。 『ひいぃっ、放してくださいよぉ』 と、その虻から声が聞こえる。 「ん?お前さん、喋れるのか!?」 喋る虻など、聞いたことも無いがうりい。 『僕は特殊な虻なんですよぉ……』 「へぇ、名前は何ていうんだ?」 『ぜろすと言います……ほら、名乗ったのですから放してくださいよぉ』 「ふーん、面白そうだなぁ」 『人の……じゃなかった、虻の話を聞いてくださいよ……って、うわぁ、何するんですかっ!!!』 この虻に興味を持ったがうりい、先程手に入れた藁の先に虻を縛り付けた。 藁の片方の端を持って虻を捕まえていた手を放すと、虻はぶーんと飛んで逃げようとする。 しかし、藁で縛られているため、藁の長さ以上には逃げることはできなかった。 「あはははは、これ面白いなぁ」 『放してくださいっ!!え〜ん、ぜらすさまぁ……』 賑やかに歩く1人と一匹(笑)。 すると、少し先で赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。 「え〜ん、世界を滅ぼしたいのにぃ〜」 黒髪で何故かおかっぱ頭の赤ん坊が泣いている。 それを背負いあやしているのは、赤い髪をした体格の良い男であった。 「お〜お〜、まぁ気楽に頑張れや」 ……とてもあやしている言葉には思えない。 まぁ、赤ん坊の泣き声も、とても普通の赤ん坊のそれではなかったが…… 「え〜ん、手駒が欲しいよぉ……ん?」 途端に泣き止む赤ん坊。 不思議に思った男が赤ん坊の視線の先を追うと、そこには金髪の男……がうりいが歩いてくるところであった。 『いい加減、僕を放してくださいよ〜』 「えぇ?いいじゃん、もうちょっと付き合えよ」 一人で歩いてくるはずなのに聞こえる会話。 よく見ると、彼の手には、先に虻を付けた藁が握られている。 そして会話の相手は……不思議なことではあるが、虻のように思える。 「がーう゛ぅ、僕あれが欲しい」 先程まで泣いていたはずの赤ん坊は、にっこり笑顔で男に言った。 「ん〜?……何かよく分からんが、人のものを横取りしようなんざ止めた方がいいぞ?」 「ヤだっ!!!欲しいったら欲しいったら欲しいっ!!!」 ぎゃんぎゃん騒ぐ赤ん坊。耳元で叫ばれ、男は思いきり顔をしかめる。 「……しゃーねーなぁ……おぉい、そこの旦那!」 大声を張り上げてがうりいを呼ぶ男。 「何だぁ?」 「いやな、さっきまでこのふぃぶりぞ……あ、この赤ん坊な、こいつがずっと泣いててうるさかったんだが、旦那が持ってるそれを見て泣き止んだんだ」 「それって……これかぁ?」 虻の付いた藁を見せるがうりいに、がーう゛は頷く。 「悪ぃが、そいつを譲ってくんねぇか?じゃないと、こいつがうるさくて俺の方が参っちまいそうだ」 確かに、彼に背負われている赤子は欲しい欲しいと騒ぎ続けている。 何となく同情した彼は、素直に頷いた。 「ふーん……じゃ、いいさ、やるよ」 『ちょっと待ってくださいよぉ……っ!!』 虻の悲痛な叫びは完全に無視された。魔族……ではない、虻には人権などないのである(笑)。 「ほら、坊主、やるよ」 赤ん坊に藁を手渡すがうりい。途端、赤ん坊はきゃっきゃと喜ぶ。 「これで僕の忠実な手下ができたぁ〜」 『僕はあなたの手下なんかじゃありません!……ちょっとがうりいさん、助けてくださいよぉ……』 そんな会話を無視し、がーう゛はがうりいに礼を言う。 「すまんな、無理を言って……いや、こいつ我が侭だから」 「いいってことよ。困った時はお互い様だ」 人がいいがうりい、いつもこの手で人に騙されていたのだが……虻の言葉を無視するあたり、結構いい性格なのかもしれない(笑)。 「じゃあ、礼と言っちゃぁ何だが……こいつをやるよ」 がーう゛は懐から取出した蜜柑を3つ、がうりいに手渡す。 「おっ、すまんな。有り難くいただくよ」 にこやかに別れを交わすがうりい&がーう゛一同。 『僕のことはどうでもいいんですかぁっ!!!』 一匹の虻の悲痛な叫びを残し、がうりいは先へと歩いていった。 そしてしばらく歩くと、今度は通りの先に娘と、そのお付きと思われし者の姿があった。 なにやら、娘は具合が悪そうである。 「何で……道中の水くらい確保してないのよ……」 「それはりなお嬢様が『喉が渇いたのっ!』と言われて、私の分まで水をがぶ飲みしたからではありませんか……私は止めましたのに」 「そんな昔のことは忘れたわよっ!!!」 「昔、ではなくてお嬢様にとって都合の悪いことでは……あ、いえ、何でもないです」 「ちっ……随分とカンが良くなったようね、あめりあ……?」 残念そうに呟く娘。 そこへ通りかかったがうりい。 その手にある蜜柑を見て、娘の目が輝いた。 「ちょっと、そこのあんた!」 「ほへ?オレのことかぁ?」 「そうよ、その間抜け面を晒してないで、さっさとこっちに来なさいっ!!」 初対面の男にも命令口調。 その強気な性格に、思わず苦笑しながらがうりいは近づいていった。 「何でしょう?お嬢ちゃん」 「お嬢ちゃん、ですってぇっ!?」 「え?お嬢ちゃんはお嬢ちゃんだろう?」 「きーっ!!あたしはもう十六よっ!!」 「え!?そうなのかぁ!?」 じーっと見つめるがうりい。目の前の娘は、十二・三くらいにしか見えなかったのである。 「失礼な男ねぇっ!!……いいわ、それをくれたら許してあげる」 「え!?」 男が返事を返す間も無く。 娘は、男の手にあった蜜柑を奪い去っていた。 「あ!オレの蜜柑!!!」 「女性に失礼な口をきくあんたが悪いのよっ!(もぐもぐ)」 「オレの蜜柑……しくしく」 怒りながらも嬉しそうに蜜柑を頬張る(というか、貪り食らう)娘とは対照に、がうりいはさめざめと涙を流した。 と、その様子を見ていたお付きの者が、がうりいに声をかけた。 「も、申し訳ありません……うちのお嬢様、我が侭なものですから……」 恐縮しながら頭を下げる従者。 「あ、いいよ、別に。食っちまったものはしょうがないし」 「ありがとうございます!それで……あの、そのお詫びと致しまして……つまらぬ物ですが、どうか受け取ってくださいませ」 言いながら、がうりいの手には立派な反物が3反渡されていた。 「あ〜っ、あめりあ、それあたしが目を付けてた……」 「いくらりなお嬢様が目を付けていたとしても、これは私が買ったものです。大体、お嬢様がこの方の蜜柑を取り上げるなんて非道な真似をするのがいけないのですからね。家に帰ったら、ご主人様に言いつけさせていただきます!」 「言いつける……って……ちょ、ちょっと、あめりあ!?」 「もう私も堪忍袋の尾が切れました。お嬢様の言うことはもう聞きませんからね!……それでは、ご迷惑をおかけしましたが、これにて失礼させていただきます」 がうりいに軽く頭を下げると、お付きの者は娘を引きずるかのように去っていった。 「いや〜ぁ〜、姉ちゃんに折檻されるのは嫌ぁぁぁっ…………」 遠くなっていく叫び声。 そして、何が何だか分からぬまま娘達に去られたがうりいであったが、 「結構……可愛かったよな」 頬を染めぽつりと呟いた。 「くっ、頑張るのだ、ぜるがでぃす〜っ!!!」 巨体を青紫色の馬の上に乗せ、熊と見違えし容貌の男が、必死に馬へと声をかける。 「我が輩は急ぎ用件を殿に伝えねばならんのだ、ほら、走れぜるがでぃす!!」 しかし激しく息を切らした馬は、とぼとぼと数歩歩くと、一歩も動かなくなってしまった。 「えぇい、この根性無しの馬め!」 馬から下りた途端、馬はくしゃりとその場に崩れ落ちた。 「……あんな巨体が乗ってたんじゃあ、馬もバテるよなぁ……」 その様子を見ていたがうりいが、誰とはなしに呟く。 と、男ががうりいの方を見た。 「おぉ、お主っ!」 「ん?」 突然声をかけられ、がうりいは驚いた目で彼を見る。 「いやあ、丁度良いところにおった。すまんが、その反物をワシにくれんか?」 「……へ?」 「ワシは父たる殿に伝えねばならぬ火急の用件がある。なのにこの馬が動こうとせん。しかし、そなたの持つ反物があれば、新しい馬を選ることができるだろう。というわけで、その反物をいただけるな?」 迫力ある姿ですごまれ、がうりいは思わず首を縦に振ってしまう。 「そうか、その反物をくれるか!いやぁ、なかなか殊勝な心がけの若者じゃのう」 言いながら、がうりいの手から反物を取り上げる。 「ちょ、ちょっと」 反物を手に去ろうとする男にがうりいが慌てて声をかける。しかし、 「なに、反物の代わりにその馬をやろう。それでは、さらばじゃっ!!!」 巨体に似合わぬ素早さで、男は走り去っていった。 「あれだけ早く走れるなら、馬なんかなくてもいいじゃないか…………じゃなくてっ!!!」 つい先程まで彼の手にあった反物は既に無く、残されたのは、疲れ、死にかけた馬が一頭のみ。 「……オレって……ホント不幸かも……」 悲しそうに言いながら背を撫でると、馬は同意するかのように小さく嘶く。 そこでがうりいは、近くの湖から水を汲むと馬に飲ませた。すると、 『畜生……俺はこんなキャラじゃないのに……ひひ〜んっ!』 馬は途端に元気になった。 「をぉ、元気になったんだな!よかった、よかった」 ぽんぽん、と背を叩くと、馬は元気に嘶いた。 『だったら、放せ!ひひ〜んっ!!!』 「ヤだよ。反物と引き換えにしたんだ、ここでお前さんを放したらまた一文無しに戻っちまう」 そしてがうりいは馬を引き連れ、通りを歩いていった。 ぐ〜……。 「そういや、腹減ったなぁ……」 きゅるるるる。 「……お前もか?」 馬が照れくさそうにそっぽを向く。 「そうか……でもなぁ、俺が食べる飯はお前さんは食べられないだろうし……」 『いや、普通の食事がしたいんだが……ぶるるっ』 「何かいい方法はないかなぁ」 馬の言葉は完全無視のがうりい。 ふと先を見ると大きな屋敷が見え、ぽん、と手を打つ。 「そうだ!あの屋敷に行こう。あれくらい大きければ、飼葉を少しくらい分けてくれるだろう」 断られる事など考えもせず、がうりいは屋敷の門を叩いた。 「お〜い、誰かいるかぁ?」 「……何だ?」 出てきたのは、鬱蒼とした表情の老人であった。 「あ、すまん。いや、オレの馬が腹減ったらしいんだけど、何もやるものがないんだ。悪ぃんだけど、ちょっと飼葉を分けてくれないか?」 『飼葉じゃなくて普通の食事が……』 「……そんな事を言われてもな……って、ちょっと待て!その馬を、よく見せてくれ!!!」 胡散くさげにがうりいを見ていた老人であったが、急に目を輝かせて叫んだ。 「ん?どうぞ」 がうりいが言うと、老人は馬をじろじろと舐めるように見渡し、そしてあちこち触り始めた。 馬が気持ち悪そうに身を捩るが、一向に気にした様子はない。 「おぉ……これは……このような馬は見た事がない……銀色の鬣も素晴らしい……どんな病気をすれば、このような岩のように固い皮膚になるのだ……いや、それよりも何か他の動物との混血なのか……?」 嬉しそうに呟く老人に、がうりいは思わず一歩引く。 と、その時、 「誰か来たの?」 凛とした女性の声が響く。 見ると、そこには黒髪を肩の高さで切り揃えた、美しくも迫力のある女性が佇んでいた。 その姿を見て、老人が慌てて頭を下げる。 「これはご主人様、失礼しました。いや、この男が連れてきた馬があまりに素晴らしい材料なので、思わず見とれておったところですじゃ」 「……ざ、材料……?」 冷や汗を流し顔をひくつかせながらがうりいが呟く。 「まぁ、これは確かに素晴らしい……」 と、この屋敷の主人と思われし女性の言葉に続き、どたどたどた……とうるさい音が響き渡る。 「こら!りなっ!!何度屋敷の中を走るなと言ってると思うの!」 「いいじゃん、姉ちゃん……って、あ゛〜〜〜〜っ!!!」 突然大声を上げる娘。その指差す先には、がうりいがいた。 「あ……さっきの嬢ちゃん……」 「嬢ちゃんじゃないって、何度言ったら分かるのっ!!!」 「……りな、お知り合い?」 「あ、いや、その、さっき……」 「先程お話した方ですわ。お嬢様のために蜜柑を下さった、心優しき方です」 りなの言葉を遮り、彼女のすぐ後ろに控えていたあめりあが答える。 「へ〜ぇ……」 値踏みされるような視線に、がうりいは居心地が悪くなる。 「貴方、名前は何と?」 「……がうりいと言います」 「ふ〜ん。……がうりい、あなたりなの婿になる気はなくて?」 突然の爆弾発言に、りなと呼ばれた娘が真っ赤になって抗議する。 「な、何言ってんのよ姉ちゃん!そんな見ず知らずの男に、冗談じゃないわっ!!」 「詳しい経緯はあめりあに聞いたわ。りなのあの性格を見ても驚かず、文句一つ言わないなんて、そうそういる男じゃないわよ」 うんうん、と侍従が呟く。 「お嬢様、これまで何度もお見合いしてるのに、皆断られているではありませんか!見てくれは可愛いのに、性格がああだから……」 「その点、この人ならりなの性格でもなんとかやっていけそうだし」 「そうそう♪」 何やら意気投合している二人に、娘は絶叫した。 「大体ね、姉ちゃんやあめりあが勝手なこと言ったって、この人にも言い分ってものがあるでしょうに!」 すると、にやりとした表情が帰ってくる。 「ということはぁ……」 「彼が承諾すれば決まり、よね?……がうりいさん」 「あ、何だぁ?」 突然話を振られ、間抜けな声を返すがうりい。 「もう一度だけ聞くわ。りなの婿になって、この家を継ぐ気はなくって?」 屋敷の主人の目が鋭く光る。だが、彼の答えは既に決まっていた。 「家とかはどうでもいいけど……この嬢ちゃんの婿とかいうのは受けたいな」 「な゛、な゛、ぬわんですってえぇぇっ!!!」 「だってさ〜、この嬢ちゃん面白いし。見てて飽きないしな」 にっこりと笑うがうりい。 「でしたら……」 「決まり、ね」 にこにこと笑顔の二人。 「それじゃ、宜しくな、りな♪」 くしゃくしゃと娘の頭を撫でるがうりい。 「がうりいさん、どうかこの娘を宜しくお願いしますね。何だかんだ言いながら、貴方のことを憎からず思っているみたいですし」 「違うぅ〜〜〜〜っ!!!!」 「……顔を赤くしても、全然説得力がないと思います。お嬢様」 かくて、青年がうりいはりなの婿となり、その屋敷の者はいつまでも幸せに過ごしたのであった。 「世界を滅びに導くぞぉ……おんぎゃ〜っ!」 『ひえぇ、僕を巻き込まないで下さい……ぜらす様ぁぁぁ……っ!!!』 「実験させろぉぉ〜!」 『誰か俺を助けてくれ……ひひ〜んっ!!!』 ……ごく一部の者達を除いて(笑)。 めでたし、めでたし♪ <作者の戯言>
えっと……金曜日ということで、「金」にちなんだ話を選んでます。貧乏人のがうりい君が金持ちの長者になるというサクセス・ストーリーです(^^; 某中間管理職君と某孤独な魔法戦士君がちょっと不幸ですけど(笑)、 まぁいいでしょう。御伽噺なんて所詮残酷なものだし♪(←待て・汗) |