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「・・っ・・・ぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!!」 月も完全に空高く上がっている。こんな時間に宿屋に響く、悲鳴。 「!」 「!」 「!」 金髪碧眼の脳みそスライム剣士、ヒロイックサーガのセイルーン第2王女、キメラでおちゃめな悲劇の魔剣士の3人は、この悲鳴に飛び起きる。 なんてったって、それは自分たちの知ってる声だったから。 そして、その声の主は、めったにこんな悲鳴を上げないから。 あいつが悲鳴をあげるなんて・・・・・・・・一体何事だ?! 「リナっ!!」 その悲鳴の主、リナの部屋のドアを、名前一声に蹴破って真っ先に中に入ったのは、自称彼女の保護者、金髪碧眼、クラゲ頭の剣士、ガウリイくん。 「どうしたんですかぁっ!」 「・・・一体何事だ?」 続いて、アメリア、ゼルガディスも入ってくる。 「・・っや・・ぁっ・・・・・・ぃやぁあぁっ・・・」 リナは苦痛の声を絞り出しながら、寝返りを打つ。 ベットで布団を絡めているリナに視線を向け、彼女の身の安全を確認し、一時胸をなでおろすガウリイ。 しかし、すぐにその顔は曇る。 「・・・・っ・・・や・・・・・・はぁっ・・・・・・っ・・ごめ・・な・・・・さ・・・・っ」 呻く彼女の額に汗が輝く。 「・・・夢・・・か?」 しばしの間を置き、ゼルガディスが問う。 「・・・うなされてます・・・ね・・・・・」 「リナ・・・・・・・・・?」 ガウリイがベットの横で立ちひざをして、少女の顔をうかがう。 「あのリナが、うなされてるだなんてな・・・・。」 言うゼルの声には、驚きの色が混じっている。 「・・・っ・・ちが・・・・・・お願い・・・許し・・・・っ」 また、彼女の呻き声が響く。 「リナ」 ガウリイはリナの華奢な手を握って言い放つ。 「大丈夫、大丈夫だから。安心しろ・・・。」 リナの夢が覗ける訳では無い以上、余計なことは言えない。 しかし・・・・3人は大体の中身を想像していた。 リナは、その容姿からは想像もできないくらいの、魔力と、重い運命を背負っている。 今までも、ホントにさまざまな事件に巻き込まれ、・・・たしかに、ホントに沢山の人がリナの所為で命を落としている。 リナは自分で解っている。自分が危険な存在だということには。 自分の所為で、沢山の人が死に、沢山の人の命を、自分が生きている限り、危うくしているという事にも しかし、リナは、全くと言っていいほど「弱さ」を見せない。 強がり・・・なんだろうか・・・・。彼女はもう少し弱音吐いてもおかしくないはずなのに。 全部、自分で背負い込んでいるのだ。 その重さが故に、悪夢でうなされることがあってもおかしくは無い。 3人が思うことは、ほとんど同じであった。 「や・・・・おね・・が・・・っ・・・・・・こ・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・・でっ・・・・・・」 苦しげに途切れている、少女の声。 「リナ・・・」 ガウリイが切なげに呟く。 「いろいろ・・・・ありますもんね・・・」 「・・・そうだな。」 2人の呟きも虚空へと消えた。 「助け・・・て・・・・・・・だ・・れか・・っ・・・・・・っつ・・・」 息はどんどん荒くなる 「リナ」 「・・・ゃぁっ・・・・や・・っいやぁあああぁあぁっ!!」 リナが頭を振るのと共に、汗が飛び散る。 「・・・・・ねぇ、リナさん起こしましょうよっ!!」 「そうだな・・・」 これ以上、魘されているのは見ていられない ガウリイが手をかけたその時。 「いやあああぁぁぁああぁっ!!な、なめく・・・じ・・・・お願いこないでぇぇぇぇぇぇっ!!」 リナの叫びが部屋中に響き渡る。 「・・・・・・・・・・。」 黙。 「おね・・が・・・・・っ・・・・だれ・・かぁっ・・・・助けてぇ・・・・・・・・し、塩ぉ〜・・・・」 「・・・・・・・・・・・。」 「・・・だれ・・・かっ・・・・・・・・・・助け・・っ・・・・・な、なめくっ・・・・」 リナの顔には恐怖の色が混じったまま。 「・・・・・・ガウリイさん。後はおまかせしますね。あたし達寝ますから。」 「ああ・・・・・、部屋に戻ろうか。」 「じゃ、おやすみなさい。ガウリイさん☆」 「・・・・・・あやしがてら、一緒に寝たらどうだ?今なら向こうから抱きついてくると思うが」 「そうですね。・・・・・・・・・・・でもガウリイさん!襲っちゃだめですよ。今のリナさんはとっても弱ってるんですから。」 某王女の言葉に、苦笑を浮かべつつ蹴破られたドアをはめ直すキメラくん。 スタスタスタ・・・・・・・次第に遠ざかっていく二人の足音。 因みに、ガウリイはまだ固まったままである。 ただその手からは、しっかりと握られたリナの手から伝わる震えのみが感じられていた。 「・・・っ・・・・なめ・・・・・・・・・・・ぃやああぁ・・・・!!」 ぎゅっ、とガウリイの腕を引っ張るリナ。 「!ぉわあぁっっ!!!」 いきなり引っ張られ、バランスを崩し、思わず声をあげるガウリイ。 「やああぁぁぁ・・・・・・・・・・助けてぇ・・・・」 声と共に小刻みに震えている少女の肩。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。・・・・なめくじねぇ・・・・・・・」 ガウリイがなんともなしに呟く。心臓をバクバクいわせながら。 彼の心拍数は上がりきっている。 なんてったって、さっきリナに引っ張られた際に、ベットに倒れこみ、さらにリナに抱きつかれているのだから。 「世界を滅ぼせる奴が、あんなちっこいのでこんなに怯えるだなんてな。」 彼の声に苦笑が混じる。 「リナも、女の子だもんな。」 彼は震える肩をそっと抱きしめながら、一応目を閉じてみた。 まぁ、この状態で眠れるとは本人も思ってはいないが。 そして次の朝。 自分たちが言ったとおりになっていた彼等に呆れ顔を向けた人物が2人。 そして・・・・目が覚めたリナにファイヤーボールをもらい、お星様となった金髪碧眼の剣士がいたことは、言うまででもない。 |