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時の中に埋もれて

作:夏蟲さん♪



「リナ様」
恭しく呼ぶのは金髪の青年。青い瞳が印象的な・・・。
「リナ様」
再度呼ぶが返事は無い。
「リナ様」
「・・・・敬称はやめろと言ったはずよ、アゼル」
突如、空間が割れる。狭間から出てきたのは、金にも見える栗毛の少女。紅い瞳でねめつける。
「何か用?下らない事なら竜破斬よ」
あながち冗談とも思えぬ口調で問うた。アゼルと呼ばれた青年が青ざめて1歩さがる。
「あ・・・ちょっとお聞きしたいことがあって・・・・」
「ゼロスに何か言われたのでしょう?」
「え・・・?」
どうして分かったのだろう、という表情がありありと顔に出る。
「あんたのくらげ頭とは、格が違うのよ」
意地の悪い顔でけなされる。
「で、何言われたの?どーせゼロスの事だから、まぁたあたしの事でしょう?」
うんざりという顔で息を吐く。栗色の髪が、日に映えて金に光る。
「・・・・リナ様っ!!」
アゼルが悲痛な声を出す。
「俺が・・俺が傀儡と言うのは本当なんですかっ?!」
こらえたものを吐き出すように。
「・・・・はぁ?あんた、ゼロスに何言われたのよ!」
「あいつが、俺は傀儡だって言ったんですよ!どういう事なんですかっ?」

『可哀相ですねぇ、あなたも』
『どういう事だ?』
数日前、空間を翔けている時に呼び止めたあいつ。
『おやおや。何もご存知無いんですか?』
くすくすと笑う。
『あなたは身代わりなんですよ。リナさんの記憶のね』
『なっ・・』
『御自分の名前の事、考えた事は無いんですか?僕は良く知っていますよ。あなたが知らないリナさんもね』
ーーーカワイソウナカイライデスネ
その言葉だけを残して消えた。

「何なんですか?!どういう事なんですかっ?俺の名前の事って・・・っ」
「落ち着きなさい・・・アゼル」
静かな声。その響きに、アゼルははっとする。
リナがこういう声を出す時、それは決まって泣きそうな時だけだ。
逆光で顔が良く見えない・・・。
「・・・あたしが人間の世界を覗いてた時よ・・・。凄く興味深い2人組みがいてね。1人は、ゼルガディスって言って、あたしの分身に体を合成獣に変えられてしまったの。ずっと元に戻る方法を探していたわ。もう1人は、あのセイルーンのお姫様でね、アメリアって言ったわ」
「はぁ・・・」
違う、自分が聞きたいのはそんな事じゃないのに!
「あんまり面白いものだから、しばらく見てたのよ。可哀相だから、あたしがこっそりゼルガディスの体を元に戻したんだけどね。・・・2人は凄く喜んで、幸せに生きたのよ」
「それが、俺の名前とどういう関係が?」
「・・・2人とも、魔術の扱いには長けていたけれど・・・やっぱり人間なのよ。ほんの数十年たって死んでしまったわ。けど、あんなに興味深い人間は初めてだったのよ。数千年生きたいまでもね。・・・・だから、最初の部下の名前はあの2人から取ろうと思ったの。ただそれだけ・・・・」
「でもっ・・・」
「この話は之でお終いよ!ほら、さっさと行きなさい!さもないと・・・・・」
神滅斬の呪文を低い声で唱え始める。
「うわっ、申し訳ありませんっっ!」
慌てて空間の狭間に滑り込む。
「いっとき、どこかに行っときなさい。あたしは暫くここに居るから」
あんたの顔見ると泣いちゃいそうだしね・・・
空間に消えた、長い金髪に向かって呟いた。

「おやおや、リナさんじゃぁありませんか。こんな所で何をしているんですか?」
アゼルと入れ違いのように、黒衣の神官が現れる。人を喰ったようなその笑みは、ただ悪戯に心を乱すだけだ。
「何を、だなんてよく言うわね。あんたがけしかけといて」
「人聞きが悪いですねぇ。でも、まぁ最近の僕はもっぱら頭脳専門ですからね」
「っ・・・・もしかしてあんた」
嫌な予感が頭を掠める。
「寿命・・・ですかね」
「どうして?!何で魔族のあんたが寿命なのっ?!」
おもわず叫ぶ。
「おや?リナさんは僕のことがお嫌いじゃなかったんですか?」
「・・・嫌いとかそんなんじゃないわ。ただ、皆あたしの前から去っていってしまう・・・から」
「素直じゃないですねぇ。そういう所は本当に変わっていない」
にこにこ笑う。本当に、嬉しそうに。
「獣王様がお亡くなりになったんですよ。」
「えっ?!」
まさかそんな・・。ゼロスの上司である金髪美人を思い出す。あれほど、力にあふれた存在が・・。
「まぁ、獣王様はそれこそロード・オブ・ナイトメア様か、リナさんぐらいしか倒せなかったのでしょうがね・・。一度だけ、リナさんが人間に魔力を使ったでしょう?ゼルガディスさんに」
「っ・・」
「その力が、あまりにも強烈だったらしく、あの御2人の子孫にその結果がでたようなのですよ」
「そんな・・」
「僕が獣王様によって創られたのはご存知でしょう?ならば、その力が消えた時に僕も消えるのが普通でしょう」
「じゃぁ、何故未だここにあんたは存在するのよ」
「リナさんに呪いを受けたのでね・・その影響か、未だに形を保てますよ。多少、力は落ちたようですが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ではまた・・ああ、そういえばガウリイさんの墓の上に、町が出来ていましたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なかなか賑やかな町のようですよ。今度行ってみてはどうですか?アゼル君も連れて」
「ゼロスっ!」
ーーーアナタハイツマデモヒトリナノデスネ
言葉を残し空間を跳んだ。

「アゼル!!来なさい!!」
空に向かい呼ぶ。大切だったものの似姿を。
「はっはいっ」
瞬時に狭間から飛び出てきた。
「・・・あたしを抱きしめなさい」
「・・・え?」
「聞こえなかったの?はやくしてよ!」
「え、あっ、はいっ」
耳まで赤くなりながら、ぎこちなく腕を背中に回す。
瞳が同じだ、金髪が同じだ、腕が同じだ、胸板が同じだ。
けれど
<ーーあいつじゃない>
「リナ様ッ?!」
<あいつの顔でリナ様なんて言わないでよ。ふきだしちゃう>
けれど、そう創ったのは自分。
「どうして・・・」
「え?」
ドウシテナミダガデルンダロウ・・・・・



多分、永遠に続く孤独を

あたしは1人、この時の中に埋もれて・・・・。






作者様からのコメント:
うっぎゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!初めて書いた小説はちんちくりーん(爆)えと、1応、祈りの<もしリナがガウリイを魔族にしなかったらばぁじょん>です。かってに原案おかりしてすいません!!!おばかな夏蟲は思いつかなかったのです・・。
連休なので一気に書いてしまいました。学生のくせに・・・・。
文章とかめちゃめちゃ頼りないと思いますので、そこんとこは笑ってやってください・・・。


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