ゲストページに戻る

≪SEAZON STORY≫

White Day

作:峰龍 紅さん♪



世の男女間には比較的大イベント、

ホワイト・デー

の、その前夜。

 

いや、既に当日となっているのが確実である真夜中、

街の一角にある宿屋では

ともすればもうすぐ宿の主人が起きてきて

朝定食の準備を始めるだろう時刻、

宿屋の客室は未だ静寂に包まれていた。

 

――――― 一室を除いて。

 

「……あめ…?クッキー…?…マシュマロ?」

「う゛〜〜〜〜〜ん…。」

 

真夜中と言っても朝に近いためだろうか白み始めている空。

宿の室内も少々、いや僅かだが明るみを帯びており、

その話し声の主である二人を包み始める。

 

「それとも…物…?例えば服とかアクセサリーとか……。」

「やっても身につけなさそーだなぁ……。」

 

めんどくさそーに話す一人は黒髪短髪の男だった。

かなり眠いのだろうか、

布団に潜り目も閉じたままで話を続けている。

 

「……だとするとまじっくあいてむとか……?」

「金が追いつかんしなぁ……。」

 

苦笑をもらすもう一人は金髪で長髪、碧眼の男だった。

両手に頭を乗せて寝転び、

全く眠くならない目を苦悩しているとでもいうように

歪ませて淡々と話し続ける。

 

「めし…を…おごるとか……。」

「毎回それだと相手も飽きるだろ…。」

 

だいたいなんの話しをしているかというのは

歴然としているだろう。

ホワイトデーに何を渡すか、である。

 

その事に前日から悩んでいた金髪の男

―――ガウリイは、

同室の黒髪の男

―――ルークに

意見を求めていたのだが…全く決まらず今に至る。

 

「…じゃあ自分を捧げてこいよ…。」

「とっくに捧げてるよ。身体も心も…。

それにんな事いったら逆に吹っ飛ばされちまうだろ?」

「…………………。」

「なぁ…何がいいと思う?」

 

ついに落ちた沈黙。

そこにかけられたその話しが始まる時のセリフと

同じセリフにルークはとうとう叫んだ。

 

「っだーーーーーっ!

もうネタ切れだ ネタ切れっ!!

後は自分で考えろっ!

オレはもう知らんっ 寝かせてくれっ!!」

「なんだよ〜。もう少し付き合ってくれてもいいだろ〜?」

「…充分付き合ったと思うぞ…?オレは…。」

 

昨日の夜、寝始めようとした時刻から今までの間、

確かに充分と言える程の時間はたっている。

 

ルークの言い分はもっともなのだが、

いかんせんガウリイはリナの事になると

そんな些細な事はかまっていられなくなる。

ルークはそれも十分承知していた。

 

そんなため息混じりのルークの言葉に少しいじけつつ、

ガウリイはもう一つの気になっていた事を聞いてみる。

 

「…なぁ…ルークは何やるんだよ…ミリーナに…。」

 

聞いたと同時にぴしりとルークの動きも

その周りの空気も凍った気がした。

僅かな時間の後、

布団から這い出たルークは口の端に笑みを浮かべて言う。

頬に一滴の汗をたらしながら。

 

「…ふっ。ミリーナはその辺の女と違って

物じゃなく見えない物で愛を与えてくれるんだよっ!

だからオレも愛で――」

「…つまりは何ももらってないわけだな…。」

 

ふう… と、ため息混じりの言葉をルークに返すと

ぐっ と言葉に詰まってから

うるせぇ と涙混じりに呟いた。

 

そのまま背を向けてしまったルークを見て

寝に入ったかな…? と、諦めて

自分で 何をやろうかな… と、考えていた

ガウリイに再び声がかかる。

 

「…だけどあんたらしくないな。

んなもん形式にこだわらんでも

あいつの喜ぶもんならなんでもいいじゃねーか。」

 

寝たと思っていたルークに声をかけられたこと、

そしてその内容が意外だった事に少々驚きつつ返す。

 

「リナの…喜ぶもの…?」

 

その声は掠れているような、しかし何かを見つけたような、

そんな感じであった。

 

「形式に当てはめるよりは簡単だろ?

旦那なら。」

「そう…だな…。」

 

こちらを向き、にっと笑うルークに苦笑する。

そのガウリイの答えを聞いて

ルークは晴々とした顔であくびをしながら言う。

 

「よしっ!解決したんなら寝よーぜっ!

めちゃくちゃねむてぇ〜〜〜っ。」

 

他人の事をお人好しだのなんだのと言っておいても

結局ルークもお人好しだと思ったガウリイの夜は

すぐに朝へと移行した刻についていけず、

朝、リナに起こされる時におしかりを受けたのは

また別の話―――――。

 

 

――END――



作者様からのコメント:
ルークとガウリイの会話…のみ。
ってゆうかルークじゃない…?
許してください…。
そそくさと退散…。
峰龍 紅でした。

ゲストページに戻る