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≪SEAZON STORY≫

St.Valentine’s Day

作:峰龍 紅さん♪



世間の女性達がざわめいて、お菓子やさんは大儲け!の、この日。バレンタインデー当日。

とある街の宿屋の一室では、女二人が今更ながらに悩んでいた。

 

「……バレンタイン…かぁ…。」

 悩める乙女その1―リナ=インバースである。

そのリナと似た状態で頭を抱えているのが、悩める乙女その2―アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンである。

 

 二人が悩んでいる事といえば何をあげるか…なのだが。

『バレンタインなんだからチョコレートあげればいいじゃん』

などと思った人もいるだろう。だが付き合いの長い人ほど

毎年毎年チョコレートだと飽きてくるというものだ。

 

「はっきり言ってバレンタインだからチョコレートってのはありきたりだし…。」

「かと言ってなんかいいアイディアがあるわけじゃないし。」

「だからと言ってあげないわけにも……。」

『……はぁ……。』

 アメリアとリナの押し問答の後、二人から出たのは精神的に疲れたため息。

 

「……リナはいいわよね…。本命がいるんだから…。」

その精神的疲労のためかアメリアからは愚痴にも似たからかいが言葉になる。

愚痴っぽくなってしまったのはアメリア曰く、義理でここまで悩むのがむなしかったらしい。

 

「な……っなによ本命ってっ!」

「ガウリイさん。本命じゃないの?」

「う゛……。」

 顔を真っ赤にして言うリナにしれっと事実を言うのだが、

そうさらっと言われるとリナとしても言い返せないような雰囲気にのまれる。

 あとは言葉に詰まったリナが残るのみとなるのだが…、

アメリアはまたとんでもない事を言い出した。

 

「うーん、私だったら本命チョコは自分にチョコぬって『私を食べて♪』とか言うんだけどね〜。」

「…一国の王女がなんちゅーことを…。」

 リナのつっこみはもっともなのだがアメリアは王女だという前に年頃の少女。好奇心は旺盛である。

「え〜?だってきっとチョコレートと一緒に舐められるわけでしょ?なんか気持ちよさそ―――」

「……………良くなかった………。」

「…え?」

「えっ!?」

 アメリアの言葉の途中で無意識に出してしまった言葉にアメリアは耳を疑い思わず聞き返してしまうのだが、

言葉として出ていた事に驚くリナに答えられる術もなく…。

『…………………………………………………』

ただ沈黙した二人が顔を見合わせるに留まってしまった。







「ま…まぁとにかくっ!あたしはチョコレートの原料でも使ってなんか料理でも作ろうかなっ!」

 自分の言った事をごまかそうと(ムリだが)、いち早く沈黙を破って提言する。

 その提言に我に返ったアメリアは先程のリナの超問題発言をとりあえず聞かなかった事にしておこうと平静を装い、

「じゃあ私はクッキーでも……。」

と言ったはいいが、やはりあの発言が気になるらしい。

 チラッとリナの方を見ると、リナも自分の発言に対応したアメリアの様子が気になるのだろう。

二人の視線がかちあった。

 

 僅かの沈黙。

 

『あはは……ははははははははははははは……』

乾いた笑い。

 

その笑いがおさまった後、二人は静かに部屋を出て調理場へ向かっていった。





 さてその頃。隣の部屋で男性二人は。

「………旦那もいろんな事をやってるんだな。」

「いや……なんつーかその場のノリってゆーか…な…。」

 呆れているような、からかうようなそのゼルガディスの言葉に返すガウリイの言葉には言外に

『やろうとしてやったんじゃなくて……』という言い訳めいたものが含まれていた。

 

「なんにしても、今夜は豪勢な食事になりそうだな。腹を減らしておくか。どうだ?手合わせでも。」

「いいね。」

そしてまた、ゼルガディスはクックッと笑い言う。

「ついでにチューブ式チョコレートでも買ってくるか?」

「…勘弁してくれよ…ゼルガディス…。」

 当分の間はこれでからかわれるかもしれない…と心で涙を流したガウリイであった。

 

この後、アメリアがチューブ式のチョコレートをガウリイに渡したそうだが、その用途はどうなったのか不明である。

 

――END――



作者様からのコメント:
季節はずれのバレンタインネタ・・・。
いかがだったでしょうか・・・?
はっきり言ってガウリイはあんなからかいくらいじゃ全然
応えないはずなんですけどね。
今回は応えさせてみました・・・。
以上。おつきあいありがとうございます。
峰龍 紅でした。

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