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「亡霊・・ですって・・・?」 黒い喪服をまとった王女・・・リナにアメリア、キャナル、ミリィの面々が言ってきた言葉を王女リナはリピートする。 「ええ・・・。で・・・。それがね・・・・。」 今から一ヶ月ほど前のこと。 リナの父、すなわちデンマーク王が没した。 暗殺か、自殺か。 様々な憶測がとびかうなか、王の弟、すなわちリナの叔父に当たるスター・ゲイザーが王に即位したのだが・・・・・・。 「父上の・・・亡霊・・・・。」 呆気にとられたようにリナは呟いた。 「常勝将軍殿には・・・その事は言ったの?」 「ケインにはまだ言っては居ないわ。」 リナの質問にキャナルが答える。 「アタシじゃ無くて彼を通すのがスジだと思うんだけれども・・?」 リナの一言に今度はアメリアが嬉しそうに言う。 「常勝将軍・・・ケインさんの兄上。ガウリイさんが今日フランスから帰国するんです!!」 ガウリイ・・・・・・。 常勝将軍ケインの兄にして彼もまた対ノルウェイ戦でノルウェイ王子レイルを負かした武人である・・・・・・。 「へえ・・・。何年ぶりかしら・・・?」 黒いベールの下からリナは微かに微笑んだ。 「本気で・・・。亡霊を見に行くんですか・・・?」 気の進まない口調でリナにゼロスが聞いてくる。 コイツは図書館司書なんていう仕事をしているためか妙に王宮について詳しい。 なんなら駆り出さないテは無い。 「怖いの・・・?」 嫌みたらしくリナはゼロスに聞く。 「いえね・・・。そーゆー訳じゃないんですけれども・・・。仮に、ですよ。リナさん。アナタには何らかのしなくちゃいけないこと・・・なーんか背負わされるかもしないんですよ?」 ゼロスの一言にリナはマトモに怪訝な顔をする。 「と・・・。言いますと?」 「新国王陛下のお呼びです。ついでにいえば・・。お后様もね。」 「そう。」 何時になくイヤそう・・・と言うよりも厳しい顔つきになるリナ。 「母上が・・・。あーんな男と再婚するなんて思わなかった。」 ボソっとリナは呟く。 自分の母親にして今は叔父の妻。 所詮女なんて権力のある方へある方へと流されていくのが常なんだろうか・・・? まあ・・・。別にどうでもいいけれど。 「じゃ。いってらっしゃい。僕はあの人苦手ですから。」 叔父の事だろう。 「じゃーね。ゼロス。それまでアニスのおもりでもしててねー!!」 これまたゼロスの苦手なモノの代名詞を出す・・・・。 アメリアに連れてこられるアニス。 「ばーか!!生ゴミゼロス!!!!!」 ゼロスの顔を見る成り泣き出すアニス・・・・・。 「ちょ・・・一寸!!リナさん!!」 「泣かせるんじゃ無いわよー!!ンな事したらお兄さまの常勝将軍殿。ケイン=ブルーリバー卿が怒るわよー!!」 酷い一言を残して去っていくリナ・・・。 「け・・・ケイン卿・・・・・。」 またまた苦手なモノの代名詞攻撃を受けて完全に沈黙するゼロス・・・。 そこに輝く一条の光刃!!! 「てえええんんめええええええええええ!!!!!アニスを泣かせやがったなあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 ブラウンの髪の毛に菖蒲の花のように紫かかった青い瞳・・・。 一寸女性的な端正な顔立ちに180は越える長身・・・・。 そして何より・・・。 いまいちセンスを疑う今時の流行より後れたデザインのマント・・・・。 何よりも・・・・。 兄のガウリイとかけ離れたこの死ぬほど短気な性格!! 「け・・・・け・・・け・・・ケインさん・・・・。」 「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!!!」 この後・・・・。 ゼロスがどーなったか・・・。知る人は多分居ない・・・・・。 「あーあ・・・。イヤだな・・・。」 王の玉座のある部屋に向かいつつリナがボソリとボヤく。 「一寸!!スマン!!其処の人!!」 唐突に声をかけられてリナは危うくコケそーになる。 「な・・・?」 見知らぬ人・・・? うんう・・・。 どっかで見たことはある・・・・・・。 「王の玉座のある部屋はどこなんだ・・・?」 俗に言うところの「タメ口」。 リナのことを完全に「王女」とは思わないで侍女か何かと勘違いしているご様子。 まあ・・・。 こんな恰好じゃ仕方がないか・・・・。 けれども。 このタメ口。どっかで聞いたことあるような・・・・・??? 「今から行くところよ。一緒に来る?」 いちいち「王女」と言うのも面倒くさいのでリナは青年にそう告げる。 完全にフランス風の優雅な着こなし。 腰の剣がどことなーく常勝将軍、ケインのモノに似ているのは同じメーカーの製品だからだろうか・・・? 真っ青な瞳はケインの紫かかったそれにくらべて混じり気が無い。 「アナタは・・・?」 「う・・・。俺か?そっか・・・。忘れられちまったか・・・?」 何やら後半は独り言のように金髪の青年は言う。 「常勝将軍殿・・・ケインなら覚えているとおもうけど・・・・?」 アイツ、兄のガウリイと違って記憶力だけは素晴らしいから。 「そりゃまあ・・。弟に忘れられちゃ困るな。」 言って青年・・・いや。ガウリイは苦笑する・・・。 「はへ・・・???」 つーこたあ・・・・・。 この人・・・・・。 「『くらげのがうりいいいいいい!!!!!!???』なの!!あんた!!」 唐突な展開にリナは思わず慌てる・・・・。 「はへ・・・?俺はガウリイだけどって・・そのあだ名を知ってるのは・・・。えっと・・・・。ケインとキャナルとゼルとゼロスとミリィとアメリアとアニスと・・・ あ・・・。そうそう、・・・あと一人・・・。誰だっけ・・・???」 問答無用でリナのスリッパ攻撃がガウリイの前頭葉に炸裂したのはそれから12秒後のことだった・・・・・・・。 「おお!!思い出した!!リナだ!!この国のじゃじゃ馬王女!!リナ!!オマエだ!!」 やおら嬉しそうな声を上げるガウリイ。 「よーやっと思い出してくれたようね・・・。」 言ってリナは苦笑する。 「まーな・・・。すっかりかわっちまったし・・・。でも・・・。その恰好どーしたんだ・・・?」 リナのベール越しに顔を眺めガウリイは喪服の理由を問う。 「父上が・・・・。没されたのよ・・・。様々な憶測が飛び交ってるけれども・・・。」 断固とアタシは暗殺だと思う・・・・・・・。 初めてリナは胸中を人にうち明けたのだった・・・・。 「リナ・・・。」 「し!!」 ガウリイの言葉をリナは制する。 「しかし・・・。帰ってきた早々厄介なことになっちまったな・・・。兄じゃよ。」 ケインがガウリイに言う。 「リナが困ってるんだ・・・。騎士としてほっとけないだろ?」 騎士として・・・ねえ・・・。 兄の一言にさしものケインも苦笑する。 「亡霊はまだ出ないのか?」 ガウリイが今度はケインにとう。 「ああ・・。今アメリアとゼルが東の方を、ミリィとキャナルが北の方を、ゼロスが単体で西の方を探している。」 かくいうリナ達三人がいる場所はその中央。 まあ・・・。 人員不足に尽き(と言うか怖がるヤツが多かったので)南の方向は手薄と言うわけである。と・・・。 その時だった・・・。 「リナ!!」 「ミリィとキャナルの方ね!!ゼル、アメリア!!」 偶然駆けつけた二人も呼び寄せダッシュをかけるリナ。 「ねえ・・・。アレ・・・・。」 現場について開口一番にミリィが言う。 「・・・・・・・・。あれって・・・。」 生前のように鎧を身にまといい、完全武装した父王の姿・・・。 「リナ。どうするつもりだ・・・?」 ゼルの問いかけを無視してそちらに歩いていくリナ。 「ガウリイ・・・・。お願い。みんなとテラスで待っていて・・・。」 「リナ・・・・・??」 「お願い・・・。」 「・・・・・・。わかった・・・。」 その一言を合図に引いていくガウリイ達。 「父上・・・・。」 恭しくリナは膝を曲げて頭を垂れる・・・・。 『リナ・・・・。今でも私の為に忠節を尽くしてくれるか・・・?』 地の底から聞こえてくるような声。 「父上のお望みとあらば。何を望まれるのです?父上・・・。」 『卑劣なる殺人を・・・。余をこのような姿に至らしめ・・・・なおかつ今まさにその頭に王冠を抱くモノを・・・・。殺せ・・・。』 「私に・・・。復讐をしろ・・・と・・・??」 やはり。 あの叔父が父王を・・・・・・。 『いつものごとく午睡を余がとっておった時であった・・・・。』 「ゼロスが言っておりました。もしかしたら・・・。父上は耳から毒を流し込まれて暗殺されたのでは無いのか・・・と・・・。」 公式発表では国王の死因は毒蛇にかまれたこととされている。 『誓うか・・・?』 「誓います・・・。命に代えても・・・・。」 復讐を・・・・・・・・・・・。 『ただし・・・。そなたの母には決して手出しをするのではないぞ・・・。裁きを天に委ねるのだ・・・。良いな?』 「御意に・・・。」 朝日が射し込み亡霊の残像は消える。 「リナ!!」 待ちきれなくなったのであろうか? それとも立ち聞きしていたのであろうか? テラスで待っているはずのガウリイが後方に佇む。 「聞いていたの?」 無感情にリナは聞く。 「ああ・・・。」 やおらその一言にリナはガウリイに大股で近づき、その腰の剣を一瞬の隙をついて奪い取る。 「この剣にかけて誓いなさい!!今のことは・・。一切他言無用だって!!」 剣の重量感に両方の腕が悲鳴を上げる。 が、リナはなおもガウリイの首筋に剣先をつきつける。 ガウリイほどの力量があればそんなものはいとも簡単に払いのけることがれきるだろう。 が、彼はあえてであろう。そうはしない。 「リナ・・・。分かったよ・・・。」 「誓って!!」 なおも剣を喉元に押しつけてリナはガウリイに言う。 「誓う。俺の剣にかけても・・。オマエ自身にも誓う。」 その一言に安心し、ようやくリナは剣をおろす・・・。 「そう・・・・。有り難う・・・・。」 この全身からあふれる汗は・・・・? 触ったこともない剣を、よりにもよって英雄ガウリイに突きつける、といったプレッシャーからだけではないだろう・・・。 「リナ!!」 「リナさん!!」 今度こそ本当に待ちきれなくなった類の連中だろう。 ぞくぞくとテラスの方から此方の方に向かってくる。 「何があったんです・・・?」 のーんびりした口調でゼロスが聞いてくる。 「ああ・・・。えーっと・・・。」 こーゆーのはやはり苦手らしいガウリイ。 「大丈夫よ・・・・。」 それとは対照的に隠し立てをするわけでも無いような口調でリナ。 「大丈夫って・・・・??」 訳が分からないと言った様子でゼル。 「大丈夫よ・・・。ただね・・・。何の因果か・・・。この世の道理の間接がちょっとばっかし歪んでしまったようなのよね・・・。そして・・・。」 いったん言葉を切ってリナは遠い目をする・・・。 「それを・・・。はたまた何の因果か・。アタシが治さなければいけなくなった・・。 ソレだけの事よ・・・・・。」 ケインが国王に呼び出されたのはそれから数日後のことだった。 「リナ王女の様子がおかしい・・?ですか・・・?」 「ええ・・・。あの子・・・。何か思い詰めた事でもあるんじゃないのかしら・・?」 リナの実母にして王妃が囁く。 あるとすりゃあ・・・。 おめーらが何をやらかすか、って事くらいだろ・・・? その言葉をケインは辛うじて飲み込む。 此処は一つ。先手を打った方が良いか・・・? 「兄とリナ王女の恋仲は周知のことでしょう?もっとも・・・。兄には警告しています。あのお方とは身分が違う。取り返しなつかないことをするなとね。」 もっともコレはあくまでも外聞場の警告。 実際にそんなこと聞くような兄のガウリイではない。 最悪、国家を敵に回してでもリナと逃走するだろう。 もっともケインとしても一応ながら(とはいえ形式的だけだが)警告はしている。 それで罰せられもしなければ二人も幸せになるしだーれも困るヤツはいない・・・。 それなら何やったて別にいいだろうと言うのが彼の持論である。 まあ・・。 あるいみ国王夫妻にとっては良い迷惑だろうが・・・・。 「そう・・・。それだけなら良いのですが・・・。」 恋煩いねえ・・・・・。 リナはそーゆータイプには見えないと正直思ったりもするケインだが・・・。 「まあよい。試してみれば分かることだ。」 スターゲイザー国王の一言で全てが決定される。 そして。 ケインが現況であるガウリイを呼びに行かされたのはそれからスグのことだった・・。 「リナ。元気か?」 ガウリイを様子のおかしいリナに仕掛ける前にスターゲイザー自身がリナに声をかける。 「ええ・・・。元気も元気。カメレオンよろしくよ。空約束でお腹の空腹がはちきれそうよ。」 意味もなく廊下をうろつき本なんかを読んでいたりする。 「リナさん!!」 慌ててアメリアがリナを引っ張る。 このところおかしな行動をリナが取ることは皆の頭痛の種となっていた。 「まあ・・・。少なくとも・・・・。原因は・・・。」 ゼルの一言に沈痛な面もちでキャナル。 「うん・・・。アレでしょうね・・・?」 言わずとしれたガウリイ・・・・。 少なくとも彼等の目にはそう見えていた。 「アレって・・?何のこと?」 唐突にリナが一同に聞く。 「アナタの奇行ですよ。リナさん・・・。」 あの時の幽霊見物をただ一人制止した人物、ゼロスが顔をしかめながら言う。 ソレ見たことかと言わんばかりの口調である。 「はへ?アタシの奇行?」 面白そうに言ってリナは再度本に目を落とす。 「そもそも・・・。気鬱の原因は何だ?」 「さーあ。強いて言うなら・・・。前国王の崩御と・・・。お后様の早すぎる婚儀じゃないかしら・・・?」 嫌みたらしくリナは言う。 「リナ。疲れているのですね?早く中に入りなさい。」 「自分の墓穴に・・ですか?」 母后の言葉にもリナは聞く耳を持たない。 もっとも・・・。 これが彼女の計略であることは言うまでもないのだが・・・。 「狂気とは言え一応のスジは通ってるな・・・。」 下らないことに感心するゼル。 「そんなこと言ってる場合じゃないですよ?ゼルガディスさん。王様、お后様・・。一旦お部屋に戻られたらいかがですか?」 アメリアの一言に頷く二人。 「では。リナ。一応おいとまを戴きますよ?」 母后の一言にリナはピンと片方の眉を上げて答える。 「ええ・・。結構よ。さっきから思っていたんだけれども・・・・。あなた達に喜んであげたいと思っていたモノはその『おいとま』くらいなモノなのよね。」 言ってリナはプイと横を向く。 「まあ・・・。確かに筋は通ってるわね・・・。」 今度はミリィが感心するのだった・・・・。 「ガウリイさんを・・仕掛けるですか・・・?」 ゼロスが苦手なモノの代名詞・・・もとい。ケインの付き添いを命じられてガウリイとリナを偶然かのように廊下で会わせる立て役者となっていた。 「ま・・・。リナの狂気の原因は・・・。ガウリイ兄貴が一番良く知ってるんだろうがな・・・。」 言ってケインは柱の影に身を隠す。 「リナ。」 ケインに呼び出されたはずなのにその姿は何処にも見当たらない。 そして其処にいるのはリナだったりする。 「ああ・・。ガウリイ。」 ここの所様子がおかしいとはいた。 「どうしたんだ・・?一体・・・?」 言い終わるか言い終わらないかのうちだった・・・・・・。 やおらリナが抱え持っていた剣を抜き放ちそれをガウリイに突きつける。 「リナ・・・・??」 こんな事は二回目である・・・・・。 「いい?コレは毒の塗り込められた剣なのよ。で・・・・。」 胸元のベネツィア・ガラス製品のクリスタルのペンダントを片手で軽くリナは持ち上げてみる。 「これも・・・。同じくね。」 「何がいいたい・・・??」 「あの時言ったでしょう・・・・??」 つまり・・・? これらの道具が運命を左右すると言うことなのであろうか・・・・。 「分かった・・・・・。」 呟いてガウリイはそっとリナの手を取って剣をおろさせる。 「行くわ。」 そうとだけ言ってリナはガウリイの前から姿を消す。 「どういうことなんだ・・・?」 ケインがガウリイに問いかける。 「今日、リナの呼んだ道化芝居が来る。その余興だ。」 リナの決意をケイン達もそこで知り得るだろう。 ガウリイはそう予感した・・・。 「何でこうなったのかしらね・・・。」 未だ一人中庭でリナは呟く。 否が応でもその額からは汗が流れ出る。 「一つ疑問があるんだが・・・。良いか?」 唐突に後方からかけられる声。 大方の予想はついている。 「ガウリイ・・・・。」 その人物の名前をリナは振り向きながら呼びかける。 「死ぬきか・・・?」 単刀直入にガウリイはリナに問いかける。 「・・・・・・・・。」 復讐のためなら命を賭してでも・・・・・・・・。 そう誓ったこのだ・・・・。 従ってリナは何も答えることが出来ない。 「先ほど母上に会ったわ・・・・。思いっきり問いつめてやった。何故前王・・・。父上を裏切ったのかってね・・・。まだ泣きはらした瞳の涙がかわきもしないうちに・・・。あんな叔父と・・・。って・・ね・・。けれども。泣きはらすだけで何も答えてくれやしなかった。もし・・。もしもよ。アタシが男で今とまったくおなじ境遇にあったとするわよ?恋人に・・・。何て言うとおもう?」 「どういう意味だ・・・・?」 「アタシは・・・。多分言うことは一つ。その女性を散々侮辱して・・・。最後のは『尼寺へ行け!!』と一言言ってやると思うの。」 「・・・・その女性を・・・。巻き込まないようにするためか?」 「分からない・・・。女というモノを憎くてそう言うのか・・・。ガウリイの言う通りなのか・・・。」 言ってリナはしばらく呆然とする。 「To be or not to be 」と悩み・・・。 それでいて「Let be」と死への運命に赴くつもりなのか・・・? が・・・・。 あえてガウリイはそのこと自体を詮索するつもりにはなれなかった・・・。 「何の『因果』か。この世のねじれた間接を元に戻すことを『押しつけられた』だけなんだろ?」 リナの方を直視しながらガウリイが言う。 木漏れ日が眩しい・・・。 「ガウリイ・・・・?」 「こーなったら・・。地獄の其処までつきあってやるぜ!!」 言って座り込んでいたリナを抱き起こす・・・。 「ちょ!!」 「だから・・・。それ以上悩むなよ・・・。」 「まさか・・?どうぞあの世で幸せに・・・なんて言うんじゃないでしょうね?」 ようやく笑ったリナにガウリイは頭を振るのだった・・・。 「なあ・・・。リナ・・・。」 北の塔に居るというのに本丸から聞こえてくる馬鹿でかいラッパの音にガウリイはあきれ果てたようにリナに聞いてくる。 「そっか・・・。ガウリイさんは帰ってきたばかりだから知らないんですね。」 アメリアが少し考えたように言う。 「まーね・・・。その方が幸せだろうけど。」 リナの一言に尤もだ、と言うようにゼルが頷く。 「だから・・・。一体何なんだよ・・・。あれ・・・。」 眠りかけたアニスまでもがビックリしたように大きく目を見開いてしまったあの騒音。 「この国の国王の饗宴だよ。王様が酒を一気に飲み干せばそのたびに祝砲よろしくラッパの演奏ときたものだ。」 ケインが吐き捨てるように説明する。 「あの風習に従うくらいなら・・・。自殺した方がマシね。」 アニスの頭を触りながらリナが覆い被せて言う。 「どーでも良いけれども・・・。これからどうするの?リナ。何時までも気が触れたフリなんてしてたってしょうがないでしょう?アナタが何を企んでいるのかは知らないけれど・・・。」 ミリィの一言にリナは「うーん・・・。」 と言う。 「うーん・・・。じゃ答えになってない。」 キャナルがせかす。 「明日・・・・。此処に役者達が来るわ。アタシが依頼しといたの。」 「役者?」 リナの言葉にゼルが怪訝そうに聞く。 「そ。ま・・・。最も・・・。最近の重臣と来たら道化の小唄か・・・。さもなきゃ卑猥かかった小話ででもなきゅあ眠っちゃうヤツが多いでしょうけれどもね。」 「事実とは言え・・・。スッゲー皮肉・・・。」 ケインが単刀直入に言うリナをジチ目でだが感心したようにみやる。 「そっか・・・・。役者かあ・・・。俺は個人的にピュラスの英雄談が好きだな・・。」 ガウリイがそっと回想するように言う。 ピュラスとは古代の英雄物語・・・強いて言えばアメリアの大好きなヒロイック・サーガの主人公である。 「けれども・・・。アタシは・・・。英雄ピュラスに殺される敵国トロイの老王・・・。 プリマスの妻、ヘキュバ王妃の章の方が好きだな・・・。」 珍しくアメリアがヒロイック・サーガに登場する「女性」についての感想を述べる。 「泣けるからか?」 ゼルの問いに一寸恥ずかしそうに頷くアメリア。 「リナ・・・??」 一同が塔の一室から去ったその後。 が、リナは未だに残っている・・・・。 「ガウリイ・・・・。役者が何なのよ・・・。」 明日の作戦のことだろうか・・・・?? リナはあくまでも父王の復讐をすると心に誓っている。 が、今のリナには困惑以外の何も感じられない。 「役者がなんだって言うのよ?第一・・・。その役者とやらが今のアタシと同じ立場を演じて・・・。同じ言葉を発して・・・・。そんな事が出来るとでも言うの?」 「リナ・・・・??」 「淫売よろしく口先ばっかり!!安っぽい想いを口にして・・・・。ただ怒鳴り散らすばっかりじゃないの!!」 混乱しているのかもしれない・・・・。 「落ち着け!!リナ・・・・。」 あわててリナをガウリイは落ち着かせる。 「分からないのよ・・・。どうすればいいか・・・。ただただゾロゾロと流されるばっかりで・・・。」 「分かっている。誰だって復讐だなんて事・・・。」 望みやしない・・・・・。 「大丈夫だ・・・。」 絶対に最後まで俺がついていてやる。 それしか出来ることは何もないけれども・・・・。 |