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紅蓮なるメディチ・後編

CANARUさん♪




「お帰りなさいケイン。」
リナの機嫌はいつもの4割増で悪い。何故かガウリイの機嫌も8割増で悪い。
ウットリしているのはアメリアのみ。トランスしていて口もきけないご様子。
何があったかと聞いてもぷうっと顔を膨らめるだけであるリナ。
しかし・・・・。事実をゼルから知ったケインは阿修羅の如く怒り狂い其処らへんに在るゴミを見境なく剣で切りまくった。
「ゼルウウウウウウウウウウ!!!俺の居ない間、ちゃんとリナを守れっていっただろおおおおお!!よりによってあのレイルにリナが『名誉の口付け』をせにゃーならんのかもしれんのだぞおお?」
恐怖。黒マント逆上男・・・・。なんて言っている場合ではない。
「お前が優勝すればもんだいなかろーが。」
ぽっつ!!そうだ・・・・。しかし・・・。兄と妹でそんな社交事例交わしてもむなしいだけのよーな・・・・・。
しかし・・・・。ケインになりふり構っている余裕は無かった・・・・。



「ケインどうだった?ナポリは?」
馬上試合に行く途中。ケインと馬を並べたリナが呟く。
機嫌の方は、未だ一寸よろしくない様子。後ろを進むガウリイも殺気立っている。
「ああ・・・・・。よくない。どーも俺に融資を求めた貴族ってーのがパッツィと繋がりがあるらしいんだ。大方俺から借りた金を軍資金に俺達メディチを葬り去ろうとでも言うやつだろ。丁重にお断りしてきたぜ。」
「丁重・・・・。ねえ・・・・。」
以前・・・。リナに求婚してきた某家の騎士ジェフリーをリナは思い出した。
あのとき・・・。ケインは丁重に彼をド突き倒していた・・・。
まあ、良くってテーブルをひっくり返して『お断りいたす!!』とでも言ったのだろう・・・・・・。
まあ、そんな兄貴だから人望が集まるんだろうけど・・・・・。
もし、ケインいがいの人が『名誉の口付け』を受ける事に成ったら・・・。
その人の死体が明日の朝一番にアルノ川に浮かんでいるかもしれない・・・。
もっともソレをしそうな人物がケインの外にもまだ約一名身近に居る事をリナはこの時点で気付くはずも無かった。

身支度を整えたアメリアとリナが壇上に上がると公衆からわああと歓声が上がる。
「アメリア、今年の賞品はなに?」
ケインが優勝し、それをオネダリする魂胆でリナが聞く。
「えっと。ヴェネツィアグラスのセットと、ジャポネ(日本)のお茶と古代ローマのユリウス・カエサルをイメージした兜に、宝石、それにネーデルラント(オランダ)の織物、フランス製の銀盤手鏡に、シナ(中国)のシルク、ハプスブルクの宝剣です。」
「へえ。カエサルの兜とハプスブルクの宝剣が欲しいな。」
到底娘らしくない物を欲しがるリナにアメリアは苦笑しつつも戦利品の分配に争いが生じない事を内心歓んだ。
やがて競技がはじまった。
次々に決定して行く勝者に敗北者。
興奮しつつ眺めるリナの耳に聞き覚えの在るこえがした。
「お〜〜〜〜い、リナ!!」
はっとするリナ。
「ガウリイ!!!????」疑問計と言うところがミソである。
「おいおい。でなきゃ誰だって言うんだよ?」
苦笑するガウリイ。
「だって・・・・。」
中世の騎士宜しく、金色の刺繍の入った漆黒の綿入れを着用しその上から銀色の楔帷子や甲冑、背甲、脇鎧を付けやはり白金の兜をかぶったガウリイは何時もとは別人だった。
「おまえこそ・・・。何時もは名家の娘のクセに街娘みたいなかっこうしてるじゃネエか。お相子だろ。」
始めてあった時同様に紅蓮の銀色の刺繍の施されたドレス、同様の紅蓮の髪に映える黄金の冠を頂いたリナにガウリイは言い返す。
「・・・・。早く何時もの格好に戻ってイカ墨スパゲティーかピッザマルゲリータが食べたい。」
「・・・・。同感だ・・・・。」
この二人・・・。何よりも食い物の話になると息投合する妙な性質がある。
「で、何のようなの?まさか食べ物の話をするためにここまできたわけじゃないでしょ?」
リナの質問にポンッツと手を鳴らすガウリイ。
「おお。そうだった。なんかさ、ドイツもコイツも参加してる奴みんなお守りとして女の人からハンカチ借りてるだろ?俺、リナ以外に借りれるような奴居ないし借りて良いか?」
「別に誰から借りたって構わないのよ?アンタぐらいの容姿してれば未婚女性じゃなくっても貸してくれると思うけれど?あ、アメリアは駄目よ。ゼル以外眼中にないから。」
とか何とか言いながらガサゴソと手荷物の中から群青のハンカチを取り出すリナ。
心なしか嬉しそうなリナに、図星を付かれて照れているアメリアは気付かない。
幸いケインはゼルに『シスこん』を100連発された事を気にしてリナのではなくミリィのハンカチを身につけていた。
「ああ。でも、リナのがいい。それに・・・。勝てそうな気がする。」
ニヤ、と笑ってガウリイ。
「馬鹿。サッサトいったいった。まあ、ケインは槍試合、アンタは剣の試合だから当たる事はないでしょうけど、試合の後無闇に勝ってケインに殺されてもあたしは知らないわよ!!」
精一杯のリナなりの照れ隠しだった。


その甲斐在ってだろうか。
今年はレイルをケインが倒し槍試合の優勝を収めた。
更には2位決定戦でゼルガディスが槍試合の準勝利を収めた。
当然のことながらガウリイは見事剣術試合で優勝を収めた。
「いいにか?ケイン。ガウリイもお前同様の権利があるぜ。しかもあそこじゃお嬢様方が決定的瞬間を絵に書こうとお待ちだ。」
冷やかす様にゼルが言う。
「ま・・・・。ガウリイなら良かろう。しかい・・・・。絵に描くならリナとガウリイの社交事例(強調)じゃなくって俺とリナの兄弟愛にするようミリィとキャナルに言ってくれ。」
少し考えたように言うケイン。
「・・・・・・。シスコンが・・・・。」
呆れてそれ以上何も言えないゼルガディスだった・・・・。


ケインが歩み出てリナの口付けを頬に受ける。
兄弟とはかなり絵になる光景である。
自分の賞品を渡す仕事そっちのけで見とれるアメリア。
そして、ガウリイの番となったその時だった・・・・。
「危ない!!」
咄嗟にリナをかき抱いてガウリイが横にとんだ!!
掠める一条の火矢がいままでリナの居た場所・・・正確に言えばリナの心臓があった場所を薙いだ!!
ガウリイの腕に巻かれたままの群青のハンカチが紅蓮に染まる。
「ガウリイ!!」
「掠り傷だ。ソレよりも会場の同様をなんとかせんとな・・・。」
人々のざわめきはあっという間に広がっている。
「ついに・・・。パッツィの奴らが動き出したか・・・。」
吐き捨てるようにゼルが言う。
「リナさん、ガウリイさん、だいじょうぶですか!?」
二人にかけよりアメリアが言う。
「ああ。ソレよりも会場は!?」
「ケインさんとキャナルさん、ミリィさんが落ち着けようとしています。」
「なら・・・。大丈夫ね・・・・。」
かすかに震えるリナをガウリイは無事な方の腕でしっかりと抱きしめた。
アメリアとゼルガディスがケイン達を手伝いに去って行く。
リナはそっと傷付いたガウリイの腕に口付けた。
「・・・・。社交事例よ・・・。気にしないで・・・。」
照れ臭そうに微笑むその目には怯えがのっこていた。
「だいじょうぶだ!!」
ガウリイはリナの目をしっかりと見つめて言った。




「あたしは死にかけたわよ!!もーあんな経験するなんて滅多な事じゃないわ。せーぜ、羨ましがりなさい!!」
ケインご自慢の青年団に自慢にならないことをべれべれ喋るリナ。
一同は呆れているがリナの目は笑ってはいない事にガウリイは気付いた。
「おまえ・・・。よくへーきでそーゆーこと言えるな・・・。」
青年団の一人、ザングルスがジト目でリナを見やりながら言う。
「まあ。人間の恐怖の原因なんて所詮『生きたい』って言う本能なのよ。それを滅却すれば暗殺者なんて恐れるに足りないわね。」
「・・・・。生と死は等価値だ・・・、なんて何所かで聞いた事の在るような台詞言うなよ・・・・。」
冷めたツッコミを入れるゼル。
「ゼルガディスさん!!」
嗜めるようにアメリア。
苛立った様子のケインとガウリイを見越しての配慮だろう。
ついでに言えば彼女の「女の直感」は今のリナに対して尋常でない物を感じていた。
(・・・・。暗殺されそうになった恐怖がそうさせているだけならばまだいいんですけれども・・・・。)
何か在ったら(リナの事と成れば)大騒ぎするケインよりもまだ冷静でいるガウリイに相談しよう。アメリアはそう決めた。


リナが暗殺されかけたあの後・・・・。
一人自室に戻った彼女が目にした物は・・・・・・。
『今すぐ会いたい。来てくれ。メディチ塔で9時にまってる。リュードリヒ』
と窓ガラスに書かれた血文字だった・・・。
咄嗟に彼女は動揺しつつもその文字を消した。
リュードリヒ・・・。行方不明になっていた彼女の婚約者・・・。
敢えて言ってしまえばガウリイの生き写し・・・。
けれども・・・。あの人はガウリイではない。
そうリナは考えた。しかし、彼女が気付く事は無かった。
今までのリナならガウリイはリュードリヒではない・・・。そう思った事を。


薄暗いメディチ塔。
そこに彼はいた。
「リュウ?」
ブリューネットの長髪。ヴァイオレットの瞳・・・。
この人はガウリイではない。そう思いつつもリナはかつての婚約者に声をかけた。
「久し振りだな。カテリーナ。」
ガウリイの物とは似ても似つかない重々しい声。
それに。ガウリイはアタシの事を「カテリーナ」なんて呼ばない・・・。
「何所にいたの、今まで。」
「・・・・。聞きたい、か?」
「ええ・・・・。」
彼はリナと目をあわそうとはしない。
「・・・・。ナポリに居た。お前を置いて行った事は済まないと思っている。カテリーナ、これからでも遅くはない。一緒にナポリに来てくれないか?」
「・・・・・・。アタシを人質にして・・・。ケインにメディチを滅ぼさせるための軍資金を出させようっていうの?」
リナは感情の篭もらない声で言いリュードリヒの目を直視した。
「・・・・・何を・・・、何を言っているんだカテリーナ!?俺は只、君を・・・・」
「嘘!!貴方は私の目を見ていない!!なるほど。確かに貴方はアタシの味方かもしれない。けれど、貴方はケインの!!ゼルの!!アメリアの!!アタシの大切な人の味方じゃない!!そうじゃないならあたしの目を直視できるはずよ!!」
「カテリーナ・・・・・・」
「なによ!!それに・・・。貴方と違ってケインは女のアタシにでもなんでも話してくれるのよ!?知らないとでも思ったの!!パッツィ家と組んでメディチを滅ぼそうと言う貴族ってあんたの事だったのね!?パッツィのバックボーン、うんう、消え失せなさい!!パッツィの犬!!!」
「・・・・カテリーナ・・・・・。」
リュードリヒがリナに歩み寄る・・・。
「そこまでにして貰おうか!?」
冷ややかな声と共に彼の喉元に銀色の光刃が突きつけられた。
「ガウリイ!!」
リナが叫びリュードリヒが後ろを振り返る・・・・。
髪と目の色こそ違えども自分にそっくりな男・・・・。
「・・・・。そう言う事か・・・。カテリーナ。否、『華のシモネッタ』コイツが・・・・。俺の代わりって訳か!?」
怒気の篭もる声がメディチ塔に響く。
しかし。リナの声はあくまでも冷徹な調子だった。
「あなたは昔の貴方じゃない。それに・・・。ガウリイはガウリイ。貴方じゃないわ。そう言ったのは昔のリュード。そして・・・。今の貴方はそれさえ忘れ去ったパッツィの犬よ。」
「俺を選ばない、というわけか?」
「昔の貴方なら喜んで選んだわ。けれども。今のアンタにそんな価値はない。私はね、ケインやガウリイのようにそれだけの価値の在る人間にしか人生を託さない主義なのよ。下手な画家に肖像画を書かせるよりもミリィやキャナルのように無名でも真実を描いてくれるような人に肖像画を依頼する。それだけの事よ。」
「・・・・。俺は三流画家、ってことか?」
「有名無実。世間様じゃあ有名画家扱いされていても虚栄心にのみ酔う三流以下のろくでなし画家ね・・・・・。」
リュードリヒは乱暴にガウリイの腕を解き、リナの脇を大股で通り過ぎ消えた。
「・・・・。大丈夫か、リナ。アメリアがお前の様子がおかしいって言ってたんで後をつけてたんだ。」
気が抜けへたばりかけるリナを抱き起こしつつガウリイが言う。
「・・・・・。どんなに一流な画家でも・・・。貴方の洞察力には劣るわ・・・。ガウリイ・・・・。」
「ああ。『俺は俺』、だからな。」
言ってガウリイはにっこりと笑った。


「大丈夫なの!?ケイン。」
「ああ。何としても不渡りでメディチが危ないって噂消さなきゃなんねえしな。」
最愛の兄と妹の会話にしては殺伐としているが現状が現状なだけに仕方がない。
「なら・・・。私も行く。」
「・・・・。そうしてくれると有り難い。ガウリイが居れば大丈夫だろう。」
(・・・・・。お前だけだろうけれども、な。)


スペインハプスブルク家がメディチから借り、返済しない借金は俗に言う「不渡り」となりケインの経営するメディチ銀行の財政を苦しめた。
しかし。パッツィとの争いが表面化しつつある今、(本当であるが)メディチが苦しいと言う噂をこのフィレンツェから一掃しなければならない。
そこで・・・。ケインは決死の覚悟で市をあげての大パレードをし、メディチ健在を市民にアピールする事とした。
名目上は『華のシモネッタ』たるリナの快気祝。
お祭り好きの市民はそんな意図とは露知らず熱狂していた。
「危険だな。しかしこれ意外に方法はないな・・・。で、ケインどう言うコースを取ろうとかんがえているんだ?」
名目上はパレードの実行委員、しかし事実上は防衛庁役のゼルガディス。
「ああ。セルヴィー通りのほうを山車と馬車の隊列を編成して行こうと思う。」
「的確ですね。あそこならば弓矢を使ったりして暗殺できないような場所ですし。」
感心したようにアメリアが言う。
「当日までにメディチの紋章とケインとリナの肖像画をキャナルと分担して書き上げるわね。」
ミリィが張りきりながらいった。


「なあ。リナ。お前さあどんな奴になら人生託せれるんだ!?」
その晩。テラスで紅茶を飲んでいたリナにガウリイが聞く。
「う〜〜〜ん。それだけの価値がある人間、って前には言ったような気がする。」
「どう言う価値だ?ケインみたいな無謀な奴も価値の在る人間だし、ゼルみたいにキレる奴だって価値のある人間だ。アメリアみたいに純真で無邪気な奴だって早々居るもんじゃ無いしミリィ、キャナルの絵の才能だって100年もすれば国宝クラスの価値があるぜ?」
「そうよ。だから私はみんなに人生託してる。素敵だと思わない?そーゆーの。ガウリイは私の大切な人、みんなの長所上げたわよね?」
「まあ、な。」
「って事は誰にだって価値はあるって事。ソレを認める事の出来る人間。ソレが私の人生を託しても良い人間よ。」
「俺はリナの価値はそう言うところだと思う。自分よりも人の事ばっかりなんだなお前って。お前の婚約者、アイツはお前の味方だったんだろ?なら、お前はソレに甘える事だってできたはずだぜ?」
「私に大切な人たちの事を何も考えていないような奴なんてこちらから願い下げよ。」
「・・・・。でも。俺はリナを一番に考えてるぞ。」
「それはそれで嬉しいわよ。でも。貴方はあんな冷酷じゃない。それに、本当にアタシの事を一番に考えているんなら私の好きな人を裏切ったりしないわ。」
「そうだな・・・・。でも・・・。ケインとリナ・・・。選べと言われたら俺はどーすりゃいいんだ?リナは大切だけれどもリナの最愛のアニキを見殺しにするわけにはいかないだろ?何か在ったら・・・。」
「二人とも助ければ良いじゃない。」
「出来るかなあ・・・・。」
「人間やろうと思えば出来ない事なんて絶対にないわ。」
「・・・・。そーなのか?」
「そーよ。」




わああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
リュードリヒとパッツィ家の指示の元・・・。
反メディチ派の市民が一斉にケインとリナに襲いかかってきたのはセラヴィー通りに差し掛かった時だった。
一斉に逃げ出す一般市民達と護衛の集団。
足首を挫き、怯えきったリナを必死にかばい暴徒の棍棒を一身に浴びせ掛けられ流血するケイン・・・・。
まさに凄惨を極める光景だった・・・・。
アメリアを安全な所まで連れ出したゼルガディスが現場へと舞い戻り再び暴徒たちと合間見える。
混乱の最中見失ったケインとリナを人ごみに求め奔走するガウリイ。
「リナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ありったけの声を振り絞り彼は叫び続ける。
「ガウリイ・・・!!ガウリイ・・・!ケインが!!ケインが死んじゃう!!」
泣き叫びたいのを必死にこらえるリナの声が人ごみの一番込み入っている方角からする。
血路を切り開き近寄るガウリイ。
「!!!!!!!!」
気を失いながらも必死でリナを庇い続け暴徒達に打たれる血まみれのケインと身体中に掠り傷を負ったリナの姿がそこにはあった。
有無を言わせぬ勢いでケインを背負いリナの片手を掴むガウリイ。
「グ!!」
骨折した足首の激痛をこらえガウリイの片腕にしがみつくリナ。
・・・この人は約束通りあたしとケインを助け様としている。
アタシがこれぐらい我慢しなくてどうするのよ・・・・・・・・・・・。
その時。リナにしてみれば何が起こっているかはもはや定かではなかった。
安全なメディチ家にたどり着いた時・・・。リナの意識は暗転した。



「リナさん・・・・・。代わりましょうか?」
アメリア。
目覚めて以来、リナはケインにずっとつきっきりだった。
「いいえ・・・・。アメリアはガウリイ、ゼルと一緒に着いて来て。アタシ・・行かなきゃ・・・・。キャナル、ミリィ。ケインをお願い・・・。それとケインの肖像画とアタシの肖像画、そしてメディチ家の家紋の絵借りるわね。」
そっとリナは呟いた・・・。
「良いけれどリナ・・・。どうしようって言うの?ソレに・・。何所に行くつもりなの!?」
落ち着き無くキャナルが尋ねた。
「市政庁舎前広場。今行かなきゃ反メディチ派とパッツィ家の連合軍、そして親メディチ派の内乱が起こるわ。食い止めなきゃフィレンツェは焼け野原になる。だから・・・。お願い。わたしの大切なケインを守って。」
「・・・・。解ったわ・・・・。」


市政庁舎前広場は黒山の人だかりだった。
そこで一人がなりたてる男・・・。パッツィ派、すなわち反メディチの旗頭
リュードリヒ・・・・・・・・。
「我々の共和を邪魔するメディチは単なる独裁者でしかない!!!パッッツィこそが我々フィレンツェの真の指導者だ!!!!!!」
人々から湧き上がるパッツィの言葉・・・・。
しかし、その時だった・・・。
天高く掲げられたメディチの家紋とケイン、リナの肖像画が昂然とリュードリヒを始めとする市民を見下ろした。
ざわつく一同。反して堂々としたアメリアの声が響く。
「果たしてそれはどうでしょうか!!」
続いてゼルガディスがリュードリヒを指差し声をあげる。
「その男はケインの20になったばかりの若い身体に19もの傷をつけた。果たしてそのような人物とパッツィにこの共和制を託せれるか!?我々がこの都を託す事が出来るのは最愛の兄の重体にに耐えて、なおフィレンツェの考えるカテリーナ・シモネッタ只一人。おい、リナ。おまえの傷をこいつ等に見せ付けてやれ!!」
群集を掻き分け進み出る二つの人影・・・。
ガウリイに支えられ広場の真中へと堂々と歩み出るリナだった。
「・・・・。騎士に守られた・・・・。『剣の女王』・・・。」
アメリアの呟きが広場中に木魂した・・・・。
メディチ・メディチ・メディチ・メディチ・・・・・。
その名のみが人々口から唱えられた。


3ヶ月後。
ケインは完全に回復し「シスコン」ぶりも復活。
パッツィ一門とリュードリヒはフィレンツェより追放されそれと同時にメディチの不渡りも解消された。
アメリアとゼルガディスは晴れて結婚し、ミレニアム=ランジェロとキャナル・ダヴィンチは都を代表する画家となった。
そして・・・。『華のシモネッタ』の名は町の何所を歩いても聞く事は無くなった。しかし、人々はこう呟き合う。
「紅蓮なる『剣の女王』リナと『栄光の騎士』ガウリイが通ったぞ!!」と。



お終い。



あとがき。

スレイヤーズとロストユニバースの歴史物でしたが・・・。
如何なモンでしょう・・・・?
ちなみにアタシの独断と偏見のお話なので間違っても「テスト」の参考にはしないでくださいね・・・。では!!


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