小説トップに戻る

新年のご挨拶?



がちゃがちゃ。
「……ちょっと!これ、壊れてない??」
「ちょっと見せてみろ」
ごそごそごそ。
「……駄目だな、これは。音声部には異常はないが、画像入力端子が死んでいる」
「おんせーぶ?がぞーにゅー…………何だぁ?おんぶや雑煮の仲間かぁ?」
どかばきめしゃっ!
「あんたはっ!無理矢理くだらないボケをかますんじゃないわよっ!!」
「まったく……新年から、何仲良く夫婦漫才をしているんですか、お2人とも」
「だっ……誰が夫婦よっ!」
「おい、アメリア。こいつ、直りそうにも無いぞ」
「こら、あたしを無視するなぁ〜っ!」
「え〜っ、駄目なんですかぁ?せっかくセイルーンで古代文献を解析して開発した『びでおかめら』なのに〜」
「ちょっとぉ!」
「やはり未知の材料を使ったものだからな。こうなっては今更どうしようもない」
「こら、人の話を聞けぇっ!」
「リナ、静かにしろ」
「だって2人ともあたしのこと無視す…………むぐむぐ」
じたばたじたばた。
「ほら見ろ、アメリア…………ここの接続端子が擦り剥けているのが見えるだろう?」
「うきゅ〜…………分からないですぅ……」
「まぁ仕方がない。とりあえず今回はこれでいくぞ」
「何だかよく分からないですけど、とりあえず声は入るのですよね?だったらいいです。ね、リナさん…………あれ、どうしたのですか?顔が赤いですよ?」
「な、何でもないわよっ……それよりっ!さっさと始めるわよっ!!」
「それもそうですね」
ごそごそ。
「こほんっ!…………え〜、皆様……」
『新年明けましておめでとうございます!』
「昨年はこの小猫雑飯店、及びぐーたら管理人をご贔屓下さって、本当にありがとうございました」
「何だかよく分からんが、かんり……なんとかが感謝していたぞ」
「どうぞこれからも皆様方の正義の心で、ここを盛り上げてやってください!」
「ふっ、くだらん…………まぁ仕方が無い。とりあえず、礼は言う」
「も〜、ゼルったら。もう少し愛想良くできないの?」
「できるか!大体なぜ俺がこんなところに……」
「しゃーないでしょ、ゼル。あたし達が挨拶してやらなくちゃお客様が逃げるって、あいつが泣き付いてきたんだから」
「そうだなぁ。『自分が挨拶しただけだったら剃刀が送られてくる』とか何とか言ってたな」
「……普段からよほど極道な生活を送っていたのですね、ここの管理人さんって……」
「リナより余程質が悪そうだなぁ」
「どういう意味よ!」
「どういう意味って、そのままの意味だが…………あ゛、いや、何でもないっ!!だから、止めろぉっ!」
ぼぐっ!
「……あ〜あ、ガウリイさん、可哀相に……」
「雉も鳴かずば撃たれまいに、ってやつだな……」
「それにしても残念です……せっかくセイルーン王家の正装で着飾ってきたのに……」
こほんっ。
「い、いや、別にいいだろう、それで…………」
「えーっ、でも……」
…………他の奴になど、見せなくていい……
「え?何か言いました?」
「と、とにかくそれでいいんだっ!…………おい、リナ、ガウリイ!いつまでじゃれあっていれば気が済むんだ!!」
どかばき……ぴたっ。
「あ〜あ、リナさん……せっかくの振り袖が台無しじゃないですか……」
「だ、だって!こいつがぁっ!」
「どうせ画像は映らん。気にするな。それより……」
「おぉ、そういえば、かん……なんとかから伝言があったんじゃないのか?」
「そうそう!……え〜っと、既に一部のお客様は御存知のことですが、ここ小猫雑飯店にチャットを設置いたしました!」
「おぉ〜」
ぱちぱちぱち。
「……ガウリイさん。一人でやってて、空しくないですか?」
「あ、いや、……俺もそう思うんだが、かん……なんとかに頼まれてなぁ」
「で?一体何をもらったんだ?」
「あ、そうそう!あいつ気前だけは良くってなぁ、この『ぽん菓子』っていうのを大袋いっぱいくれたぞ?」
「……そんな安物で懐柔されないでよ……お願いだから……」
「脱力している場合じゃないですよ、リナさん!まだお知らせの途中でしょ?」
「そ、そうだったわね、すっかり忘れてたわ。え〜っと、『このチャットに管理人が現れることは滅多にありませんが、皆様のコミュニケーションの場としてご利用頂けたらと思っております♪』……???」
「……管理人のくせに、設置するだけしておいて後は放っておくというのか?何て無責任な奴だ」
「しかも、文末の『♪』マークのせいで、全然誠意が感じられませんね」
「ったくっ!!何考えてるのよ、あのへっぽこ管理人はっ!!」
ばしばしばしっ!
「痛ぇっ!何すんだよっ!」
「単なる憂さ晴らしよっ!!」
「ひでぇっ!!…………うぎゃぁっ……
「あ、リ、リナさん。せっかく御馳走があるのですから、暴れるのはよしましょうよ」
「そうだぞ、リナ。お前らが食わんのなら、俺とアメリアだけで食うぞ」
「ちょ、ちょっとっ!誰が食べないっていったのよっ!」
ぽいっ。
「……変わり身の早い奴だ……」
「でも、この料理、一体誰が作ったのでしょうか?」
「えっと、たしか、か……なんとかが作ったって言ってたぞ?」
「ガウリイ……あんた、だんだん忘れてるわよ……『管理人』って言葉……カナでたったの5文字なのに……」
「……それはともかくだ。この料理、食えるのか?」
「え?でもここの管理人さん、片付けはとことん苦手だけど、料理だけは割と得意だっていってましたよ?」
「いや、だからだ。料理の腕はともかく、毒なんか仕込んでいないだろうなと思…………おいっ!ガウリイ!?」
「むぐむぐむぐ…………あ〜?そこそこ美味いぞ、この料理」
ぼがっ!
「ぐえっ……リナっ!食事中に人の後頭部を殴るのは止めろっ!!」
「あんたわっ!あんな怪しい奴の作った料理を、疑いも無く食べるなっ!!!」
「え〜、でも食えるみたいだぜ、一応」
「む〜〜〜…………仕方ないわね、作った奴がとんでもない奴でも、料理に罪はないわっ!食べてやるわよっ!!!」
「リナさん……最初から食べたかったのでは……???」
「ガウリイの旦那に毒味させたっていうのが正解かもな。さ、アメリア、俺達も食うぞ」
……ぽんっ!
どすっ!!!!
「おわあぁぁっ!!!」
「皆様、明けましておめでとうございます」
「来たわね生ゴミ!」
「おっゼロスじゃないか。今日は来ないかと思ったぞ」
「むぐぐぐぐ」
「あの……ゼロスさん」
「いやぁ、獣王様から年賀状を配達するように頼まれちゃいまして、遅くなりました」
「あいかわらず中間管理職してるわね〜。でも言い訳にはならないわ。遅刻してきた罰として、この料理はあげないからね!」
「え〜、そんなぁ、リナさん」
「やかましっ!もともと魔族のくせに食事しようって方がおかしいのよっ!!」
「………………」
「あ、あの〜……ゼロスさん……」
「これはこれはアメリアさん。あけましておめでとうございます」
「あ、おめでとうございます。今年もよろし…………じゃなくてっ!ゼロスさんっ!!」
「はい、何でしょう?」
「ゼロスさん、ゼルガディスさんを踏んづけてます〜っ!!」
「…………おや、これは失敬♪」
ぴょこん。
むっくり。
「ゼ〜ロ〜ス〜…………貴様〜〜〜〜〜っ!!!!」
「いやですねぇゼルガディスさん。ちょっとした過ちじゃないですか」
「何が過ちだ!!わざと人を足蹴にしておきながら、よくもぬけぬけとそんなセリフが出てくるものだ!!!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「これが落ち着いていられるかっ!魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン)っ!!!」
ぶんぶんぶん。
「ははははは、新年から元気ですねぇ」
ひよいひょい。
「わっ、わっ、やめてよゼルっ!料理が〜〜〜〜っ!!」
がしゃがしゃ。
「ふぃは、ほっふぃひはいひは〜〜〜〜っ!!」
ばたばたばた。
「うわ〜ん、みんなやめてください〜〜〜っ!!!!」
ぐぅわしゃっ!!!
どすどすどす!!
…………!
……

..
.




小説トップに戻る