今月のトピックス

 

December ’02 

 12/4(水) パパ・ハイドンにやっと光 (朝日新聞朝刊)           

 ”地味な天才” なぜか受ける  自然体の魅力、遊びもたっぷり

 「曲が新たな展開を迎えるポイントにいきなり休符を置いたりして、聴衆の期待を自在に裏切る。アイディアのおもちゃ箱のようです」(鈴木秀美さん・・・指揮者でチェリスト、古楽集団「オーケストラ・リベラ・クラシカ」を今春発足)

 「びっくり」「告別」「軍隊」などの例をひいて、「それが『芸術』をありがたがる支配階級や文化人の急所をついた。素人を喜ばせただけでなく、音楽通の心もくすぐった」(飯守泰次郎さん・・・今年初めまで続いた東京シティフィルの「ハイドン・ブラームスシリーズ」を企画)

 「ベートーベン、モーツァルトの源流でもあるハイドンに戻り、僕らの原点を見つめ直そうという気になった」(岩城宏之さん・・・オーケストラ・アンサンブル金沢で、来年度特別公演から、ハイドンの交響曲を定期的に取り上げる)

 「いつも控えめで、絶対熱く迫らない。そんなオトナの魅力をそろそろちゃんと評価してくれと思って」
 「よく働き、上からも下からも愛される。そんな絵に描いたような善人」
 映画や小説の主人公になりやすい「悲劇の変人」タイプの天才でなかったことが災いしたようだ。「でも、最近はむしろ普段着の天才にも光があたるようになった。ノーベル賞の田中耕一さんブームのように。肩の力が抜けたハイドンの音楽からは、芸術が遊びを忘れ、やたら大仰なものになり果てている現在への風刺すら感じます」(漫画家、砂川しげひささん・・・自らのホームページでハイドンの音楽に対する思いをつづるコーナーを始めた)

 「跳躍に転調、型はずしなど多彩な不意打ちを繰り出すことで、聴く者すべての懐に飛び込むことに成功した」(伊東信宏さん・・・音楽学者で、ハイドンが皆に好感を持たれた「秘密」に迫る本を出版。当時の音楽は宮廷の権力者との知的なやりとりだったという見方。)

 「ハイドンの音楽は快楽に忠実です。音楽が普通の暮らしの娯楽として息づいていた幸福な時代の産物」
 「せかせかと音楽を消費しながら『好きなのに、どうして疲れるのかなあ』なんてこっそり吐いた弱音を、ハイドンは許して抱きしめてくれそうな気がするんです」(岡田暁生さん・・・音楽学者。誰もが忙しく、無理やり時間を作ってコンサートホールへ「感動」を追いかけにいく時代だからこそ、自然体で過剰な自己主張のないハイドンが輝く、と語る。)

とりあえず新聞の抜き書き。個人的なハイドン体験などは後日。名曲の森へご案内・・・・Msらしからぬ企画じゃ(2002.12.22 Ms)


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