今月のトピックス

 

 August ’01

 

8/23(木) 第13回 アフィニス夏の音楽祭 

 涼を求めて信州へ。
 また、遠出かい。などと思われそうだが、そうでもない。私の現住所から車で約3時間、飯田市への小旅行。山岳ドライブを堪能。心地よい風と共に走る。また、猛暑の影響で野菜の値段が上がる中、途中で寄った、愛知県設楽町の名倉高原の道の駅、安い野菜の数々しっかり買って。その中でもとびきり美味しいのがトウモロコシ。是非、東海地方の皆様、名倉の辺り寄ってみてください(茶臼山高原への名古屋からの入口になります)。
 愛知県のヒマラヤだか、軽井沢だか、ともかく、奥三河地方から、長野県は南信州、下伊那地方、いろいろ寄り道しつつ、武田信玄やら後醍醐天皇の孫の志半ばでの終焉の地(阿智村、浪合村)に思いを馳せつつ、リンゴ並木の待つ飯田にやって来た理由とは・・・。

 第13回アフィニス夏の音楽祭。

 日本たばこの関係財団主催の音楽祭で、海外のプロオケで首席奏者をつとめるようなベテランと、日本各地のプロオケの若手奏者が、飯田市で1週間の合宿、その成果を、8月末、飯田で2回、東京で1回コンサートを行うわけだ。そして、飯田での練習は一般にも公開、それも見つつの信州への小旅行。
 午後からの練習は、ショスタコーヴィチの室内交響曲(弦楽四重奏曲第8番の弦楽オケ編曲)。
 生で聴くのは初めて。第2楽章などホント興奮してしまう (テンポが速くてOK。さらに、ユダヤの主題のテンションが、旋律のみならず、伴奏の素早い分散和音型まで異常に高く、熱さを感じる。若い奏者達も、通常の定期演奏会とは違うモチベーションがあるのではないか?とにかく引き込まれるものがある。見た目にも、あの部分の分散和音の急速な動きは、楽器をかき鳴らしているような荒っぽさが視覚的に訴えてGood。)
 ただ、2回目の練習らしく、第1第2楽章はスムーズに、良い仕上がりを見せていたが、今日は第3楽章以降が、まだ細かな詰めがされてないようで、テンポ設定からみっちり練習していた。指揮者は、ゲヴァントハウスの第1コンサートマスターを長く勤め、新日本フィル首席客演指揮者でもある、ゲルハルト・ボッセ氏。通訳を介しての練習、やや意志疎通を欠く場面もあり、また、基本的にテンポとか、強弱の問題とか、技術的な指摘が多く、ショスタコがどうのこうの、ここが何々の引用とか、そんな話はなかったが、ただ、唯一、第4楽章の中間部で、「遠い過去を振り返るようなイメージで。つい最近のことではなく。」と言っていたのは印象的だった。
 また、途中、地元のTV局かどうか知らないが、カメラが入ってきていろいろ撮り始め、最初は側面から、そしてしばらくして、コンサートマスターへのアップ、となったのだが、運悪くちょうど、第4楽章、みんながガツガツ和音をぶつけている時に、コンマス一人だけがひたすらロングトーン・・・・あんまりカッコ良くない部分だなァ。映像的にも、という感じじゃなかろうか?コンマスだけ間違えてるみたいで・・・。というのは、いらんお世話か。

 一時間半の予定だったが、1時間で終わってしまったので、他の部屋でやっている、シェーンベルクの「浄夜」(弦楽六重奏版)ものぞく。指揮者がない分、くだけた雰囲気で和気あいあいという雰囲気は感じられた。お互いの楽器を交換して演奏を比べてみたり。しかし、弦楽オケ版でも想像つくように、複雑怪奇なのは六重奏でも変わらない。これを指揮者なしでやってのけるのは大変そうだ。和気あいあいさと同時に、どこを誰と合わすのか、綿密に打ち合わせつつ練習していましたね。

 練習風景を見学していたのは、だいたい20名くらいか。やや淋しいような気もしつつ、1週間続けて毎日あるのだし、また、同時進行でいろいろ練習しているのだし(同じ時刻、違う会場では、モーツァルトのグラン・パルティータ、こっちの方が人気ありそうか。)、これまた、いらんお世話か。

 今回の練習の成果、東京まで行かないと聴けないので、見届けることができなくて残念。でも、今後もいいプログラムがあればまた訪れたいものだ。名湯、昼神温泉でもつかりつつのんびりまた来たいですね。

 PS.しかし、帰ってきてから、パンフレットなどしっかり読んで見たら、午前中の個人レッスン、ショスタコのチェロ・ソナタもやってたんかぁ。知ってりゃ、もっと早く行ったのになァ、とは後の祭。まぁ、でもショスタコの認知度もかなり高くなってはいるんだ、と安心もしたり。

 このあたりで私の夏も終わりかな(2001.8.23 Ms)
加筆(2001.8.28 Ms)

8/11(土) 3枚のレコード+α (コンドラシンのバビ・ヤール、ニ題)

 久しぶりに名古屋へ、そして、デパート(丸栄)によったら、中古CD、レコードを特設会場で売ってるとのこと、立ち寄ったら驚き。
 もう壮絶な量のレコード。ついつい、昔を懐かしんで探してみたら出るは出るはの宝の山。ビクターのメロディア・レーベル系。昔、買おうか迷ったよなァ、と思い出した、スベトラーノフ来日記念盤のタコ6。ロジェベンのプロコ交響曲全集の分売。今、CDと比べてボリューム感あるジャケットの写真も楽しみつつ、裏面の曲目解説も読みつつ、いろいろ探したところ・・・。
 レコードを満足に聴けない現状で、まさかLPを買おうとは最初思わなかったのだが、この1枚を見て、とにかく買わねば、と思った。

衝撃のソ連初録音遂に成る!
かぎりない平和への祈りをこめて全世界にその真価を問う・・・・・・

 と帯びに書かれたその曲こそ、コンドラシン指揮の、ショスタコの13番「バビ・ヤール」!!

 「21世紀の音・新世界レコード」という、下方隅の記載も微笑ましいな。ま、とにかく、これが初めて世に出てきた時の衝撃を共感したくって買った。演奏時間を見ると、きっと演奏はCD化された全集版と同じではないか?とも思うのだが(録音データの記載は一切なし)。

 この1枚で、ふっきれた。とにかく買いたいものは買ってしまえ。
 続いて、やはり、メロディアで、ロジェベン指揮のストックホルム・フィルでシベリウスの5番及び、ショスタコの「ボルト」から5曲。1979.2.10のレニングラードでのライブだ。この「ボルト」の演奏、ひょっとして・・・と思う。私が始めてこの曲を聴いたのは、中学生の頃の某民放FMクラシック番組のリクエストの回。5曲抜粋で最後がトロンボーンのグリッサンドの超ヤラシイ「荷馬車ひきの踊り」、いま聴かれる速いテンポの演奏とは逆の重い演奏で、これでなきゃ、とずううっと思っていた。ひょっとして、その演奏ならいいなぁ。「荷馬車ひき」のあとで拍手が入っていたのは確かだし。運命の再会と相成りますか?

 もういっちょ。ニールセンの5番。ホーレンシュタイン指揮、ニュー・フィルハーモニア。1969年の録音。CD化されていないものと思われる。解説もニールセンをもっと知って欲しい、という筆致が良い。カップリングも音詩「ガンナーの夢」(サガの夢ですね)と渋い。まだまだ日本にもこのレコード売れ残りが沢山残っていやしないか?ニールセン・ファン必携のLP、でしょうか?????

 いつの日になるか、これらのLP、聴いたらまたその感想など紹介したいですね。

 おっと、もう一つ、輸入版カセットも購入。これまた、「バビ・ヤール」見っけ。それもコンドラシン。フィリップスから出ているライブ。オケは、Bavarian Radio Orchestra。これは、今日、HPアップしたらじっくり聴こう。

(2001.8.12 Ms)

 ということで、Bavarian Radio Orchestra の感想だが、西側でのコンドラシンのバビ・ヤール、これもまたレベル高く、丁寧、綿密に仕上げていい感じである。重要な役回りである鐘の音も大事にバランス良く聴ける。なお、第1楽章のクライマックスのあたりの鐘は、かなり暴力的に金属音をさせており、ある意味ロシア的な味付け、と言えるだろうか?テンポの設定とかも無理なく手堅さも感じる。さらに、ライブ・レコーディングとのこと。これだけ荒のない演奏なのだから驚きだ。ただ、録音データが何一つ記載がない・・・・録音年代、場所など知りたいところだ。
 私が最も個人的に気になったのは、第1楽章の最後、歌い納めの辺りだ。スコアを見ますと、練習番号29、つまり370小節目。詩の最後は、「だからこそ、私は真のロシア人だ!」と絶叫するのたが、その最後の単語、「ルスキー」の前で大きくブレスが感じられたのだ。今まで意識したことはなかったが、この「ロシア人」という単語が、明確に届いてくる。気になって、手元のいろいろな演奏を聴き比べたのだが、ハイティンク、そしてロジェストベンスキー、は特に意識したブレスは感じられない。そして、コンドラシンのショスタコ全集における演奏は、ややブレスあり。そのブレスをさらに強調したのが、この今回のテープの演奏だ。この部分を聞いて、はっと思った。「私は真のロシア人だ」という叫びが、エフトシェンコ、ショスタコーヴィチのものであるのはもちろん、コンドラシン自身の叫びにも思えて、感動したのだ。
 大事にしたいものだ、このテープ・・・意外とCD化されてたり・・・・でもとりあえずそんな情報はきかないのだが・・・・隠れ名盤だと私は思う。

(2001.8.20 Ms)


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