今月のトピックス
June ’00
6/3(土) 豊田楽友協会管弦楽団 第11回定期演奏会
なんていったって、「ウェストサイドストーリー」 それも 「シンフォニック・ダンス」!!
まさか、こんな大曲が演奏できるなんて・・・予想だにしていなかった。とにかく、こんな貴重なチャンスを与えてくれた、新生、豊田オケさん(今回より豊田フィルから名称変更とのこと)に感謝。また、それ以上に、今回私をトラとして呼んでいただいたSさんにこそ感謝、感謝。
さて、演奏のほどは・・・・確かに、演奏者としては私、とても充実していましたし、エキサイトしましたし、勉強にもなりましたし、断然文句無しなのだが、ふと、観客の立場としてはどんな風に聞こえたのだろう。30人ほどの団員で、それに匹敵する数のトラをお願いし、また、特に弦楽器は初心者の方々が多いともなれば、かなりオケの力量、限界を超えてしまっていた選曲だったのでは・・・ともふと考えてしまうのです・・・(団の方には、部外者のくせしてすみません。しかし、同じくアマチュアオケに在籍するものとしての率直な感想なのです。ご容赦下さい。選曲は常に団内がもめる種ですし。ただ、それをうまく本番までもっていけたのは、豊田オケさんの立派な力量であるとは思います。それは羨ましい限りです)。
打ち上げでも、前日の練習でも、指揮者の西野淳氏は「正直、イライラします」ときっぱり断言していたなァ。ただ、打ち上げにおいての氏の言葉にはそれに続く言葉があった。「しかし、ワカラナイ、と悩みながらも懸命にわかろうとし、また、楽しんでやっている皆さんの姿を見るにつけ、結局、最後まで怒れませんでした」。
この言葉を盾に、なぁんだ努力しなくてもいいんだ、などと思ったら我々アマチュアは最後!(刈谷オケの皆さん!!)しかし、ひたむきさ、は人の心を動かす要因にはなり得るだろう。今後、この貴重な体験を糧にして、豊田オケさんがよりよい方向へ発展するのを心より願っております。
市がバックアップしてくれてるのは羨ましい限りだ。専用の練習場を持ち(古くなった図書館を改装したもの。ちゃんと防音の合奏用の練習部屋が完備!!)、同じ楽友協会に吹奏楽団もあるため、今回の「シンフォニックダンス」の毎週の練習も、数限りない打楽器の数々は、隣の部屋に移動するだけ。特殊楽器の調達、奏者の依頼も難なく可能。こんな環境だからこそこんな選曲も可能だ。私の所属するオケでやろうと思ったら、楽器運搬だけで5,6時間はかかりそうだし、トラ集めだけでも団内が紛糾してしまいそう。
こんな恵まれた環境のオケは私の知る限り、ここだけ。少なくとも愛知県ではもっとも素晴らしい練習環境と言えよう。この際、周辺でオケに入りたいと思っている人がいたら、とても勧めたい(我がオケを差し置いて・・・)。どんどん人が集まり、また、優秀な人材も集まり、もっともっと野心的なプログラムを高いレベルの演奏で、ばしばしやっていただきたい(私も近現代モノ、どんどんやってみたいのです。)。現段階としてはまだまだ発展途上なのだが、大編成な楽曲への物理的なアプローチが既に可能である点を評価するなら、私にとっては、愛知県で最も今後の期待大な団体、と感じるのだ。
前置きが長くてすみません。演奏自体の感想です。「シンフォニックダンス」、とにかく西野先生のノリノリぶりが良かった。オケが指揮棒見る余裕が足りない故でもあるのだが・・・。練習中も、とにかくアフタービートを意識して、ドイツ風な変なタメとか、歌いまわしを排除して、と何度も何度も注意。それがなかなかできないのだけれど。その辺りが先生の「イライラ」の根源だったのだろう。
ただ、「シンフォニックダンス」の本番直前、ステージに上がる際に先生より「あなたたちだけが頼りです」と言われたのには燃えた。先生の目指すクラシカルならぬノリを表現しようと私はがんばったつもりなのだが、果たして・・・。
全体として演奏の流れは、綱渡り。よく知ってる人なら、聞いていてかなり恐かっただろう。ソロが落ちたり・・・(あぁヴァイブも)・・・。テンポも乗りきれないところ多々あり。特に冒頭のスウィング感が重かった。でも、特筆すべきはドラムス。彼がオケ全てを引き締めてくれていた。クール〜フーガの辺りはもう、私もやってて気持ち良くなるぐらいのスカッとしたノリであった。
あ、ちなみに私は、シンバル、タンバリン、小太鼓、大太鼓、銅鑼などを掛け持ちしつつ、基本的にはボンゴは全ての音を担当。冒頭は活躍の場も多く、それなりの演奏はできたかな?
それにしても、マンボは感激したなァ。練習時点ではもっとズレズレ、ダサダサな感じだったが、本番は全体にかなり引き締まった印象。
さらに特筆すべきは、Sさんの、マンボでのティンパニ6台を乱打する叩きっぷり。大太鼓の背後でバチが飛び交っている様子を後でビデオで確認(隙間からチョコっとだけど)、やっぱすごいわぁ。生でこれを見て、聴けた当日の観客の皆さん、あなたたちは幸せ者です。
オケ全体が白熱化するなかで私はボンゴをひたすら16分音符で刻むのみ(アクセントが変な位置には付いてるが)。逆に自分が自分を失うと恐い、というのは練習中、今までになく痛感していた。冷静な演奏を目指したつもりだ。それが着実なアンサンブルを可能にさせたか。
それにしても打楽器陣営のレベルは、最近の私の演奏経験ではトップを誇るほどの高さ。芸大生の皆さんたちとの交流も、最近になく、私にとってはとてもスリリングで楽しいものとなった。彼等と今度は自分のオケで競演する事となる。それも楽しみだ。
弦楽器は全体的に発展途上と感じられました。申し訳ありませんが、とにかく、練習あるのみです。今回、実はベートーヴェンの5番の予定だったと聞くが、その「運命」が「シンフォニックダンス」に変わったのは、ある意味においては、正解であっただろう(!?)。現在の弦楽器のレベルでベートーヴェンはかなり厳しそうに感じらます。まずは、「コリオラン」「エグモント」辺りを徹底的にさらってから、チャレンジしてみては、というのが率直な感想です(大変申し訳ありませんが、正直、弦が全面に出るためには、相当な練習と経験が弦には必要と感じられます。)。刈谷のオケでも、ベートーヴェンの弦には四苦八苦してますね。特にチェロの皆さん!!!
管楽器も、無難に様々なテクニックを披露、良かったと思います。しかし、結局、何がうまかった、ここが良かった、と指摘しようとすると、・・・・思い出せない。私もずっとステージに乗っていたから・・・いや、暇な時間も多々あった・・・無難に過ぎて、ひっかかるものが不足していたように感じられました。結構うまくいっていたのに、それ以上のキャラクター、主張が全体的に聞こえにくかったかな。もう一工夫で、もっとさらに聴く側を感激させることができると思います。
そうそう、「シンフォニックダンス」以外は、「ラプソディインブルー」そして、ホントはこれもアメリカもんであってほしかった「カルメン」の第1組曲。さらに、アンコールは「シンコペーテッド・クロック」と「キャッツ」から「メモリー」。
特筆すべきはSさんが、本物の目覚し時計を2つステージの前まで出てきて頭上、高らかに響かせたアンコール。満席のお客さん達の笑顔を見て、このコンサート、なんだかんだで大成功だな、と確信した次第。こんな満席な客席を目の前に演奏することなど滅多にない。今回はいい経験をさせていただきました。
(2000.6.10 Ms)