ハチャトリヤン

交響曲第3番 ハ長調 (オルガン付き)?「シンフォニック・ポエム」

 

 ハチャトリヤンと言えば、誰もが知っている「剣の舞」を含む「ガイーヌ」を始めとするバレエで有名。しかし、彼にも、交響曲、協奏曲などのオーソドックスな作品も少なからず存在します。
 代表曲を選ぶとすれば、交響曲なら、第2番「鐘」。第二次大戦中、祖国の勝利を信じて書き上げられた大作。特に第3楽章の葬送行進曲が感動的。ハチャトリヤン特有のアジア的旋律と、幻想交響曲第5楽章にも引用されるグレゴリア聖歌「怒りの日」が合体するあたりが戦争の悲劇をひしひしと伝える名場面です。・・・・さて、ここでは「隠れた」超大作、交響曲第3番を紹介しよう。

 1947年、戦争から解放された喜びの中で完成されたこの作品、その喜び方が尋常じゃない。
 いきなり冒頭から、銅鑼のクレシェンドの中、10数本のトランペットが高らかにファンファーレを吹奏!オリンピックの開会式か、っちゅうの!
 トランペットがしばらく主導権を握って曲は進むが、突然オルガンが殴りこみ。それも、サン・サーンスの如く荘厳に和音を響かせるのではなく、何やってんだがわかんないほどの速弾き!まるで、堤防が決壊した洪水のような勢いだ。
 ハチャめちゃな冒頭が沈静化すると、一転アジア的な妖しげな息の長いメロディー。美しい一時を堪能。
 そして、ティンパニに先導されて5拍子のパターンの反復のうちに曲は勢いを取り戻し、トランペット部隊オルガンがオーケストラを引っ掻き回すが如く大暴れ。そしてアジア的メロディーが耳をつんざかんばかりに再現される。(この部分、ホントにうるさいです。ボリュームの調整を忘れずに。)そのテンションを維持したまま大音響の祭典は幕を閉じる。ブラーヴォー!!!!

 この音楽を、騒音と決め付けて拒否する人も多くいるでしょう。しかし、生理的に私は、興奮する気持ちを抑えることが出来ません。この交響曲、他のどんな交響曲にも無い魔力が潜んでいるように思います。とにかく、聴いてみてください。25分ばかりの単一楽章による作品ですが、冒頭からずっとぐいぐいと聴く側を引っ張って行ってくれ、元気を与えてくれ、生を受けた喜びを体感させてくれ、まったく飽きることがありません(少々オーバーか)。一度、生演奏で聴いてみたいものです。(ショスタコの7番と同様の体験ができるのではと思います。)
 全国のアマオケの合同演奏会とかで取り上げても良さそうな曲です。あっそうだ、今度、豊橋市のアマオケの事務局に話を持っていこっと!

 とにかく、聴けばファンは増えそうだな。どんどん刺激が求められるこの現代社会、ハチャ3がクラシック入門になる若者も少なからずいそうだ(オイオイッたら)。21世紀においては、交響曲第3番「オルガン付き」といえば、ハチャトリヤン!ってことになるのかもよ。

 話かわって、その昔、「惑星ロボ ダンガードA」というアニメがありました。その敵役でマッドサイエンティスト風な確か、ドップラー総統というキャラがあったように記憶しています。そのドップラーが、何やらパイプオルガン風な楽器らしい機械を好んで弾いているシーンがあったように思います。このハチャトリヤンの「オルガン付き」を聴くにつけ、その記憶が呼び起こされます。果たして、この記憶が正しいかどうかすら大いに怪しいのですが、どなたかその辺り、詳しい方がみえたら、詳細をご教示下さい。

追記  この4月より、結構仕事がハードになりました。1か月ほどは、実質このホームページもいじれませんでした。まだ今後も夏まで多忙な生活となりそうです。そんな生活の中、ストレス発散、スタミナ倍増の曲を探しつつ、とうとうツボにはまったのがハチャ3。ちょっと文章も荒っぽく、軽くなってしまいましたがご了承下さい。でも、ホントにスカーっとするから、聴いてみてください。私は今、ハチャ3に救われてます。

(1999.4.30 Ms)



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