旬のタコいかがですか? ’99 8月
(ショスタコBeachへようこそ!)
ほとんど、冗談で始めた、「ショスタコBeachへようこそ」ではありますが、今年後半の当ページのメインテーマが、ショスタコーヴィチということで、毎月、この項では、その月にちなんだショスタコ・ネタを紹介していこうと思います。
旬のタコ、いきのいいタコのネタを、どうぞ、ご賞味あれ!!!
と、景気よく始まったのはいいものの、さて記念すべき、第1回のネタは・・・・・
1975.8.9
ショスタコーヴィチ 死す
いきのいいタコ、どころか、いきなり、死んだタコ、が出てきてしまって、大変申し訳ございません。でも、このタイミングでは、しょうがないなぁ。
タコの最後の作品は、「ヴィオラ・ソナタ」作品147です。1975年4月末に着手、入院中のサナトリアムにて、7月5日初稿を完成、7月19日に修正を終え、8月1日、自筆譜を印刷した楽譜が初演者に渡されたその直後、彼に死は訪れたのでした。68歳と11ヶ月の生涯でありました。
さて、奇しくも、この項を書き上げている8月6日は、ヒロシマ原爆の日、でもあります。続く、ナガサキ、そして、終戦記念日、さらには、遠い昔から、お盆、と、この8月には、「死」のイメージが強いようにも感じられます。我々も、近しい人の死、または、先の戦争の犠牲者、そしてさらに、ショスタコーヴィチの冥福を祈ろうではありませんか。
ということで、いきの悪いネタは置いといて、今月にちなんだショスタコーヴィチの名曲も紹介しましょう。
いちおう、この項では、「隠れ名曲」ではない、正々堂々と目立っている名曲にスポットを当てていこうと考えています。そう言えば、「隠れ名曲教えます」のコーナーもちょっと停滞気味だな。このコーナーでは、「隠れ」ていないショスタコのオーソドックスな名曲を取り上げてゆきます。
さて、記念すべき、その第1曲目は、・・・・・・
1944.8.13
ピアノ三重奏曲第2番
「ソレルチンスキーの思い出に」
作曲完成
今年は、ピアノ三重奏曲第2番完成55周年、という記念Yearでもあります。
しかし、これまた、タコの友人である音楽評論家、ソレルチンスキーの死を悼んで作曲された作品。なぁんだ、また「死」がらみか!どっちにしても、死との「しがらみ」からは、解き放たれることはないのだ、タコの作品は。「私の交響曲は墓碑である。」なんて言ってしまうタコなんだから、当然「死」を避けて通ることはできないわけか・・・。
ロシアにおいては、チャイコスキーのピアノ三重奏曲が、ルビンシュテインの死を悼んで作曲され、また、ラフマニノフの同曲が、チャイコフスキーの死を悼んで作曲されており、そういった伝統にのっとってタコもまた、作曲をしたようです。
しかし、この作品は、ショスタコーヴィチの作品系列の中で、、重要な位置を占める傑作の一つであり、これを避けて彼を語ることはできないと思います。
それは、始めて、彼がユダヤの音楽との接近を果たしたという意味においてです。
彼の音楽の本質の一つとして、「泣き笑い」的表現があります。悲しさの中に、明るさを。明るさの中に、悲しさを。
それが、ユダヤの音楽の特徴でもあり、彼は、そのユダヤ的なるものに惹かれ、次々とユダヤのテーマによる傑作を書き上げてゆきます。(ユダヤの民族詩、バビヤールなど)
この、ピアノトリオは、それらの先駆けとなる重要作なのです。第4楽章に、そのユダヤのテーマは現れ、後に自伝的な作品、大傑作と認められる弦楽四重奏曲第8番でも、目立って引用されることとなるのです。それだけ、彼自身お気に入り、と言おうか、気になる旋律であったのでしょう。
さて、このピアノトリオを聴きつつ、ショスタコーヴィチの冥福も祈りましょう。そんなことを思いながら、CDをかけはじめるのなら、冒頭のバイオリンのすすり泣くような高音のハーモニクスが、火の玉の浮遊する効果音にも聞こえてきます。その昔、「ウルトラQ」あたりでよく耳にした、ミュージカル・ソウ(のこぎりを楽器として扱ったもの)のヒューヒューいう不気味なサウンドにも近いキャラクターです。案外、日本の夏にお似合いの名曲、なのかもしれません。是非、この夏、聴いてみてはいかが?
かなり、精彩を欠く記事だなぁ。9月からは、もう少し、しっかり、いきのいい、旬のタコをお届けしますので、これに懲りず、お付き合いの程、よろしくお願いします。
(1999.8.6Ms)
ピアノトリオについては、また機会を改めて書かせていただきます。
ちょっと、これだけではいけませんね。ただ、今週より10日間の旅行に出かけるため、その準備もあり、更新するための時間が余り割けなかった次第です。
また、元気に帰国できましたら(縁起でもないけれど、この記事が私の遺作にでもなったら、それこそ出来過ぎだなァ)、どしどし記事を書きまくりたいと思います。
余談ながら、本物のタコ(蛸)の旬、季節は、9〜12月なのだそうです。(料理の本によれば)
ということなので、このページも本格稼動は9月よりスタートということにしておきましょう。(なんだそれは。)
8が並ぶ今日は、タコ日和だな、と感じつつ(1999.8.8Ms)