<四日目 その3>

第32ランナー  大歩危行き
土讃線
普通列車
多度津 坪尻
15:58 16:51
 「壮大な寄り道」の目的地へは土讃線の普通列車で向かいます。車
内で発車を待っていると、駅の側線に車両が停車したのが見えまし
た。気になったのでホームに出てみると、そこにいたのはフリーゲー
ジトレイン
!四国で試運転中というのは小耳に挟んでましたが、まさ
かここまでピンポイントに出会えるとは・・・。乗車する列車の発車もも
うすぐですが、ここは当然フリーゲージトレインを撮影します。それに
しても、松山でのアイランドエクスプレスUといい、今日は本当にネタ
に恵まれてるなぁ〜と思います。アイランドエクスプレスUは完全に
狙ってましたが。
 思わぬ珍客の余韻が冷めやらぬまま、列車は多度津を発車。しば
らく走ると、電化区間の末端である琴平に停車。・・・・・・というよりは、
「こんぴらさん」の最寄駅と言った方が普通の人には分かりやすいで
すね(笑 金刀比羅宮も寄り道の候補に入ってはいたんですが、目
的地はもう少し先です。
 琴平を出ると列車は一気に山の中に入ります。そんな中、山間の小
駅で下車。駅舎以外の建物は全く見えないような環境、そして「坪尻」
と書かれた駅名票・・・。そちらの方面に少しでも詳しい方はもう大体
分かると思います。
 そうです。降り立ったのは秘境駅として鉄道ファンに名高い坪尻駅。
要するに「何も無いのが魅力」とかそういう感じの駅です。というわけ
で、「壮大な寄り道」の目的地はここです。ちなみに自分にとってこれ
が初めての秘境駅訪問。初の秘境駅訪問でいきなり坪尻とは、なか
なか面白いチョイスです。しかも旅も終盤になってきてますし。
 そういう駅ですから、降り立ったのが自分1人だけなのも当然と言え
るかもしれません。そんなわけで「無事に帰れるのか」という思いまで
も抱えつつ(爆)、駅の外に出てみました。まぁ見事に殺伐とした雰囲
気でしたが、そんな中でこんな看板を発見しました。・・・・・・ってこの
看板によると、アメリカからわざわざこんな山奥まで足を運んだ人達
がいたってことか!?いやはやご苦労様です・・・。
 ところで、坪尻駅の駅舎内にはこんな貼り紙が何枚かありました。
列車の通過時刻が書かれた時刻表です。停車する列車よりもはるか
に多い・・・というのはお約束として、通過列車の時刻表というのはな
かなか珍しいものです。まぁこの駅の場合、これが無いとかなり大変
なんですがね・・・。。。
 初の秘境駅訪問にテンションが上がっていたということもあってか、
カメラのシャッターを押しつつ駅周辺を探検します。しかししばらくす
るとカメラに異変が。カメラの電源を入れようとすると、「レンズエラー
を検知しました」とかいって全く作動せず。その後何度も電源を入れ
直してみるものの、相変わらず作動する気配がありません。うわ〜、
こりゃ完全にぶっ壊れたな(涙 ていうか、さすが天下の坪尻駅。
無事に帰してはくれないようです(爆
 まぁ写真が残っているだけでも有難いことなんでしょうが、愛着が
あっただけにショックもかなりのものですorz ショックを引きずっては
いますが、ここからは予備のカメラに切り替え、坪尻駅探検を再開し
ましょう。というわけで少し歩き、お決まりの構図から坪尻駅を撮影。
 ここからさらに奥に進むと1棟の建物が見えます。しかし見ての通り
完全な廃墟で、手前のオートバイももはや屍です。後はこのまま朽ち
果てるだけでしょう。これぞ秘境駅の哀愁。
 その廃墟へと向かう時に通った踏切はこんな感じ。遮断機も警報機
も無い第4種踏切です。つまり、最も危険なタイプの踏切です。しかも
この辺りは特急列車が猛スピードで通過します。もし無為に踏切を渡
ろうとして、そこに特急列車が突っ込んできたら・・・(怖 そういうこと
にならないように、先程の通過列車時刻表が役に立っているわけで
す。
 色々探検しているうちに空が暗くなってきました。というわけで駅前
も真っ暗です。そんな状況で駅周辺を探検すると、本気で帰れなくな
るということになりかねない。なので駅舎の中でおとなしく帰りの列車
を待つことにします。
第33ランナー  琴平行き
土讃線
普通列車
坪尻 琴平
19:04 19:38
第34ランナー  高松行き
土讃線・予讃線
普通列車
琴平 坂出
19:41 20:14
第35ランナー  高松行き
予讃線
快速「マリンライナー」59号
坂出 高松
20:21 20:36
 琴平行きの列車に乗車し、ついに坪尻駅を脱出します。ここから高
松まで列車を乗り継いで行きましたが、特にこれといったことはありま
せん。思えば、この辺りで疲れのピークを迎えたのかもしれません。
まぁ旅の疲れというよりは、カメラの故障からくる精神的な疲れと言っ
た方がいいのかもしれませんが・・・。
 そういや夕食がまだだったので、ここで遅めの夕食です。駅構内の
「連絡船うどん」がまだ開いていたので、真っ先にそこに入りました。
最近は高松に来たら讃岐うどんを食べないと満足できなくなってきた
ような・・・。
(そしてこの男はカバンを置いたまま店を出るという失態を演じる。幸
い大事には至りませんでしたが)
 「瀬戸の花嫁」のメロディーとともに、特急「うずしお」が間もなく来る
という案内放送が流れました。「どうせ2000系だろ」と思ってましたが、
やって来たのはキハ185系でした。もちろん撮影します。それにして
も、この色のキハ185系に「うずしお」のヘッドマーク、相変わらずお似
合いです。
第36ランナー  東京行き
予讃線・瀬戸大橋線・宇野線・山陽本線・東海道本線
寝台特急「サンライズ瀬戸」
高松 横浜
21:26 06:44
 発車30分前にもかかわらず、「サンライズ瀬戸」は既に入線していま
した。この列車で首都圏へと帰還します。つまり、この列車が今回の
旅の事実上のラストランナーであり、最後の宿であるわけです。そし
て旅の最後の一夜を過ごすのはノビノビ座席。というわけで、まさかの
2日連続で雑魚寝です(笑 乗車券に「1A」と書いてあったことからも
予感はしていたんですが、自分の席は最も端でした。片方が完全な
壁になっているので、ノビノビ座席では一番の当たり席と言えそうで
す。
 列車は高松駅を出発しました。しばらく走ると瀬戸大橋に入ります。
丸一日お世話になった四国を離れる瞬間なので、瀬戸大橋を渡るタ
イミングに合わせてわざわざミニサロンに行き、その瞬間を見届けま
した。ちなみにミニサロンに自分以外の人影は見当たらず。さすがに
「四国を後にする瞬間をミニサロンから見届ける」という考えを持って
いたのは自分だけだったようで。まぁ、当然だよな・・・。。。
 こうして列車は岡山に停車。ここでは「サンライズ出雲」との併合作
業で少々停車するため、ホームに出てみました。3日前に岡山駅の
ホームでこの列車の分割作業を鑑賞していたことが思い出されます。
今までの行程を振り返ると、この4日間、かなりいびつな形ながらも
西日本をぐるっと一周したんだよなぁ〜。そして思えば行きも「サンラ
イズ」に乗ったので、まさに「サンライズ」に始まり「サンライズ」に終
わる旅でした。
 そして岡山を発車すると程無くして眠りに着きました。
 目が覚めた時、列車は湯河原の付近を走行中でした。疲れが溜
まっていたのでしょうか、今回泊まったどんな乗り物やホテルよりも
よく寝れました。窓が海側にあったので、とりあえず車窓に広がる相
模湾を眺めます。
 小田原の手前の留置線では211系を見ることができました。東海道
線東京口の211系はこの1ヵ月後に定期運用を離脱。この場所で走
る211系を見たのはこれが最後となりました。ていうか東海道線東京
口での211系の置き換えが始まったのは昨年の暮れにさしかかりつつ
ある頃だったので、随分あっという間に消えていったな〜、という印象
があります。
 藤沢、大船、戸塚・・・。聞き慣れた駅を通過していくと、もう着いちゃ
うんだな〜という思いがひしひしとしてきます。そして横浜に停車。家
に帰るには東京よりも横浜の方が近いため、ここで下車しました。ここ
までくるともう現実の一部。というわけで、通勤ラッシュ激しい横浜線
に流れ込んでいくのでした・・・。

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